■甲武信岳・集中登山

 ◎2007年6月29日〜7月1日  ◎L:藤野
 鶏冠尾根コース:藤野、斎藤、猪瀬  戸渡尾根コース:堀内、大塚、後上(別途後刻参加)  十文字峠コース:川崎
 

  
             鶏冠尾根                              甲武信小屋にて

【鶏冠尾根コース報告】 猪瀬精孝

 3コースに分かれて行われる甲武信岳集中登山のうち、鶏冠尾根コースに参加させて頂いた。全く知らない尾根で
あったが、鶏冠と聞いただけでニワトリの鋭角な頭を思い出し、トサカが立つほど期待が湧いてきた。29日午後2時半
5名が西八王子駅前に集合、例によって藤野車にて三富村の道の駅へ向った。ここの屋根下にテントを三張り設営し、
夕餉は女性軍が作ってくれた手料理と飲物で盛り上がった。明日の本番前日なので、少しは自重しようかと思っていた
が、やはり好き物同士で夜の11時過ぎまで飲んでしまった。
  明けて30日は早朝3時半に起床した。今日は本番、鶏冠越えの日だ。朝食を済ませ身支度を整えた後、徳ちゃん
コース組に見送られて5時ジャストに道の駅みとみを出発した。西沢渓谷入口までは広い一般林道を歩き、そこから右
に折れ鶏冠山登山道入口に入った。しばらく行くと沢筋に出合い、膝下程度の深さの沢を三回程渡渉した。登山靴に
履き替え進んで行くと第一岩峰の岩場が現れた。ここで全員ハーネスを着ける。第二岩峰の核心部に差し掛かった時、
何んと大粒の雨が降って来た。でも何故か気分は晴れやかで、神様が与えてくれた試練だよねぇ〜なんて言いながら
慎重に岩場を楽しんだ。鶏冠山を巻くように2177m地点に向ったが、この附近のやせ尾根は見事で、人間一人がやっ
と通れる幅しかない。天候のせいか対岸の岩峰が幻想的な墨絵の世界に見え印象的であった。この後木賊山まで登り
詰め、少し下って午後3時半甲武信小屋に到着、他コースの先着組に出迎えられ嬉しい瞬間、正味10時間半の行程で
あった。
  3コースからの集結を祝いビールで乾杯していた最中、驚いた事に神出鬼没の後上氏が現れたので又又乾杯、合計
7名となった。この後は氏持参の焼肉とジョニ黒で小屋番も驚く大宴会が夕食まで続いたのであります。後上さんご馳
走様でした。今日は夕食前に良く飲んだので夜は早めに床についた。
 最終日7月1日5時に朝食を済ませ全員で甲武信岳に登頂、視界ゼロ、金峰方面に向う川崎氏と別れ小屋に引き返す。
下山は皆んな一緒に雁坂峠経由で行う事になった。どんどん進み久渡沢附近に差し掛かった時、ブナの巨大倒木に群生
する茸に遭遇し早速採取した後、出発地点の道の駅みとみに13時無事帰還した。昼食・温泉入浴をした後再び藤野車に
て帰路に付き、八王子の寿司屋にて全完了の和やかな打上げ会を行い解散となった。
 今回バリエーションルートに参加させて頂いたが、この様なコースはとても単独では出来るものでなく、世話役の皆さん
方が下見山行までして連れて行ってくれた事、只只感謝の気持で一杯です。本当に充実した楽しいルートでした。尚下山
途上ゲットした茸はシメジ科のヒラタケで、どんな料理にも良く合う万能選手、その味は抜群でした。店で買う人工栽培茸
など全然足元にも及ばない美味しさ、こんな些細な事からも大自然が作り出す天然の力には勝てないと思い知らされた。
秋には同好の士で大鍋を担いで山に入るのも一興ですね。色々お世話になり楽しい三日間を過ごさせて頂きました皆さん、
本当に有難うございました。改めて厚く御礼申し上げます。

【徳ちゃん新道/主脈縦走路から雁坂峠へ】 堀内 晃代


               (幻想的な霧の中。戸渡尾根)

 1ケ月ほど前に鶏冠尾根を下見して来た人の「石楠花が見事だったよ」の言葉に、少しは咲き残っていてね・・・と期待し
つつ、鶏冠尾根隊の後に出発。西沢渓谷を愛した田部重治文学碑を後に7月なのに新緑で雨上がりの気持ちの良い徳
ちゃん新道を登る。高度が上がると緑の絨毯があちこちに転がっている。絨毯の上に小さな樹木の命が芽吹いているが
この小さな命幾つ残ってくれるかしら。霧が山々を包み始める。今までの景色が一転して仙人・仙女の世界になってしまう。
この霧が緑の絨毯にはとても大切で、また、私たちへの水の一滴になっているのかも知れないと思うと、霧でしっとりとして
きた体も、ザーと一時落ちた雨も感謝しなければ。でも、鶏冠尾根でがんばっている人には危険がともない、迷惑なもので
ある。心配をしながら(無線連絡とれず)幻想的な霧の中を登る。
 落とし文が落ちている。樹木の葉を巻いてゆりかごを作り中に卵を産み付け、ゆりかごが巻物の手紙に似ているので落
とし文といわれているゾウリムシ科の昆虫です。なんとも見事な出来栄えです。どんなに器用な職人さんでもこのようには
出来ないと思います。ひとつ開いてみると針の先くらいの卵が2個葉の先端に産み付けてある。開いてしまいごめんね。
 石楠花のトンネルの花は終わっていて残念。陽の当たる斜面に今度はピンクの絨毯。いわかがみの花です。次は黄色
の絨毯。キジムシロの花です。石楠花は終わっていましたが嬉しい出迎えを受けました。緑・ピンク・黄色の後は若草色の
シダで足元もしっとりした湿地。少し下りです。ほっとした反面、残念の気持ちの方が多い。木賊山に到着。鶏冠尾根の人
もここに登って来ると聞く。両側イワカガミの花がみごとな稜線。甲武信小屋に到着。昼食。
 十文字峠から1人到着。鶏冠尾根組も無事到着。徳ちゃん新道からも1人到着。なんと昨夜我々のテントの近くに居たの
にお会いできなく、後から来て下さり大宴会。宴会の様子は猪瀬さんの報告にお任せ。夕食後小屋のご主人の写されたビ
デオを見せていただく。谷の深さ。水の豊富さ。花々や樹木の季節季節の素晴らしさを堪能。
 翌日は甲武信岳に。何も見えない。足元はイワカガミの花。国師岳・金峰山に向かう1名と分かれ、雁坂峠へ長い尾根道
を歩く。西破風山になかなか到着しない。石楠花の花が慰めのためか咲いていてくれているが、どうもリーダーが一人で早く
行くのは西破風山の頂上を遠くに移動させているのではないか?との結論。ガスっていて展望はゼロ。東破風山、雁坂嶺と
尾根の木々もあまり変化なく。雁坂峠でお花畑に。まだ、花の季節には早いのか、花々には会えなかった。雁坂峠から沢沿
いに石楠花橋までしっとりとした路の下りです。昔は人馬ともこの峠を往還していたのだ。今は車で何分かで越えて行ってし
まう。この長い登りは大変だっただろう、下りで助かったと思いながら歩く。石楠花橋。広いアスファルトの道。この長い下りに
は猪瀬さんの文中にも出てくるお土産がいっぱい。その後、皆様からのメールなどをいただき、食しても無事であることが分
かり安心。安心。お世話になりました。       

 


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