日程: 2013年8月31日(土)
メンバー: 藤野(L)、上岡(ガイド)、金子(ガイド)、坂井、秋田、大塚、岡田、
斎藤(光)、國井、塚本、名倉、萩原、伴、浜口、星野、深澤(淳)、ゲスト2名
報告: 深澤(淳)

 

   
八王子城管理棟前にて    
 シリウスの新人歓迎山行ということで、私も今年1月に入会した新人として、楽しく参加させていただきました。もともとは6月に計画されましたが天候不順のため中止になり、再度企画していただき今回8月に無事に催行となりました。真夏の低山ですから暑さは予想していましたが、この日はよく晴れて、実に暑かったです。
 朝9時にJR高尾駅にメンバーが集合。大人数です。私にとって初めてお会いする人もいて、その都度、藤野さんからご紹介いただき、まずはご挨拶から。駅前バス乗り場で、みんななごやかに、お汁粉の材料や道具などを荷物分担。そうこうするうちにバスが来て乗りこみ、15分ほどで学習センターのような建物に到着し下車。
 そこで待っていてくださったのは、八王子城オフィシャルガイドの上岡さんと金子さん。そう、今回の山行はお二人から歴史や考古学的なお話を伺いながら歩く、知的かつ文化的な、大人の歴史学習ツアーでした。大変楽しませていただきました。
 この八王子城跡は、後北条氏の三代目氏康の三男、北条氏照が築いた山城であったが、1590年6月、城主の氏照が主力を引き連れて小田原に行っている留守に、豊臣秀吉の家来、前田利家、上杉景勝の軍に攻められ、一日で落城。これをきっかけに北条氏は滅亡したそうです。ガイドのお二人は、歴史に詳しいうえに、「山城」マニアです。谷はⅤ字型に、人工的に深く掘って「堀切り」として、敵の侵入を食い止め、上から石を投げたり弓で攻撃したそうです。曲輪(くるわ)という平らな場所は兵を隠して、掘切りの敵に石を投げたり、弓を引いたり、攻撃の拠点として作られたそうです。
 解説に感心しながらツアーコースを進むと、曳橋(ひきはし)という雰囲気の良い木造の橋が現れました。「この橋は、冬の雪のつもった朝、とても綺麗なんですよ」と上岡さん。
 その橋の先には、石垣と石畳の階段があり、ここには城の雰囲気が残っています。 石垣は「野面積み(のずらづみ)」とのことで、築城の時に出てきた石を加工せずにそのまま積み上げていく工法だそうです。階段は踏面が約1m,蹴上が36cmほどだそうで、昔のひとは身長が低く短足であり、20-30Kgの甲冑をつけては、上り難い、攻めにくい構造だそうで、「階段の幅は登るほど広くなっており、遠近法で立派に見えるように作られています」という解説にも、一同、へーと感心。そしてツアーのハイライト「御主殿跡」という広場状の場所に到着。ここには大きな建物があったことをリアルに感じさせる雰囲気です。発掘調査で、建物の礎石や、陶磁器やベネチュア産レースガラス器などが出土したとのこと。ベネチュア産レースガラス器が見つかったのは日本では八王子城跡のみらしい。最近発掘された池の跡も解説していただきました。見事な庭園であったことがうかがわれます。さてここから、北条氏滅亡の悲劇が伝わる「御主殿の滝」へ下ります。落城時に女性や子供までが自刃して川に身を投げたので、この滝の水が三日三晩赤く染まったという言い伝えです。「この場所は何かが出る、夕方薄暗くなったら近寄りたくない」と真剣な顔の上岡さん。心霊スポットらしく、ちょっと怖くなりました。
 さて暑い中、いよいよここから山登りです。「普通の人はあまり歩かないけれど、一番楽しい道ですよ」という御主殿跡の奥から直登するコース「殿の道」へ。何かあったとき、御主殿より本丸に逃げられるように造られた道です。八王子城跡に来ても通常は表道から八王子神社に登るので、殿の道はあまり歩かれていないようで、表道より細くて歩きにくいですが、斜度もあり、途中で指揮台石もあったり、少し石垣も残っていたりして、退屈せず歩けます。30分もせずに八王子神社の前付近に飛び出ます。すぐそばに広場状の「松木曲輪」があります。この付近は激戦があったところだそうですが、ここで皆で昼食。そして本日のメインイベントの「冷たいお汁粉」をふるまっていただきました。白玉だんごも作ってきてくださって、おいしくいただきました。食担の皆さま、ごちそうさまでした。
 食後、ここからさらに15分ほど先の「詰城」(つめのしろ)まで行きました。そこは八王子城の一番奥。追いつめられた最後の場所です。ついでにそのすぐ先の「大堀切」も解説していただきました。400年以上も前につくられた堀切りが残っているのは大したものです。
 往きはここまでとして戻りましたが、下山は神社前より表道を下りました。途中、金子曲輪を通りましたが、この付近も激戦があったところだそうです。帰りも暑くて大変でしたが、ちょうどバスの時間に間に合って、うまい具合に乗れたのは運が良かったです。
 高尾駅前で解散したあと、大勢で駅前のお店に入って飲んだビールはおいしかったです。
 新人歓迎山行は単なる山歩きではなく、歴史の勉強となる知的な文化的な山行でした。ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

 

 
八王子城管理棟前にて
  八王子城管理棟前にて
 
八王子城虎口
  八王子城会所
 
ご主殿発掘池   詰城

 



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