◆山なかま・シリウス 会山行報告(谷川連峰・虹芝寮)

◎期日=2009年3月28〜29日
◎場所=谷川連峰芝倉沢出合・成蹊学園「虹芝寮」(成蹊学園OB坂井会員のご好意による)
◎参加者=坂井(L)、赤澤、猪瀬、西山、藤野、斎藤(光)、大塚。田村、玄(ゲスト)
  ※山行の報告はこちら

 
(虹芝寮とカタズミ岩、虹芝寮寮歌、成蹊学園資料より引用)(雪に埋もれた現在の虹芝寮)

 
   (掃除が行き届いた虹芝寮の内部)  (虹芝寮・寮歌「山の友によせて」を歌いながら昔日に還る・・・)

 
    (薪、酒、食料を積んだ橇を引く老(?)カラフト犬

■雪の「虹芝寮」にて 玄 陽成(ゲスト)

 このたび坂井さんを始め、山なかまシリウスの方々のご厚意により、「虹芝寮」に宿泊して白毛門に登る
機会に恵まれました。当日朝の天気予報では、群馬県北部(水上)は曇り後晴れ、新潟県南部(湯沢)は雪
でした。ちょうどその間にある「虹芝寮」 はいかがかと思いきや、水上駅のあたりからすでに雪が舞ってい
ました。
 駅近くのスーパーで食糧等を補充し、集合場所の土合駅へ…。いよいよ湯檜曽川をさかのぼります。
橇(ソリ)2台を角材でつなげてスリング等を駆使してみんなで引っ張ることにしました。橇には薪、食糧、ビ
ール等が積まれ、人間一人分ほどの重さになりました。

 坂井さんの旧友の田村さんの先導で沢を渡って行きます。最初の難関のマチガ沢を渡る時は、夏道を行
くか湯檜曽川に沿って沢を渡るかだいぶ悩みましたが、結局沢に足をつっこみながら、みんなで橇を持ちな
がら、なんとか渡りきりました。川原にこじんまりした東屋がポツンとありしばし休憩、いつの間にか雪も止
み、晴れて武能岳がよく見えてきました。
 以降の沢を渡る時は、雪が積もって多少くぼんでいるだけでしたが、ルートを離れて踏み外すとそのまま
沢に落ちてしまいそうで、非常におっかないです。このあたりからはトレースが無く、だんだん積雪も多くな
ってきました。せっかく一ノ倉沢のビューポイントを通ったにもかかわらず、橇をひくのに精一杯で写真を撮
る余裕がありませんでした。

 「虹芝寮」まではアップダウンはほとんどありませんが、なにぶん橇が重いのでなかなか快調にとはいか
ず、ちょっと登り坂がある度にゼイゼイ言い、その都度休みながら進みました。坂井さんにトレースを作って
もらい、やっと最後の難関、トラバース地点まで来ました。もう目の前に小屋が見えているのにもかかわら
ず、この10mほどが大変なのです。左にルートをとって小高い丘を登りきろうかという案もでましたが、大変
なのはほんの少しだからとトラバースルートに挑戦しました。橇を落とせばおそらく木端微塵になってしまう
ので、足場が不安定な所をみんなで力を合わせて、なんとか危険箇所を通過し事なきを得ました。やっと
「虹芝寮」に到着です。

 2階建ての建物の1階部分はほとんど雪に埋まっています。スコップで玄関の雪をとり除き小屋の中へ…、
ストーブに薪をくべて燃やすとすぐに暖かくなりました。水は厳冬期でも凍ることが無いそうで、豊富な量を
完全かけ流し状態でした。早速ビールで乾杯! しかもつまみも次から次へと出てきて食べきれないほど
でした。皆さんは積もる話もあるようで、お酒を飲みながら大いに盛り上がり、夜遅くまで談笑しました。
 翌朝起きたら大雪…、白毛門に登る予定は大事を取って中止にし、みんなでゆっくり下山することになり
ました。やや吹雪いていたため簡単ではありましたが、大塚さんに木の枝にスリングを巻きつけて支点を取
る方法等を教えてもらいました。かなり細い枝でも、何本かをいっぺんに束ねてバックアップにすると以外に
強度が増すことも理解できました。

 しっかり小屋の掃除をして鍵をかけ下山開始…、相変わらず雪が降っていて30〜40cmほど積もったらし
く、帰り道もラッセルを強いられましたが、荷物は軽くなっていたのでそれほど苦ではありませんでした。途
中スキーを履いた単独行者、ガイドが引率するスノーシューハイク組みが二組と、雪が降っているにもかか
わらずやはり入山する人もいました。

 今回橇をひいて歩くことを経験してみましたが、人間一人運ぶにしてもかなりの労力を使うことがわかりま
した。傾斜の少ない沢筋の道でも大変なのですから、普通の登山道で傷病者を運ぶとなると、それがいか
に困難な状況であるか想像に難くありません。
 土合駅で田村さんとお別れし、湯檜曽駅近くの行きつけのそば屋で昼食をとり解散、帰路につきました。
予想していた通り、山あいを抜けると雪は次第に止み、晴れ間も見え始めました。やはり土合から奥の山間
部は気象条件が厳しいのだと痛感しました。

 今回は残念ながら本格的な登山はできませんでしたが、なにしろ有名な「虹芝寮」にも宿泊でき、ワカンも
大活躍して、豪雪地帯の醍醐味を十分に味わうことができました。参加者皆様のご厚意により、非常に有意
義な体験ができたことに感謝致します。
 ありがとうございました。


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