8合目からの甲斐駒ヶ岳
 
日程: 2014年4月11日(金)夜発~13日(日)
メンバー: 藤野(L)、加藤、深澤(淳)
報告: 加藤
 常々感じていたことですが、私はマゾです。別に鞭で叩かれたり、言葉で責められたりとかではなく、マウンテンマゾヒストです。その私が予てから挑戦したいと思っていたルートが、ズバリ「黒戸尾根」でした。南アルプスをいずれは全縦走したいと思っており、それには避けて通れない重要なルートでもあります。
 今年の1月に藤野さんに誘われたときは、奥多摩にのんびり行く予定だったので丁重にお断りしたのですが、実は内心ビビってました。無雪期にも行ったことの無いルートをいきなり厳冬期になんて。ただ、会山行に4月の同ルートがあるのを知り、残雪期だったらなんとか行けるかなと思い、参加を決めました。
 さて、出発の11日。期待と不安とが渦を巻きながらパッキングを済ませ、予定時刻より早く自宅を出発。西八王子駅周辺で適当に時間を潰し、藤野さん、深澤淳さん(以下、淳さん)と合流。八ヶ岳のPAでテントを張り、軽く宴。朝起きて出発の準備をしていると、今回の山行が素晴らしくなる事を予感させるような日の出。八ヶ岳や今回登る甲斐駒、南アルプスの峰々の秀麗な姿を目に焼き付け、竹宇駒ヶ岳神社の駐車場へ。神社で山行の安全を祈願し、6:20登山開始。単調な登りが長々と続くが、まだ「序の口」とのこと。やがてチラホラ雪が見え隠れしてくる。
 笹ノ平でアイゼンとピッケルを取り出す。俄然アドレナリンが出てくる。でも八丁登りはまだ単調なまま。段々アドレナリンの分泌が少なくなり、欠伸が出そうになると視界が開け、写真で何度も見た刃渡り登場、10:20。再びアドレナリン分泌開始。慎重に刃渡りを通過し登って行くと、鎖や梯子が出てくる。雪に埋もれて凍結している箇所もあり、距離を開け、しっかりアイゼン、ピッケルを効かせ登ると、刀利天狗に到着。ここからダラダラと黒戸山を巻いて、正午前に五合目小屋跡に到着。30分程昼食休憩を取り、ここから本日の核心が始まる。少し下って鞍部から斜面を見上げると20mくらいはある雪の壁と化した鎖場。藤野さんが先頭で一人づつゆっくり、確実に登る。梯子の連続や岩場もあり、カチカチの氷になっている箇所もあり、気を抜く暇がない。だが、先行パーティに追いつくようになると休憩。これを繰り返し、風もなく穏やかな晴天で気持ち良く高度を上げていく。14時ごろ七丈小屋に到着。藤野さんと淳さんは第二小屋へ入り、私はテント泊の受付を済ませ、空荷で設営場所を下見に行く。第二小屋のすぐ横を登るのだが、わすが数メートルが急だ。「階段が雪に埋まっている」とのこと。テン場に行くにもアイゼン・ピッケルが要る。テン場は既に二張り設営してあり、あまり近くに張るのもどうかと、更に上がると、見晴らしの良い最高の場所を発見。急いで荷物を担ぎ上げて整地をし、設営を始める。ここでトラブル。前日の八ヶ岳PAでも気になっていたが、エアマットが空気漏れをしている。とりあえず一通り準備して宴の後に考えよう。そこへ淳さんが写真を撮りにテン場へやってきた。今回は小屋泊にしたが、私のテントを見てちょっと後悔している模様。今度は一緒にテント泊しましょう。小屋に行って三名で細やかな宴会をし、明日の時間を確認してテントに戻り、飲み直す。夕暮れに紅く染まる山々をつまみにして寝袋に入る。マットはやっぱり空気漏れしているが、そのまま構わず就寝。身体がどうにも冷えて目が覚めると、まだ0時前。仕方ないのでマットを膨らませて二度寝開始。どうやら1時間は大丈夫みたいなので、抜ける度に膨らます。お陰で寝坊せずに済んだ。
 5:20、三名で頂上に向けて登山開始。雪が締まりアイゼンもピッケルも程よく効いて気持ちが良い。8合目ご来光場で一本。展望も良いし、ロープを結んでいる先行パーティに追いついたので、距離を開けるにも丁度よい。ここを過ぎると細い個所や鎖場、急斜面などがあり、アルプス気分を満喫する。どんどん登って休憩した先行パーティを追い抜いて、7時ちょっと過ぎに登頂。パノラマを堪能する。淳さんに記念写真を撮ってもらい、7:25小屋に向け下山開始。往路を慎重に下り、1時間ちょっとでテント場に到着。二人はそのまま小屋へ。荷物をまとめて小屋まで降り、大分早めの昼食を摂る。支度を済ませ9:50、七丈小屋を出発。登りより下りの方が神経を使う。カチカチに凍結している箇所が何箇所かあり、登りと同じく距離を開け、アイゼンの爪をガシッ、ガシッと蹴り込んで、三人で声を掛け合い慎重に下っていく。1時間ほどで五合目小屋跡に到着。ここで一本立てる。上部を見上げると随分下ってきたと実感する。難所を通過したので、とりあえずひと段落だが下りはまだまだ気が抜けない。11:35刀利天狗着。また慎重に梯子を下って、正午前に刃渡り着。ペースは悪くない。もう梯子や鎖は出て来なくなるが、所々急勾配を進む。多少は軽くなったとはいえ、ザックの重量が肩に食い込む。太腿もパンパンになりながら歩いて13時過ぎ、笹ノ平に到着。ここでアイゼンを外し、多少リラックス。軽く栄養補給し、さあ最後の下り。さすがに三人とも疲れは隠せない。時折バランスを崩して転びそうになるのを堪えながら歩く。
 やがて神社の祭囃子が聞こえてきた。駐車場も見える。もう少しだ。吊橋を渡り14:40、無事竹宇駒ヶ竹神社に到着。無事下山のお礼をして駐車場へ。好天に恵まれ実に楽しい山行を堪能できました。初めての黒戸尾根は雪と氷のパラダイスだった。来て良かった!! 藤野さん、淳さん、お疲れ様でした。
<コースタイム> 
11日 竹宇駒ヶ岳神社(6:20)ー(10:20)刃渡りー(11:00)刀利天狗ー(11:50)五合目小屋跡(12:25)
   ー(13:55)七丈小屋
12日 七丈小屋(5:20)ー八合目ご来光場―(7:05)甲斐駒ケ岳(7:25)ー(8:40)七丈小屋(9:50)ー
   (10:50) 五合目小屋跡ー(11:35)刀利天狗ー(11:55)刃渡りー(14:40)竹宇駒ヶ岳神社

 

 
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8合目より山頂を目指して   山頂は近い
 
 
山頂の大パノラマ
 
  山頂にて。バックは仙丈
 

 



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