◆交流山行「黒戸尾根より甲斐駒ヶ岳」

日程: 2011年5月2日(月)午後発〜4日(水)
メンバー: 藤野(L)、秋田、杉本
報告: 藤野
 
 
8合目から山頂方面   屏風岩の下降
 

 本来は、双子尾根〜杓子岳〜白馬岳の予定であったが、4月下旬の北アルプスは、かなり荒れた天候が続いたので、雪崩などを警戒してこれを変更、またまた黒戸尾根から甲斐駒ヶ岳をやることにした。
今回は驚いたことが「二つ」あった。
一つは、黒戸尾根から甲斐駒をこの時期に、「日帰り・11時間ほど」でピストンしてきた人がいたこと。
2日の午後、竹宇駒ヶ岳神社に到着したところ、下山してきた直後のひとがいた。杉本さんが「甲斐駒を日帰りですか?」と聞くと「そうです。」私が「何時に出られたのですか?」と聞くと「4時頃です。」思わず時計を見ると「15時20分」頃であった。刀利天狗より上は雪山である。世の中、怪物のようなひとがおられるものだ。
二つ目は、アイゼンを持たずに、七丈小屋の上まで登ってきた無謀な青年がいたこと。
4日の早朝、山頂を目指して七丈小屋を出発した。テン場の横を通り過ぎようとしたところ、昨日、刃渡り付近で我々を追い抜いて行った青年が、テントの前にいた。「上に行かないのですか?」と聞くと、「アイゼンを持っていないのです。」思わず「エエッ!!」と驚いた。ピッケルもロープも持っていない、とのこと。上に登れないのは当然だが、下山することもできない。はっきり言っておかないと、このまま下りて行って滑落されては困る。冷たく「下りられないですね」と言って、我々は上を目指した。昨日、5合目から上は凍結箇所が何箇所もあった。ノンアイゼンでは登りでも滑落する可能性があった。よく無事にここまで登ってこられたと思うが、下りは無理だろう。昨日、七丈小屋の管理人さんが、「4本爪のひとはいませんか?」と、全員に尋ねていた。この時期の甲斐駒に「そんな登山者いるはずない」と思っていたが、その上手がいた。
 風は小屋を出るときからあったが、高度を上げるにつれ、徐々に強くなってきた。見上げると山頂近くでは時々雪煙が舞い上がった。上部はかなりの風である。天気予報は「午前は風が強い」であったが、その通りであった。8合目に着いた時、「ここまでにしましょう」とした。この上は急斜面の難所があり、風が強いとリスクが高い。65歳以上の高齢者パーティが無理をすることはない。
上を目指すパーティを見送って、我々はここでゆっくり展望を楽しんで、Uターンした。テン場の近くまで下りてきたとき、なんとその青年がダブルストックで登ってきた。「行けるところまで行きたい」とのこと。「行けるところまで行くと、下りられなくなりますよ。登りより下りの方が難しいですよ」とおせっかいだが注意をした。
我々は小屋に戻った。軽く食べて荷の整理をしていると、その青年がやってきた。「一緒に下りましょう」と誘った。彼は喜んだ。彼に私のハーネスを着けた。私はテープスリングでスワミベルトにした。私が先頭、二番手に青年、三番目に秋田さん、ラスト杉本さんの順でスタートした。五合目小屋跡までが核心だ。ハシゴや岩場そのものには雪がないので、ノンアイゼンの方が下りやすいが、その前後が問題だ。凍結している箇所にくると、その距離に応じて、シュリンゲ、10mのロープ、25mのロープを出して、ゆっくりと下って行った。七丈小屋から1時間45分を要して、ようやく五合目小屋跡に着いた。あとは大丈夫だ。青年はほっとしたようだが、我々もほっとした。「休憩しましょう!!」と皆でワイワイとお茶にした。
かくして無事に竹宇駒ヶ竹神社に下山。神社に無事下山の御礼の参拝をして、青年と一緒に尾白の湯に向かった。ほんとにいい湯だった。
なお、この青年は山をはじめて2年とのことで、まだ登山をよく知らないようだが、なかなか健脚である。登山口の駒ヶ岳神社から七丈小屋まで、我がパーティが9時間かかったところを、なんと6時間で登ったとのこと。将来が楽しみな明るく感じのよい青年であった。

【コースタイム】
2日=省略(道の駅・信州蔦木宿にてテント泊)
3日=竹宇駒ヶ岳神社6:15―笹ノ平8:30―刀利天狗11:15-30―五合目小屋跡12:45-13:10―七丈小屋15:15/泊
4日=七丈小屋5:25―8合目 (6:25-40)―七丈小屋7:10-8:15―五合目小屋跡10:00-10:15―笹ノ平13:05―竹宇駒ヶ竹神社14:25

 



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