日程: 2015年5月16日(土)~17(日)
メンバー: 矢澤(CL)、藤野(SL)、秋田、國井、深澤、松山
報告: 松山
 
木曽駒ヶ岳 山頂です。
 
  山頂より御嶽山方面。
手前のピークは木曽前岳、奥のピークは麦草岳。

 

 週末も仕事かと諦めていた金曜日、出社してみたら担当案件が一段落していた。
もしや、これって土日フルに休めるってこと? 今回の木曾駒行きは、去年の課題への再チャレンジとあり参加したかったが、 仕事との折り合いつかず不参加の予定であった。さすがに前日参加とあってはメンバーにご迷惑なはず。また半年も山歩きから遠ざかっており、 果たして標高差1,600mをこなす体力はあるのか? そもそも夜帰宅しゼロから山支度していて間にあうのか? 心は揺れたが、せっかく巡ってきたチャンス、 逃せばまた山が遠くなる、と思い切って藤野さんに参加の可否を伺ってみた。「了解」とのお返事に、山行への期待と興奮が高まってくる。 この感覚は、いつ以来であったろう。
同コースを予定していた去年は、桂小場登山口への道路崩壊により、木曾駒高原からの入山(福島Bコース)に変更、しかも多量の残雪のためルート判断が困難となり途中下山となっていた。
今年もチーム東海のタフアスリート矢澤リーダーのもとに、去年とほぼ同じメンバー(残念ながら今回ご家庭の事情で急遽参加を見合わされた金田さんを除き)に、 ”だから埼玉”ポーズ普及活動中の國井さんを加えた強者たち(と自称手弱女)が揃い、奇しくも去年と同じの5/16-17に、この聖職の碑コースから木曾駒ヶ岳山頂を目指すことになった。
初日の関東は早朝から大雨で、土曜朝の中央線に山支度の人がほとんどいない。
さえないコンディションではあるが、明日の晴れの予報を信じて、カッパ、スパッツ、ザックカバー姿で登山開始。
時折雨に見舞われつつ、目的地の避難小屋までは、整備された若葉まばゆい唐松林の登りが半分以上で、途中崩壊地の高巻きや、大雪の置き土産の倒木に少々てこずりながらの3時間少々の道のり。 ぶどう清水での秋田さんの水質評価は「あんまりおいしくない」。権兵衛峠へと通じる馬返しに着くころには雨も上がったが、運動不足の身体に重荷が堪えてきたようだ。

2,000mを少し超えたところにある大樽避難小屋は、土間の奥に8畳程の板の間があり6人には十分以上の広さ、5分も歩かぬ先には水量豊富な水場ありと快適。
広さ自慢というトイレは倒壊していたが”便袋式”の新しい簡易トイレが小屋脇に設置されていた。小屋周辺に残る雪もわずかで、例年になく融雪が速いと矢澤さん。
さっそく小屋にあった長板や一斗缶の空き缶を持ち出、し簡易の長テーブルを設置すると賑やかに宴会である。いつになくはしゃぐ秋田さん、藤野さんと矢澤さん。
マッサンブームの余韻か3種揃ったニッカウィスキー、ビール、焼酎に日本酒が、豊橋名物の竹輪・揚半等の美味な肴とともに空く頃には、シェフ深澤特製の牛豚野菜たっぷり鍋ができあがる。
2種類のタレと大量の生鮮食材はシェフが下ごしらえのうえ、國井さんと担ぎあげてくださったもの。
栄養バランス・ボリュームとも抜群の鍋(こちらも2年連続参加となった藤野さんの大鍋)を平らげたら、翌朝2時半の起床に備え19時に就寝する。

