日程: 2015年5月2日(土)~4(月)
メンバー: 藤野(CL)、杉元(SL)、近藤(記録)
報告: 近藤
 
八方尾根よりご来光を見る。小屋は八方池山荘。
 
  五竜岳山頂にて。

 

 5月2日(土)晴れ。白馬駅、14:02着(特急あずさ55号)にて集合。大糸線の山に以前出かけたのは30年位前である。 夜行列車で行くことがほとんどであったが、今回は午前中発で車窓から山々の風景を楽しむことができた。 日野春付近から見る甲斐駒ヶ岳が気にいているという友人がいて、これをあらためて見ることもできた。
14:02、予定通り白馬駅着、全員と合流。共同装備を受け取って、タクシーにて八方アルペンライン「さんろく駅」へ。 リフト乗車券を購入、荷物代は15kgを超えると必要となるが、3人とも15kgジャストで荷物代は無料。 こぶこぶの斜面を苦戦しながら滑るスキーヤー(ボーダーはいない)を見下ろしながら、3つのリフトを終点まで乗継ぎ、八方池山荘へ、 15:00チックイン。18:00の夕食までは十分な時間があり、尾根の雪面に出て、お借りしたビーコンの使用説明を受け、明日からの行動に備える。
八方池山荘の夕食は、バイキング方式、各種の揚げ物をベースに焼き魚、ロールキャベツ、惣菜、サラダなど、山小屋としては豪華である。消灯は21:00。  明日3日の天候は晴の予報であるが、4日は日本海と東シナ海から南岸沿いを進む低気圧の影響で、午後は崩れる見込みとのこと。 明日は五竜小屋までの行動時間や今後の天候の推移も考慮し、4時起床、朝食はお弁当にしてもらい出来るだけ早い出発を期す。
 
八方池付近より、不帰方面。   八方尾根より五竜岳(右)と、鹿島槍ヶ岳(左奥)
 
 
八方尾根で見かけた雷鳥。黒いところの方が多い。   参考写真
 
 5月3日(日)晴れ。4時起床。まだまわりが寝静まる中、朝食のお弁当を早々に食べ、出発準備を整え4:50八方池山荘発。寒気はそれほど感じられない。 雪も出発ではアイゼンを必要とするほどでもなく、ヘッドランプもすでに白々と明けており必要としない。 しばらく歩くと陽が昇り、右に不帰から白馬への稜線、左に遠見尾根から五竜への稜線に日が差し、背後に妙高、戸隠の連山が黒々と見える。
5:43八方ケルン。雪を踏むようになるが、藤野CL、杉本SLによれば、例年に比べ雪が少ない。 八方から見える白馬岳直下などは黒々としている部分が多く、主稜の最後の雪壁は雪があってこそ登れるルートなのに、ひょっとすると雪が無く登れないのではないかとのこと。
6:25アイゼン着用。雪のない尾根上の登山道や小ピークを避け、隣接する雪の斜面を選んでアイゼンをきかせて登る。 唐松頂上山荘・唐松岳から下山してくる登山者と交差し始める。
7:45丸山ケルン。尾根上部に行くにしたがって登山道には雪が少なくなった、雪のない登山道をアイゼンで歩くのは快適とは言えないが、唐松岳頂上山荘まで行くこととする。
9:20山荘着。アイゼンを外し、荷物を山荘のベンチにデポして、アタックザックにカメラ等の必要品だけを詰めて頂上へ。
9:45唐松岳山頂。立山、剣岳及びその北方稜線、毛勝三山等の山々が見渡せる。特に、ここからは立山より剣岳の方がより高く、大きく見える。
岩と雪の風貌が立派に見える。登頂の記念撮影後、山荘に戻る。
山荘の方によると、「例年より1~1.5mは雪が少ない、こんなことははじめて」とのこと、また、五竜小屋からの登山者によれば、 「稜線の登山道に雪はほとんどなく、アイゼンは使用しなかった。五竜岳の山頂直下の雪斜面のみアイゼンを使用した」とのことであった。

