◆念願の「奥茶臼山」−最高に良かった山−(2007.8.27) 塚本 稔


            (倒木地帯を行く)

 茶臼山(2473.9m)は日本三百名山に選ばれている山ですが、交通の便が悪くゲートがある大鹿村の青木林道
を約14キロ(4時間)も歩いた先に登山口があり、そこから山頂まで2時間位かかりました。ところが以前から歩か
れていた、しらびそ峠から尾高山までの登山道を、昨年の秋に飯田市が奥茶臼山まで延長整備しました。この整
備のお蔭で、しらびそ峠〜尾高山〜奥尾高山〜奥茶臼山までが日帰りで往復出来るようになりました。この事を
「新ハイキング」で知り、10年来の念願だった山行ができるとか分かり、すぐに計画して行って来ました。

 しらびそ峠は1833mあり南アルプスの荒川岳、大沢岳、兎岳、聖岳等がよく見える展望台です。峠より少し先
まで車で進みますと、標高1918mの高原に、大きな建物の公営宿泊施設「ハイランドしらびそ」があります。8月
25日の夜「ハイランドしらびそ」に予約を入れて、26日に泊まり、27日(月)朝5時に宿を出て、奥茶臼山に登りま
した。しらびそ峠の登山口には熊出没注意の看板が立っています。鈴をつけて登山口を5時20分に歩き出し、笹
の中の細い道を登って行きます。30分位で展望台ですがここからは昨夜泊まった「ハイランドしらびそ」が見えます。
まもなく前尾高山に着きますが先に進みます。ここから急坂を下ってしばらく行き登り返しますと、6時45分に尾高
山(2212.4m)に着きました。

 山頂は苔の地面にしらびその木が密生していますが、細い木は自然淘汰で徐々に枯れていくようです。山頂右
前方に展望台があり、そこからは南アルプスの山々が見えます。小休止と記念写真を撮り出発しますと、すぐに急
な下りになり道も徐々に細くなりますが、よく踏まれています。整備されて間もない道にしては大勢の方が歩いてい
ると思いました。苔やシダの生えた明るい平坦地を通り再び登り返すと、7時30分しらびその木に「奥尾高山2266
m」の表示板が取り付けてあるピークに着きますが、展望はありません。

  先に進みますと、これから行く奥茶臼山が見える所 先に進みますと、これから行く奥茶臼山が見える所があり
ます。その先の平坦地は台風の通り道なのか古い倒木の上に、若木の折れた倒木が折り重なっています。新し
い倒木はチエンソーで切り、道を開けてあります。古い倒木には苔が緑のジュータンを丸めたように一面に生えて
います。しばらく行きますと2269mのピークがあります。ここを8時30分に通過し、先に行きますとまた平坦地が
あります。やはりここも強風の通り道か風倒木があり陽が差込んで明るくなっています。腰を掛けるのに都合の
良い若木の倒木が有るので9時8分休憩、この平坦地は一部登山道を見失う所があります。今迄は針葉樹が密
生していたので、しつこい程に赤テープの目印が有りましたが、木が疎らなため目印がないのと踏み跡もあまり
ないからです。

 平坦地を抜け暫く行くと低木帯の明るい斜面をジグザグに登るようになります。登り切りますと、古い太い乾燥
した倒木が有り、周囲の木は縞枯れ状態で八ヶ岳を思い出します。右前方には人の手が入ってない展望台があ
ります。ここから10分位登るとあっけなく岳樺等に囲まれた奥茶臼山の山頂に9時46分に着きました。立ち木に
表示板がありますが、文字がはっきり分かりません。地面に三角点でしょうか、十字を刻んだ石をコンクリートで
四方を補強し、その上に、奥茶臼山と書いた白い表示板を取り付けてありますが割れています。眺望は良くない
ので先に進み、青木林道からの登山道を下りますと、広い伐採地に着きます。ここは180度山々が見えます。
人工的な構造物は何も見えませんが、山肌を削った青木林道が真近に見えます。ただこの伐採地は作業の重
要地点だったのか作業及び生活の残骸がありました。

 山頂では食事と記念写真を撮り10時30分帰路につき、10分程下ると展望台に着きます。木肌の浮き出た太
い倒木に乗り南アルプスの山々を眺めましたが、山頂部分は雲の中に隠れて見えないので小休止後出発しまし
た。これからは来た道を戻るだけですから周囲を見ながら歩きまと、地面や倒木を覆った緑色の苔が目に優しく
映り、しらびその木肌はぶなの木肌と同じ模様に見えて、太古の森林の中にいるような幸せな気分になります。
峠から2時間位歩いただけで人の手が入ってない、自然の姿が見られる事は素晴らしい山です。

 来る時は余り気になりませんでしたが、何回もアップダウンがあり、木の根が露出した尾高山の登りは疲れの
出てきた体には応えます。尾高山に13時15分に着き、10分休んで出発しました。これからは下り一方かと思っ
ていましたがそう簡単にはいきません、最後に前尾高山への登りが待っていました。しらびそ峠の登山口に着い
たのは14時45分です。往き4時間26分、帰り4時間15分で時間差が11分しかありませんでした。
 奥茶臼山は距離が長く、急な所が少なく、土の道で足に優しく歩けそうなので軽登山靴を履き、荷物を軽くして
来たのが当たっていました。また下界は真夏日なのに森林の中を歩いていたので、晴れていながら暑くなく、風
もある天候に恵まれ歩き通せました。そしてゴミが1個も落ちてなく、周囲の景色も良く、登山道も良く、静かで
(下山するまで誰にも会わない)最高に良かった山です。来年は初夏に花を見に再訪したいと思っています。
 今回の山行は実弟(山男)、義弟は山の初心者(今年の5月28日西沢渓谷から始め7回目)と私の3人で歩き
ましたが、兄弟が一緒に楽しく無事で歩き通せた事に感謝しています。

 


個人山行報告目次へ     HOMEへ