今夜の宿、大樽避難小屋に到着したところです。
 翌2日目は予定通り4時過ぎから歩き始めるが、ヘッドランプに頼る間もなく空がサーモンピンクに染まり始め晴天を確信する。 樹林帯に響く鳥の囀りに時折強風の音が混じる中、矢澤さんが拓くルートにアイゼンを踏み込んで胸突八丁を登る。 高度をあげるにつれ、朝日に輝く伊那谷の水田が、枝越しには乗鞍が、穂高が、槍がくっきりと姿を見せ始める。 稜線まであと僅かという所で、斜度のあるトラバースがあり少し緊張するが、登りきると木曽谷の向こうから御嶽が堂々たる姿で迎えてくれる。 よく見ると雪化粧の山頂の一角は灰色混じりで、今も噴火が続くことをうかがわせる。 昨年9月の御嶽山噴火の迫力は、この山からもよく観察できたであろうとふと思う。 軽い高山病の症状もあってか、起き抜け2時間少々の急登がかなりキツイ。 心配された稜線の風はさほどではないが、意外に気温が低い。 アイゼンを外し防寒具を整えて、残雪少ない山頂までの長い稜線を歩き始めた。 途中コース名の由来となった102年前の遭難の碑に手を合わせる。 尋常高等小学校の修学旅行登山で夏の嵐により遭遇した11名の凍死事故と聞き、数年前のトムラウシでの痛ましい大量遭難が思い出される。 雨あがりの「中央」アルプスの稜線からは、日本中の山という山が見渡せると錯覚できる程の360度の眺望だった。 否が応でもテンションが上がる。いつしか頭痛も忘れて、写真を撮りあいながら歩き続けるものの、頂上はまだ見えず、歩くスピードは落ちる一方。 ガンバと声をかけてもらって到着した山頂は、千畳敷からの若い登山者で賑わっていた。 宝剣から南駒、空木に連なる稜線に見とれながら、そういえば昨日の朝から他のパーティーに会わず、こんにちはを言う相手もいなかったことに気づく。 記念写真をとってもらったら、風が冷たい山頂を早々に後にする。何しろ今日の行程、ここでまだ半分にも達していない。 再び長い稜線歩きとなるが、重い冬靴で夏道、特に岩稜帯の上り下りを繰り返すうちに脚に疲労がたまってきたようだ。 仕事が違うと靴がブツブツ言っているような気もしながら、2時間少々黙々と歩むうちに稜線歩きが終り、再びアイゼンを履いて小屋までの下りとなる。 樹林帯の中を、コースを探り、障害の少ない場所を見つけては木につかまって半ば滑りながら下る。雪山はこの自由とスピード感がたまらない。 「倒木は雪解けともに跳ね上がるので要注意」との矢澤さんのアドバイスを実証しながら下るうちに、案外短時間で小屋に到着。 ここまでで10時間の行動にかなりへたれてはきているが、再び重荷を背負って2時間下る。 清々しい新緑やスミレ、チゴユリ等の可憐な花々が咲きみだれる様が目を楽しませてくれるなか、単調な下りの終わりを切望していると、水力発電設備が見え、登山口に17時に到着。 豊橋までのロングドライブが残っている矢澤さんを見送って、関東の5人も國井さんの運転で渋滞に巻き込まれつつ東京に戻った。 今回の山行では、気象・コース状態、メンバーの全てに恵まれ、春山の恵みの最良のエッセンスを楽しむことができたように思う。 直前飛び入り参加を受け入れて下さったメンバーの皆さん、大変お世話になりありがとうございました。 体力不足を痛感した2日間になったものの、なんとか無事にロングコースを歩き通せ、再び山に向かう気持ちを取り戻せたような気がする。 13時間の行動が翌日に疲れも筋肉痛も残さなかったのは、山行中の十分な栄養摂取の御陰ではないかと思う。本当にごちそうさまでした!  早くも来年秋の福島Bコース企画が浮上していると聞く。今度は金田さんとも木曽駒の頂上に立ってみたい。
 
胸突ノ頭付近 稜線に出るところです。
 
  輝く木々と朝靄
 
 
遭難記念碑
 
  山頂を目指して進みます。この辺りは広いですが、馬の背は狭いです。
 
 
山頂に到着
 
  岩稜を下る
 
【コースタイム】
1日目:桂小場登山口発9:55 ブドウの水場10:30 馬返し12:35 白川分岐12:45 大樽小屋着13:20 (計3時間25分)
2日目:大樽小屋出発4:10 六合目5:10 7合目6:05 胸突の頭6:10 尾根6:15 分水嶺標識6:35
西駒山荘の上7:15 遭難記念碑7:45 山頂10:10。下山開始10:35 西駒山荘の上12:35
分水嶺標識13:00 7合目13:20 大樽小屋着14:15 大樽小屋出発15:10 ブドウの水場16:35
桂小場登山口着17:00。(計12時間50分)

 



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