CLより「明日、天候が崩れることを考えると、五竜岳には今日中に登り、明日は天候が崩れたとしても、 遠見尾根を下るだけにしておく方が良い」との判断がなされ、早々に行動食をとり、10:28唐松山荘を出発。
五竜山荘までの稜線では、牛首の岩場の下りが要注意であるが、雪もなく鎖場もはっきりしており、夏の縦走と同様に歩ける。 それでもこの季節はスリップすれば急峻な雪渓が切れ落ちており、気は抜けない。大黒岳を巻き気味に下り、11:55最低鞍部に出る。 ここまで来ると危険な個所もなくなり、白岳の斜面をひたすら登り、最後は白岳山頂を巻いて13:25五竜山荘に到着した。

五竜岳アタックのため、早々に宿泊手続きを済ませ、ヘルメット、ハーネス等の登攀用具を着用し、アイゼン等、あとで必要なる装備や軽食等をザックに詰めて、14:00五竜山荘を出発。 五竜山荘からの登山道にも雪はなく、五竜岳山頂に向け一歩一歩詰め、頂上手前の雪斜面でアイゼンを装着、岩と雪ミックスから雪斜面を抜け、頂上稜線を辿り、 15:28五竜岳登頂。八方池山荘から唐松岳を登頂し、五竜岳までのロング行程を無事に乗り切り、登頂できたことに自ずと互いに手が伸びて、握手、記念撮影。 下山では直下の雪斜面を慎重に下り、16:38五竜山荘着。
五竜山荘では、昨夜の八方池山荘とはうって変わり、17:30から30分交代でのあわただしい夕食となった。 ハンバーグ等を20分余りで食べ、部屋に引き上げる。 今日の行程を振り返りながら、ゆったりした気分で食事をしたいところではあるが、ぜいたくは言えない。20:00消灯。
五竜岳から五竜山荘方面。ほとんど夏道が出ている
 
 5月4日(月)曇り時々小雨。5:00起床。雲行きの怪しい天候、五竜岳の山頂は雲に隠れている。
5:30朝食。五竜小屋前では、これから五竜岳に登る緊張気味の登山者が出発準備に忙しい。 我々は天候の崩れに備えカッパを着て、白岳の雪斜面をトラバースのためアイゼンを着用し、6:15五竜山荘を出発。 遠見尾根は残雪が多いが、部分、部分で登山道が露出し、そのすぐ脇の雪渓ではクレバスが走り谷に落ち込み、安易には踏み込めない。 雲間に見え隠れする五竜岳、鹿島槍ヶ岳など振り返りつつ、西遠見、大遠見、小遠見と歩き、9:30アルプス平に無事下山した。

例年に比べこの時期としては雪が相当少なかったようですが、個人的にはしばらくぶりに八方尾根、遠見尾根の雪の斜面をアイゼンで踏むことができ、 アルプスの稜線も歩くことができました。藤野CLの好判断で天候の崩れにも巻き込まれることもなく、気持ち良い山行でした。 また、下山した飯森駅では、残雪の山々を背景に、まだら模様の新緑、息づきはじめた田畑の中を「塩の道祭り」の人の列が続いていく様が、山を終えた充足感と相まって印象的でした。
【コースタイム】
2日:白馬駅(14:02)~(タクシー)~さんろく駅(14:35)~(リフト)~終点(14:50)~八方池山荘(14:55)
3日:八方池山荘(4:50)~八方ケルン(5:43)~丸山ケルン(7:45)~唐松山荘(9:20)
~唐松岳(9:45)~唐松山荘(10:15)~最低鞍部(11:55)~五竜山荘(13:23-14:00)
~五竜岳(15:28)~五竜山荘(16:38)
4日:五竜山荘(6:15)~西遠見(6:45)~中遠見(8:05)~アルプス平駅(9:30)

 



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