【南秋川小坂志川ウルシゲ谷沢 遡行】  玄 陽成(ゲスト)

◎ 期日:2007年 3月 31日(土)  メンバー:西山、藤野。井上、藤田、玄(ゲスト、東京山楽会)

 今回の小坂志川は、どちらかというと初心者向きということですが、沢登りが初めての私にとっては、やはり未知の世界というイメージが強くありました。少しばかり林道を歩いた所の沢のとりつきで装備を身につけます。いよいよ沢に入り歩き始めます。しばらくは多少両側が迫っているちょっとした谷間を、いくつかの小さな滝を越えながら進んで行きます。最初は水に濡れないように沢床を避けて歩いていましたが、両方の岸が岩で迫ってくるとそうもいかず、ジャボジャボと音を立てながら沢を踏んで行きます。途中からは、どうせ沢靴を履いているのだからと開き直り、子供が雨降りの時にできる水たまりにわざわざ足を突っ込んで遊ぶように、楽しみながら歩くことができました。両側が岩で仕切られたちょっとした池に出くわし、西山さんにならってカニの横這い風の岩にとりついてみました。すぐ下は池なので落ちても危険はありませんが、全身ずぶ濡れになってしまいます。滝を登る前からドボンしてずぶ濡れとはあまりにも情けないので、慎重に、岩登りトレーニングの時のことを思い出しながら、なんとか渡りきりました。

 そうこうするうちに右手に15mほどの滝が現れました。西山さんが先にリードで登り我々も次々と後を追います。滝の傾斜はそれほどでもなく、手がかりもたくさんありますが、足下が濡れているので、足を踏み出すごとにその都度不安がつきまといま。苔が生えている所を避けながら確実に一歩一歩づつ登っていくうちに、少し慣れてきて若干充実感もでてきました。地図では三つの滝が次々と現れるように記されていますが、実際に登ってみるとなんとなく一つにつながった細長い滝という印象です。滝の上部は藤野さんのリードで登ります。3番目の4mの滝は、最後にチョックストーンのようになっていて、そこでしこたま滝のシャワーをあびます。冷たいという思いが半分、逆に気持ちいいという思いが半分で、なかなか普段味わえない不思議な感覚です。

 その後も次々と小さな滝が現れますが、水量、高さともそれほど無く、倒木等を踏み台にしながらなんなく進みます。やがて水も少なくなると、もとは河原であるはずのところが落ち葉で埋め尽くされていて、かえって見えない沢床に足をとられてしまいます。ずぼずぼと膝上まで埋もれてしまう落ち葉街道をひたすら登っていきます。ちょっとしたラッセル気分ですね。
急斜面を一般道に出て、市道山の頂上へ一気にで登りきり、一休みして今度はひたすら下って行きます。ややわかりづらい沢道への分岐から、山の斜面を駆け下りる感じでどんどん高度を下げていきます。でかい石がごろごろしていてザレていたり、木の根っ子で滑りやすかったりで、(あえて変な言い回しで)なかなか下りがいのある斜面です。

 やっと左俣の奥の二俣の出合いまで来ました。水量はあまり無く普通に登山道を下る感覚です。だんだんと水量も増しやがて滝の落ちる音が聞こえてきました。10mの滝は太めの木にロープをかけ、懸垂下降で降りていきます。滝の水流を懸垂下降で降りることはもちろん初めてで、苔等を踏んでズルッとしたりもしましたが、慣れるとなかなか爽快な気分が味わえます。次の滝からは滝にあまり落差はありませんが、滑りやすそうなので右岸から巻いて降ります。しかし巻き道も滑りやすくよほど慎重に行動しないとかえって危険です。高度感はそれほど無いにしても、緊張しながらのトラバースも大変貴重な経験です。いくつか小さい滝を巻きながら下ると、朝方登った右俣への15mの滝が現れました。ここからは来た道(沢)をそのまま戻ります。

 沢登りは私にとって、岩登りのグレードが高いものというイメージがありましたが、必ずしもそうではなく、実は山登りの本来の姿ではないかと思えるようになりました。確かに滝を直登したり、滑りやすい所でトラバースすること等危険はありますが、しっかり技術を磨いて、できるだけ平常心で臨めば、これほど充実して楽しめる山行は無いかもしれません。

 今回はエキスパートの皆様にアドバイスをしていただきながら、非常に良い体験ができました。これからも時間の許す限りどんどん沢登りに参加してガンガン水浴びをしたいと思います。是非池に飛び込ませていただきたいと思います。ありがとうございました。

 〔コースとタイム〕ウルシゲ谷沢出合→沢沿いの林道を歩く→最初の二俣→二俣→2段8m滝上→3m滝3つ目上奥の二俣→稜線(717mピーク近く)市道山山頂795m→左俣の左沢の源頭→奥の二俣→10m滝上→5mトイ状滝下→二俣→最初の二俣→ウルシゲ谷沢出合

 


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