日程: 2012年5月28日~29日
メンバー: 赤澤(L)、斎藤(光)、斎藤(幸)、萩原、名倉、坂井
報告: 赤澤

 

猿ヶ京温泉・お願んしょ巡り 手湯「キツネの湯」

 

 今年新たに企画された「古道・峠路を巡る山旅」の、その嚆矢として三国峠~三国街道を歩いてきた。坂上田村麻呂の東征伝説を残す三国峠は古来から関東と越後を結ぶ交通の要衝であり、江戸時代には佐渡金山の金を運び、金奉行が往来することから佐渡街道とも称されていたという。
 参加者は6名、坂井車、赤澤車に分乗し、関越道・赤城高原SAにて合流、初日のスタート地点猿ヶ京温泉に向かったが、さあ出発という段になり、俄に雨雲が垂れ込めポツポツと降り出してくる。結局、2日間共、不安定な空模様を睨みながらの行動となった。
 1日目は予定を変更し国道17号線の三国トンネル入口・新潟側駐車場に車を止め「上信越自然歩道三国峠入口」の標柱に導かれ三国峠に登った。階段状に幅広く整備され踏み固められた道が闊葉樹林帯の中を縫うように電光型に続き、マウンテンバイクで走り抜けるのも面白そうだ。雨上がりの爽やかな森林浴を楽しみながら30分程で登り詰めた三国峠には三国権現を祀る社が建てられており、常夜灯と鳥居の立つ社の拝殿は休息所を兼ねた土間があり、風雪激しい峠路の避難小屋としての役目も果たしている。峠のベンチに腰をかけ、参勤交代の大名行列の昔日を偲び、石碑に刻まれた三国峠を越えた著名人の名を確認した。坂上田村麻呂、上杉謙信、伊能忠敬、若山牧水、与謝野晶子等々。
 2日目は民話の里・猿ヶ京温泉で「お願んしょめぐり」をし、旧三国街道を永井宿まで歩いた。「お願んしょめぐり」というのは、猿ヶ京の村人たちが苦しいとき、困り果てたときに助けて下さいと願いをこめて祈ったというお地蔵様やお稲荷様等を巡るもので、スタンプラリーのコースにもなっている。子育て地蔵、いぼ取り地蔵、風神さま等8カ所あって、休日にはスタンプ集めの親子で賑わっている。我々も旅の記念にスタンプを集めた。途中には河童の湯とかきつねの湯とか足湯ならぬ手湯もあり、花の綺麗な民家のお庭を見学したりしながら、のどかな奥上州の山村をノンビリと永井宿まで歩いた。
 永井宿は上越線鉄道が開通するまでは、越後米の関東への流出口であり、米の取引場として隆盛を極め、江戸時代には諸大名の参勤交代や佐渡奉行の宿泊地として本陣を始め数軒の宿が建ち並び賑わっていたという。現在本陣跡は永井宿郷土館となっており古文書、甲冑等往時を偲ばせる資料を見学し、最後は秘湯法師温泉に浸かって2日間の旅を終了した。少し物足りなさは残ったが、たまにはこんな往時を偲ぶノンビリ旅も悪くはないので、候補地を吟味し、今後の交流山行のレパートリーを増やしていきたいと思う。
 「訪ねたる 永井本陣 戸を開き 明かりを呼べば 通う秋風」    与謝野晶子

 



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