◆ 涸沢・北穂高岳・涸沢岳 

   −快晴!くらくらしそうな大展望−  深澤 裕

[日 程]2007年10月8日(土)〜10月10日(月)
[ルート]上高地〜横尾〜涸沢(テント泊)〜北穂高岳〜涸沢岳〜涸沢(テント泊)〜横尾〜上高地
[メンバー]深澤 裕、Tさん(友人)

 2年ぶりに涸沢にテントを張りました。10月の上旬に涸沢に入り始めて5年になります。この頃は紅葉の見頃。
10月の声を聞くと心は紅葉の涸沢に跳んでいます。今年は例年より一週間ほど紅葉がおくれていました。まだ
ナナカマドの紅が映えていません。横尾山荘から、屏風岩を左に眺めながら涸沢の谷に入って行くと青空と黄色
に彩られた光がサングラスを通して入ってきます。この光の透明度、空気の透明感がたまりません。
 朝6時に上高地に入り、歩きはじめたのが7時頃。爽やかな風を感じながら横尾山荘を10時頃通過、涸沢に着
いたのが1時。今年も涸沢は込んでいました。この日、涸沢ヒュッテは700名以上の宿泊者だそうです。泊まった
方に聞くと一畳に4名とのこと。座って寝る状態です。僕らは4人用のテントに2人と贅沢です。テント場も200張り
以上のテント村ができています。この連休は1500人以上の人が涸沢に入っていると思われます。テント受付も
50人ぐらい並んでいます。2時にはテント設営終了。早速宴会の準備です、何しろ2時45分には太陽が奥穂高岳
の向こうに沈んでしまうのです。

 今回の山行は涸沢の紅葉を愛でながら酒を楽しむという趣旨です。涸沢ヒュッテで「涸沢氷河ワイン」というハーフ
ボトルを1本買い、味を確かめます。つまみはフェタチーズ(山羊のチーズ)とクリームチーズのゴーヤのスライスから
始まります。味は生のゴーヤが勝ってしまうのではないかと思っていたのですが、フェタチーズは塩味が強いので負
けていませんでした。麦焼酎・泡盛と酒がつづきます。最近カボス割りにはまっていて、この日もカボスを持参。今日
は今シーズン初のキムチ鍋、大事に背負ってきた豆腐を入れて完成です。Tさんは嘗て銀座で和食の板前さんをし
ていただけあって、味は保証付きです。東の方はなだらかな蝶ヶ岳が黄金の向こうに見渡せます。奥穂高岳、前穂
高岳がシルエットとなりつつあります。涸沢の谷は日陰に入っていますが、空は蒼く周りの山々はまだ明るいのです。
至福の時です。

 7時に心地良く就寝。夜中3時にトイレに起きると空は満天の星です。北穂高岳の上にはカシオペア、北斗七星。
前穂高岳の上にはオリオンが輝いています。朝5時に出発。ヘッドランプの光がいくつか北穂高岳に向かって続いて
います。暗い中、涸沢小屋の右の石畳道からとっつきます。岩くずが続きハイマツ帯を過ぎると東の空が明るくなってき
ました。雲海の向こうに八ヶ岳連峰、富士山、鳳凰三山、北岳、南アルプスがシルエットとなって浮かんできます。
涸沢を眺めるとまだ朝日が差し込んでいません。幾つかのクサリ場を越え、北穂のテント場の近くで朝食をとります。
フランスパンに昨夜の残りのチーズを付けていただきます。イチジクやナッツの入ったパンとクリームチーズが絶妙で
す。コーヒーを飲みながら日の出を楽しみます。今日も最高の天気です。雲海に浮かぶ山々。天上人です。快適な
トレックが続き、8時に北穂高岳山頂(3106m)。ここからの展望がすばらしく大キレットから南岳、槍ガ岳、三俣蓮
華、薬師岳と見渡せます。笠ヶ岳も堂々とした姿です。くらくらしそうな展望です。北穂高岳は5度目ですが、こんな
晴天は久しぶりです。

 北穂高岳から少し戻り、涸沢岳(3103m)に向かいます。涸沢岳に続く道はアップダウンが多く、長いクサリや
はしごが続きますが、何しろ展望が良いので吊尾根に負けない高度感を楽しめます。涸沢岳に登って穂高岳山荘に
11時到着。ここで驚いたのが奥穂高岳(3190m)に登る道です。途中で何と30人〜40人がはしご待ちをしている
ではありませんか。予定ではここから奥穂をやり、前穂をやってここに戻ってくることにしていたのですが、この混雑に
めげてしまいました。

 急遽予定を変更し、ワインのハーフボトルを購入。山岳展望を楽しむことにしました。こんな天気の良い日に3000m
から北アルプスの展望を愛でながらワインを飲む。こんなことはめったにあることではありません。購入したのはS社の
「山の幸」ワイン。涸沢ヒュッテより300円高いのですが味は「涸沢氷河ワイン」より落ちました。山荘の前の広いテラ
スで靴を脱いで裸足になり足を伸ばします。涸沢を下に眺めながら、フランスパンとワインだけの充実したブランチです。
北穂から続く涸沢槍と言われるとんがった稜線など、今トレックしてきたルートを眺めながらワインを呑みます。山荘の
前の喧騒をよそに約1時間の昼寝。1時にザイテングラートを降りました。

 2時半テント着。今度は涸沢ヒュッテのテラスから紅葉を楽しもうと移動します。人ごみの中、席を確保します。この
ヒュッテはおでんが有名ですが、このときは売り切れで1時間待ち。ここでは朝の4時からおでんを売っています。今
度は「涸沢氷河ワイン」のフルボトルを購入。テントからつまみを持ってきて、ワインを呑みながら今日の山行を振り返
ります。このときも相席の方々と山談義。この方々は今朝名古屋から来られたということで、明日は北穂高岳に日帰り
で登り上高地に下りるとのこと。芋焼酎をご馳走になり、おでんも登場し、酒宴は6時まで続きました。楽しいひと時で
した。

 実はこの夜、12時ごろから激しい雨になりました。早朝5時にテントを撤収し11時の上高地到着までシャワーのよ
うな中をずぶぬれとなって下りてきました。水をたっぷりと吸ったテントが肩に食い込みきつい下りとなりました。冷えた
体を上高地アルペンホテルの温泉で暖めます。湯が心の中まで溶かしました。ありがたかったです。乾燥室もあり、
そばランチもおいしくいただきました。純米「大雪渓」が腹に沁みました。晴天あり、雨天ありの波乱に満ちた山行でし
たが充実した3日間でした。感謝です。

   ※ 4月〜11月はアルピコハイランドバス(03−3320−0210)が運行しているので新宿西口・横浜から利用
      すると便利。新宿23:00発〜上高地6:00着。片道7000円。
   ※ 上高地の温泉は上高地アルペンホテル(500円)、上高地温泉ホテル(500円)、清水屋ホテル(1000円)
      などが利用可能。ホテル内のレストランもGOOD。
   ※ 涸沢テント幕営料金=1人1日500円。涸沢ヒュッテ1泊2食付 9500円。

 


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