◆ ホワイトアウトの安達太良山 浜口武夫
    〜撤退の決断時期を学ぶ〜    

〔日 程〕 2009年4月4日(土)〜5日(日)
〔場 所〕 安達太良山
〔参加者〕 藤野孝人(L)、有元ナチ子、塚本 稔、斎藤光子、浜口武夫
〔行 程〕 (4日):奥岳/駐車場(12:50発)〜くろがね小屋(15:20着)
     (5日):くろがね小屋(6:55発)〜峰の辻手前(7:35登頂断念)〜くろがね小屋(7:45-9:10)〜
          奥岳/駐車場(10:50着)

 藤野さん企画の「初級雪山シリーズ・安達太良山」に参加させていただきました。
朝7:00にJR八王子駅前に集合し藤野さんの車で出発しましたが、休日高速料金値下げで不慣れなドライバ
ーが増えているためか、首都高と東北道でそれぞれ1ヵ所ずつの事故渋滞があり、あだたら高原スキー場到
着はちょうどお昼に。駐車場での軽い昼食後、風も無く気温も高めだったので、アウターなしでスパッツのみ装
着し出発。途中、藤野リーダーから、地形観察と地図による位置確認の解説を受けたりしてスローペースだと
思ってましたが、ほぼコースタイム通りでくろがね小屋に到着しました。
 藤野さんによると、例年より積雪量はかなり少ないとのこと。また、こんなに暖かく風がほとんど無いのも珍し
いとのことで、例年並みの状態ならプラス1時間くらいかかったかも知れません。なお、小屋に到着後の夕方5
時くらいから1時間ほど雪が降りました。

 さて、くろがね小屋といえば温泉。初めてこの小屋に泊まったのですが、やや熱めの天然かけ流し温泉は
最高です。温泉のためにだけ登ってくる人も多いそうですが、それも十分有りかと。
温泉のあとの楽しみな夕食は、小屋の土鍋とコンロを借りて、食担・斎藤さんによるスタミナたっぷりのキム
チ鍋。ほんとに旨い鍋と適量のお酒で、午後8時半の消灯まで大いに盛り上がりました。(本当は、皆さんの
ご想像通り、最後までシコタマ飲み続けていた藤野さんと小生が、「もう寝ろ!」と管理人から言われてお開き。
宿泊者は我々5名の他には3パーティー10人くらいで、たまたまでしょうがえらく空いてました。)

 翌朝は、予定意通り5時に全員すっきり起床しましたが、外は強い風で真っ白。キムチ鍋の残りに鶏肉とモチ
が追加されスタミナ補給は十分なのに。管理人によると天気予報は曇りのち晴れ。「風はほんとうに強い日と
比べればそれほどでもないが、午前中は上の雲は取れないよ」とのこと。ただ、出発の準備をしている間に小
屋の周辺は少しだけ視界が良くなってきたので、予定通り頂上アタックへ。
小屋を出てしばらく登ると、やはりガスで視界は悪いうえに、強風で雪が飛ばされブリザード。なだらかな広い
斜面が続くため、ほんとうに正しいルートを登っているのか不安になってきます。30分少々登ったところで藤野
リーダーから、「これがホワイトアウト。雪面と空の境界が全く分りませんね。これ以上は危険だから小屋に戻り
ましょう」と指示があり、登頂は断念してUターン。
高度計からの推測では、峰の辻付近だったのではないかと思われます。(藤野さんに記録の精査をお願いした
ところ、高度は峰の辻と大差ないが、峰の辻までの行程の1/3程度の地点とのご指摘がありました。確かに
歩いた時間を考えるとそんなものですね。高度だけで判断したらヤバイと反省)。

 ホワイトアウトで周りが見えない不安と寒さで、小生もかなりテンションが落ちてきてたので、藤野リーダーが
早めに決断されたこと、これも良い勉強になりました。山の状態が悪いときは、確実に戻れる場所で、全員が
まだ元気なうちに、早く決断して安全に撤退するという判断力を身につけたいものです。小屋に戻ってからは、
1時間半ほど様子を窺ってましたが上部のガスは消える気配なし。再アタックは諦め、このまま下山することと
なりました。下界に戻ると初夏のような陽気。午後には安達太良山の山頂が春霞を纏って見えてました。
 藤野リーダー、有元さん、斎藤さん、塚本さん、今回もありがとうございました。今回参加できなかった皆さん
も今度はご一緒に、くろがね小屋で温泉に浸かり、飲んで食べて安達太良山に登りましょう。
ところで、塚本さんは山旅の達人だと思ってましたが、有元さんもガイドブックを超えるほどの山旅の達人で
いらっしゃることを知りました。(知らなかったのは僕だけかもしれませんが)。


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