◆北岳バットレス ―忙しかった日々、2日間の休日− 福寿新一


【日程】2007年9月18日〜19日
【メンバー】福寿、杉坂ガイド


 9月19日4時、白根御池小屋は闇夜、霧雨、まだ誰も起きる気配なし。二俣へ向かうルートも分かりにくい。
快晴であるはずの予報を信じて黙々と歩く。
4時30分二俣、さらに大樺沢沿いの登山道を行く。右のバットレス沢に入る頃にようやく薄明るくなってきた。
遅い夜が明けたのかと思いきや、空を見上げれば明の明星が大きくキラキラと輝いているではないか。我々
が雲の上に出たのだった雲海に浮かぶ峰々、爽やかな空気、これから始まるわくわくする登攀、人生も捨て
たものではない。暑い中、土日も無く雨の日も休まず忙しかった日々の2日間の休日、大いに楽しませてもら
おう。
 下部岩壁取り付きまでの草つきは急勾配で足元も悪い、下るのは御免こうむりたい。6時30分bガリー大滝、
下部岩壁取り付き着。名前のイメージからしてガラガラと思っていたが、すっきりとした岩壁。少し右のクラック
を登る。ここは登山靴で登ったが、我々クラスならフラットソールがベターであろう。スメアリング、ジャミングを含
み細かいホールドを丁寧に拾いながら、それでも2ピッチ目には広いスタンスにエイ、ヤッと体を持ち上げる。
7時30分下部岩壁終了。いやらしい草付をコンテニアスで左上、cガリー大滝の対岸に赤丸印あり、その上が
第4尾根の取り付きだ。8時着。

 8時20分、登攀開始、コーナークラック。皆が同じ所を登る為岩が磨かれ少々手こずる。歳のせいか、練習不
足か、仕事疲れか、後はホールドを的確に拾えば、そ後はホールドを的確に拾えばそう難しくはない。5ピッチ目
の出だし4m位の屹立した三角の岩壁、ここが核心部。ピッチグレードX、つるつるの岩にスメアリング。練習場
でもないのでA0で軽く乗越すと狭いリッジ、両側が遥か下まで見える。滑れば振り子のように落ちていくだろう。
が、何故か怖さを感じない。
 知り合いのガイドの小野さんが、仲間的存在の客2名と左下部のdガリー奥壁を登ってくるのが見える。昨日
小屋で会った時、しきりに左側へ石を落とすなと言っていたっけ。あのグループは客がリードしているな、親方は
下でああだこうだ言っている。

 マッチ箱の頂上に着く、ここから15m位の懸垂下降。稜線に沿って向こう側へ下りるのかと思っていたが、側
壁をdガリー奥壁側に下りる。快適。後は簡単な岩場2ピッチで終了点、10時40分着。靴を履き替えて北岳頂
上へ11時着。12時35分白根御池小屋着。南アルプス市営の真新しい小屋、13時出発、15時広河原着。
  好天に恵まれ素晴しい山行だった。

 


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