◆「おんたけスカイレース」 −真ん中より速かった!− 矢澤昭文

  レースの結果を知らせる記録表が届いた。
 「記録〈4:17:19〉 順位 128位  年代別順位 10位」と記載されていた。他に一覧表が入っていた。トップは
外国の選手で〈2:29:26〉だった。2位には日本の宮原選手が入っていたが、この選手は、今年の富士登山マラ
ソンの優勝者だったそうである。標高差2000mをひたすら上り、そして下りてくるというこのコース、2時間30分と
は驚くばかりである。ゴールした最後の選手は〈8:05:54〉で333位だった。また自分と同じ50代の最後は
〈7:24:34〉で36位だった。自分の128位は128/333であり、年代別では10/36である。いつも思うのは『真ん中
より速かったからまぁイイカー』。

 「スタート地点の標高933m、御嶽山頂上3,067m、山頂のお鉢巡りをした後は一気に下り、ゴールは銀河村
キャンプ場で1,430m」というのが「おんたけスカイレース」である。当日、9月2日は前日からの悪天が続いていた。
山頂はガスが濃く視界が悪いということで、お鉢巡りがカットされ、王滝頂上からの折り返しというコースに変更さ
れた。トップクラスの選手はこれで一気に駆け上っていくのだろうが、自分にとっては標高差2000mの上りには変
わりがない。年齢を重ねている身では、この登りにどこまで耐えられるかが不安だった。予定より10分遅れ、7時
10分のスタートとなった。舗装路のいきなりの急登である。初めからこんな急登は走れない。歩くことに決め、後ろ
を振り返ると選手は10名ほどしかいなかった。

 先は長いのだと呟きながら傾斜が緩くなるまで歩いた。それがアップとなり心臓の拍動が徐々に上がり、ランニ
ングを始めた。やがて林道、先の選手を少しずつ抜いていった。ゆっくりとランニングを続けていたがそれもギブア
ップ、再び歩くことになった。やがてコースはスキー場内へ入っていった。高度が上がるにつれ傾斜が増してきた。
何度目かの急登を越えると田の原だった。ここから少しは走れるかなと思いきや、それまでの疲労か、あるいは
酸素が薄いのか、結局歩いて進むしかなかった。傾斜は徐々に増してきた。そしてその辺りから既に下ってくる
選手とすれ違うようになった。同じ人類とは思えないスピードにただただ唖然・・・。

 天候は悪く視界もきかず雨も降っている。森林限界を超えたら寒くなるだろうと思い雨具を着た。ごつごつした
岩場の急勾配を登り王滝頂上に着いた。やっと下りかと思ったがコースは奥の院に向かっていた。そして下りが
始まった。雨の中の岩場の下りは慎重に、しかし上りが弱い自分にとっては下りでタイムを稼ぐしかないと足を
進めた田の原で補水しスキー場に突入した。このスキー場の下りが両足に過酷に迫ってきた。足の筋肉が縦に
裂けるのではないかという感覚だったが、我慢して足を下に運んだ。下り終わった最後に数十mの登りの階段が
待っていた。それを乗り越えゴール。先にゴールしていた女子30代で1位だったミカリンこと山口美香さんと握手
をした時、自分の「おんたけスカイレース」は終わったのだと思った。

 その4週間後の9月30日、地元の愛知県新城市で「三河高原トレイルランニングレース」があり参加した。東三
河トレイルランニングクラブの会員5名が32kmの部に出場した。これは標高差300mのまさにランニングの世界
だったが、当日は雨、林道を走る部分も多かったが、一旦山道に入ると泥んこ状態だった。その重い泥んこに足
をとられ筋肉が悲鳴をあげていたが、全員が完走でき嬉しかった。

 そして今年最後となる都岳連の「山岳耐久レース」にも金田安代さんと一緒に参加、矢澤は585/1540と、やは
り真ん中より速く、一方、金田さんは50歳代女性の4位と大健闘、表彰を受けた。

 


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