【西暦2006年に茶臼山2006m記念登山と高原歩き】

佐藤 有信

        9/30〜10/1 参加者(敬称略):堀内晃代(リーダー)、別所宗郎、萩原眞理生、佐藤有信
 新宿駅集合、朝7時のあずさ1号で出発、早速にぎり飯を頬張り朝食をとる。途中八王子で別所さんが合流、甲府を過ぎると車窓から甲斐駒ケ岳、北岳、八ケ岳が目前に迫り、久しぶりの山行に胸が高まる。松本駅前バスターミナルより美ヶ原高原行きの路線バスに乗り込む。市内を抜けると林道沿いにはシラカンバ、アカマツ、カラマツが続き、谷筋には岩壁が見えてきた。更に山道を走り、ビーナスラインと別れる扉峠で降りる。身支度を整え、茶臼山入り口の道標より出発、いきなりの急坂となった。周辺の樹林帯にはカラマツ、ミズナラ、カエデ類などが林立している。この茶臼山一帯の森林にも冬眠を控えたクマが生息しているとの情報、別所さんは既に用意周到でクマ除け鈴を持参で一安心。十分に注意が必要。高度も上がり10分ほどの小憩。静寂の中、近くでジェーッと聞こえるカケスのしわがれ声、ナラやカシのどんぐりを啄ばんでいる姿が目に浮かぶ。さらに登ると視界が開け草尾根から八ケ岳連峰、彼方の雲上に初めて見る北アルプスの常念岳、槍ケ岳がはっきりと確認できた。同行の皆さんに稜線の山名など一つ一つ教えて頂き、予想外の感動でした。

 足元には高山植物の小さな花のウメバテソウ、マツムシソウ、アキノキリンソウ、ハクサンフウロなどが点在し、深まりゆく秋を我々に魅了させてくれる。最後の急坂を登り詰めて茶臼山山頂(2006m)に12時50分登頂。山頂には既に3組の先客がくつろいでいた。早速目的の一つ茶臼山山頂の標識を背に記念撮影、1時間半の休憩で一息入れてベンチに座り昼食となる。堀内さん用意の暖かいうどんや紅茶を作ってもらい、美味しくいただきました。曇空ではあったが、展望は南北アルプス、八ケ岳連峰など全てが眺められた。

 14時30分に出発、周辺はシラビソ林で森林限界を過ぎると平坦な登山路になり、両側が牧柵のある壮大な広さの牛の放牧地となっている。我々は西暦2006のプレートをつけた子牛を探すのに翻弄、夢中になって牛の群れの間を歩き廻るが見つけられずに断念。程なくして高原台地の広い遊歩道に着く。草原が続く塩クレ場を通り、美ヶ原のシンボル“美しの塔”でゆっくり休憩。上空高くカラス、ツバメやトビが旋回している。平地では普段から見るが、標高2000mの台地に居るのもちょっと驚きである。

 目と鼻の先に今日の宿、美ヶ原高原ホテル山本小屋の青い屋根が輝いて見える。宿に着き重いザックを下ろし身軽な格好で東端にある牛伏山(1990m)へ散策、石段をひと登りして着く。山頂には大小のケルンや石碑が立ち、夕景の山なみが素晴らしい。
 宿に戻ると薪ストーブが赤々と焚かれ、下界との温度差を感じる。窓側には天体望遠鏡が置かれてあり、夜空の星座観測も期待したが、生憎の天候で残念ながら“シリウス”の観察はできず仕舞い。風呂でゆっくり汗を流した後、階下の食堂に行くと大勢の登山客で賑わっている。早速夕飯。ワインで乾杯。小屋自慢のジンギスカン料理、岩魚の塩焼などお腹一杯のご馳走に、堀内さんの故郷松本の思い出話や山行体験などの会話が弾み、早めの就寝。

 2日目の朝、王ケ頭に向けて出発。山本小屋玄関を出ると山裾からの冷たい風にジャケットを着込んだ。大草原の中、火山の噴出によって出来た岩石が自然のままに点在している。歩くこと30分、放牧地牛の群れの中に2006番のプレートを付けた子牛を発見。子牛とともに記念撮影、昨日からの念願が叶う。歩きながら左側の山稜、御嶽山、乗鞍岳、北アルプス連峰などを眺めるうち美ヶ原高原の最高点、王ケ頭(2034m)に到達。王ケ頭山頂から下る緩やかな林道にはカラマツ、ダケカンバ、ナナカマドの樹の葉が徐々に色づき紅葉も間近か。途中登ってくる数人の若いハイカーの“こんにちは、こんにちは”の明るい挨拶に元気をもらい自然保護センター・バス停まで下山。始発バスに揺られて美ヶ原スカイラインをひた走り、松本駅までの約1時間、豊かな自然を眺めながらの貸切状態の豪華な乗り心地でした。

 


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