◆北岳バットレス・第4尾根登攀    藤野孝人

2006年8月18日〜19日、仲間と二人で登攀してきましたので、以下に報告します。

<コースとタイム>
8/18 :広河原(12:45)―大樺沢コース―二俣―白根御池小屋(16:10/泊)
  19:御池小屋(4:20)―下部岸壁帯bガリー大滝取り付き(6:30-7:00/登攀準備)―3ピッチ―歩行―カンテルート取り付き―3ピッチ登攀
     ―第4尾根主稜取り付き(9:15-20)―8ピッチ登攀―終了点(12:40-13:10)―歩行―北岳山頂(13:30)―肩の小屋(14:00-25)―
    白根御池小屋(16:10/泊)
   20:白根御池小屋(6:20)―広河原(8:20)

第4尾根の取り付きまで
 二俣より八本歯方面へ小一時間で、巨大な石のある「バットレス沢」に出会う。この沢を通り越して右岸の尾根を詰める。やがて木登りとなり次いで沢状となると、前方に赤っぽい岸壁が見える。これが下部岸壁帯のbガリー。先行パーティが取り付いるのが見えた。ガレた沢状を詰めて登攀ルートの大滝の下に到着。ここで登攀の準備をする。第4尾根に取り付くには、まずこの下部岸壁帯を越えなくてはならない。V級、V級、U級の3ピッチ。本チャン前のトレーニングに丁度良い。終了点から一段上がって、ロープをしまう。これより歩きとなる。cガリーを横断し、汚い岩尾根を見送り、きれいな岩の「カンテルート」の取り付きに到着。V級2ピッチとガイドブックにあったが、一、二歩、V+〜Wのところがあった。しかし、ハーケンが多く快適にいける。3ピッチで登攀すると、突然、第4尾根の取り付きに出た。

第4尾根の登攀
  1ピッチ目:30m「W+〜X-」コーナークラック。 最初の5mほどが難しい。カムの#3を使用する。バッチリ決まってクリア。あとはV。ハイ松に
        支点を取って、セカンドを確保する。
  2ピッチ目:35m、V。緩い傾斜でスイスイと行けた。
  3ピッチ目:40m、V。白い岩のクラックで、ホールド、スタンスも豊富で快適。
  4ピッチ目:20m、V。簡単。5ピッチ目のコルに到着。3人組の先行パーティに追いつく。2人目が登りだしたところであった。しばらく待つ。
  5ピッチ目:30m、最初の5mほどの垂壁がX。他はV。4尾根は、この個所と1ピッチ目の最初の5mが核心。垂壁の左側にハーケンが3本連
         打されている。これにヌンチャクを掛けるが、登るのは右のカンテ沿いの方が、よいホールドがつかめるので楽。これを登るとナイフ
        リッジで左右どちらも切れているが、適度にハーケンがあり、フリクションもよく効き快適である。見通しが良いとスリルがあるかも
        知れないがガスで見えない。どんどん行くと、「マッチ箱」。、懸垂下降のポイントに到着するが、先行組が下降するまで、しばらく待
         つ。懸垂下降 :dガリー側に10mの懸垂下降。ハーケンには多数の残置シュリンゲがあり、これを使用する。
  6ピッチ::30m、W。先行組のラストが登るのをしばらく待つ。クラック沿いから登りだし、フェイスを登る。ハーケンが数本あり、ヌンチャクを掛
         けながら行く。先行組の横に入り。残りのハーケンを利用して確保する。
  7ピッチ目:30m,左の凹角はV+、右のスラブ状は「X-」。先行組は左のルートを取ったので、右のルートを取る。左右がスパッと切れている
         がフリクションがよく効く。リッジの傾斜は緩い。「枯れ木テラス」に到着。ビレイ点はハーケンが二本。先行組がこれを使用してい
         るので、枯れ木の太い根元に近い部分にシュリンゲを使ってビレイ点を作る。ここは晴れていれば、最高に絵になるところである
         が、生憎ガスで見通しが悪い。また、写真を撮る余裕もない。
  8ピッチ::30m、V+。簡単にクリア。ここで事実上の登攀は終了。
  9ピッチ::40m,U。念のため、ロープを使用したが、ほとんど歩いていける。テントを張れそうなスペースがある登攀終了点に到着。ハーネス
        を外し、靴を履き替え、大休憩。やったと実感が沸く。

 8月初旬チンネをやったとき、剣沢で待たせてしまった仲間と行きました。4尾根は技術的にはあまり難しくはありませんが、何よりも体力が要
  ると思いました。また、機会があれば行きたいと思います。

 


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