日程: 2014年5月16日(土)~17日(日)
メンバー: 矢澤(L)、藤野(SL)、金田、秋田、深澤淳(記録)、松山(食担)
報告: 松山

 

   
朝日を浴びる木曾駒ケ岳
 
   
 17日、無風快晴の朝、5:40「この雪ではルート判断が困難。ここから先はハーネス、ロープの装備がないと行けない。」矢澤L、藤野SLの判断により、木曾前岳が眼前に大きくそびえるポイントで、今回の残雪期木曾駒ヶ岳のチャレンジは終わった。しかしシリウス入会許可後、初の山行は、愉快なメンバー、天候、雄大な展望に恵まれた、実に魅力あふれる山行だった。この素晴らしい山行を叶えてくださったパーティーの皆さんに心から御礼申し上げたい。
 今回ご一緒させていただいたのは、以前からお世話になっている雪山師匠で冷静・慎重な藤野さん、約5年前、GW.の鹿島槍に参加させていただいて以来の、ダンディーで薪割り名人の秋田さん、今回が初対面のチーム東海の頼れる陽気なアスリート矢澤さんと、タフで山の知恵の宝庫の金田さん、そしてお彼岸の阿弥陀岳南稜に参加させていただいたとき、意気投合した優しい深澤淳さん。こんな強力なメンバーの中での私のミッションは、山歴初の食担!6人分の、しかも山用のメニューの準備経験はなく、不安を抱えての参加となった。

 当初計画の伊奈側・桂木場(聖職の碑コース)からの入山が、道路崩壊により不可となっていたことが直前に分かり、山の反対側の木曾駒高原スキー場跡からのスタートに変更となった。木曾谷の山麓はまだ桜が残り、唐松の若葉が瑞々しく、タラの芽やゼンマイなど山菜の実り多い春景色。林道歩きの後、幸ノ川を渡渉し、急登で高度を稼ぐうちに乗鞍や御嶽が見え隠れするようになると、樹林帯の中の雪は思いがけず深くなってたびたび足をとられる。小屋直前の小ピークでルートを見失いかけるが、地形図とGPS表示高度をもとに、ベテランが推理すれば程なく見つかり、今夜の宿七合目避難小屋(2,400m)に無事到着した。ここから一登りの麦草岳の稜線からは、木曾前岳、木曾駒はもとより北アルプスの雄大な景色が眼前に展開し、否が応でも明日のアタックへの期待をかきたてられる。2001年に再建された避難小屋は至れり尽くせりの設備で登山客を迎えてくれた。シャベル、薪ストーブ、切りそろえられた太い薪、清潔なトイレ、鍋・やかん・お玉、スリッパ、長靴、ハンガー、洗濯バサミ等々。これらを活用させていただき、きわめて快適な小屋ステイとなった。
 先ずは水作り。藤野さんの大鍋を薪ストーブの上に置き、雪をいっぱい入れてどんどん水を作る。秋田さんが斧で太い薪を割って細い薪を多量に作る。これはよく燃えて、多量の水が短時間で作れた。深澤さんが薪割りを試すが割れない。秋田さんの指導を受けると見事に割れた。皆で拍手。薪割りで盛り上がった。
 さて、任せられた夕食は、友人のアドバイスをもとにしゃぶしゃぶをチョイス。皆さんに持ち寄っていただいた大量の肉・野菜を大鍋に入れて、薪ストーブの上に置き、豪快に煮込み(この時点でしゃぶしゃぶではなくなる)、ポン酢とゴマだれでいただく。貸し切り宿では薪ストーブで暖をとりつつ、下界で食べる夕食よりも栄養・ボリュームとも豊かな食事に、お酒が入り、山とアルツハイマーの話でおおいに盛り上がった。

 2日目は、2時半起床でご来光を拝みに、先ずは麦草岳への稜線に向かう。将棋頭山の端から光が差す前から、木曾駒や御嶽は柔らかいピンク色に染まってゆく。雪山に来るたび、白い峰々の清潔な美しさに魂を揺さぶられる。ここからの急登は雪の固い早朝に登っておきたい。つい写真ストップで歩みが滞りがちなのをたしなめられつつ、アイゼンを一足一足深く踏み込んで進んで行く。やがて岩のピークの駒石に到着。この岩場の切れ目を岩を抱え込みながら回り込み、あと一登りすると、ここも展望に優れる麦草岳のピークに到達する。山頂から少し行くとハイマツ漕ぎになり、これを踏みしめ・踏み抜き・掻き分け少し下るが、そこから先の木曾前岳の尾根へのアプローチが定かではない。ハイマツ帯の先は鋭く大きく切れ落ちている。その先に見える岩場はいささか手ごわそうであり、木曾駒本峰往復には装備・時間の点でも不安である。ここから引き返すことになったが、小屋までの道を再び辿るときも、メンバーは皆笑顔で、朝の清々しい山の空気を満喫しながらの稜線歩きとなった。

 5月中旬ではあるが、いまだ雪多いこのコースへの入山者は、我々の他は、下山時にすれ違った単独の日帰り装備の若い男性のみ。今回は、直前のコース変更という事情もあり、トレースも無い岩稜帯に立ち向かうには装備不十分であったが、易しい印象の木曾駒ヶ岳も雪のコンディションやコースによっては、難しい山になることを知ることにもなった。

 麦草岳-七合目避難小屋間から見える御嶽山は、緑深い木曾谷を懐に抱き、ひときわ雄大な山容を誇る。馴れ親しんだ父なる霊峰に、今回の山行の充実と僥倖を感謝しつつ、春たけなわの山麓に下った。

 

<コースタイム> 
1日目:木曾駒高原スキー場駐車場8:40―林道ゲート―幸ノ川徒渉―10:05四合目―
   10:50 四.五合目(力水)―11:45五合目―12:50六合目―14:40七合目避難小屋着
2日目: 7合目避難小屋4:00― 4:43稜線にてご来光―5:15麦草岳―
   5:40難路で引き返しを決定―途中お茶タイム―7:00七合目小屋着8:35― 9:10六合目―
   9:50五合目―10:10四.五合目(力水)―幸ノ川徒渉―林道(ゆっくり・ノンビリ歩く)―
   11:50 スキー場駐車場着

 

 
御嶽山が良く見えました
 
  ご来光です。18日、4時44分撮影
 
 
この先、難路であるうえルート不明のため
、ここまでとして引き返しました。
バックは手前が木曾前岳、奥が木曾駒ケ岳。

 
  七合目避難小屋の中。
薪ストーブを囲んで楽しい美味しい食事とお酒です。

 
 
麦草山(2,724m/標柱表示)
この付近のみ雪が溶けていました。

 
  下山中のパーティです。
5合目付近より下では雪がありません。

 
 
避難小屋の前は三叉路になっています。
バックは御嶽山です。

 
  7合目避難小屋に到着です。
よく手入れされたきれいな小屋でした。
右側はトイレで夏用と冬用がありました。

 
 
スキー場跡からスタートしました。
先ははるか彼方、とても長そうです。

 
 
 

 



会山行報告目次へ     HOMEへ