◆JR武蔵五日市駅から丹沢・大倉まで 川崎義文

平成20年5月17日〜19日 

 長丁場ハイキングでの最大の「難所」は、コース途中に立ちはだかる市街地・バス停・交通至便な峠など簡単
にエスケープ出来るポイントである。悪魔のささやきが魅惑的に脳裏に反応する。過去、何度も何度もこの誘惑
に負け、志半ばでエスケープしてきたこの私、今回は何とかそれに打ち勝って、計画とおりに踏破した。

 「5月17日」 08:00 JR武蔵五日市駅発 今熊神社・市道山を経て14:20醍醐丸到着。ここまでは山岳耐
久レースでお馴染みの行程である。約15km、6時間20分を要すると云う事は私は到底ランナーにはなり得ない、
と落胆する。和田峠に着く頃に雷雨が始まり、峠ではハイカーが右往左往してクルマに乗り込んでいる。ヒッチし
て下山してしまえ!と悪魔が宣ふが意志堅固な私、敢然と歩を進め陣馬山に至る。30分間天気待ちをするが快
方に向う気配なし。雨中、明王峠経由美女谷温泉に下山、相模湖湖畔のコンビニで翌日翌々日の買物を済ませ、
20:00嵐山登山口の真ん前の東屋にツエルトを引っ掛け、野宿する。ここで見張っておれば、明朝来る予定の
坂井氏に必ず会えるだろう。
 「5月18日」未明、水を汲むため弁天橋に行く。絶好のキャンプサイトだ、東屋も屋根つき休憩所も完備、夏は
タープもツエルトの不要だろう。嵐山登山口の真ん前・風と森と電気の里で待ち伏せをしていると、0715坂井氏
が現れ、一緒に今日の行程を辿り始める。嵐山→鼠坂→顕鏡寺→石老山→篠原→石砂山を経て14:45西野々
・焼山登山口着、坂井氏はここから帰っていった。既に7時間30分歩いているので疲労感あり。“ここから焼山ま
で今日の貴方の足取りでは優に3時間はかかるでしょう、今からでも遅くない、坂井さんを追っかけて一緒に帰っ
たらどうなの〜?”と今度は女神が魅惑的に囁いてくる。何くそ!テヤンデェ!ここで負ければ・ここでエスケープ
すれば、世界的アルピニスト川崎義文の沽券に係わる。それ以上に、シリウスに巣食う魑魅魍魎の輩?からの
雑言罵倒が怖い。重い足を引き摺りながら2時間半をかけて焼山へ、更に1時間強を要して、黍殻避難小屋には
18:25に到着、独り綺麗な広い小屋で秘蔵の缶ビールを呑み干して半ば成功したと思われる今回の山行を祝う。
湿っぽいが豊富に置かれている布団と毛布に包まり快適な眠りにつく。
 「5月19日」05:55発 帰心矢の如し。姫次・蛭・丹沢、最後の登りで塔の岳11:30着、大倉バス停には
14:00着。念願の縦走を終了した。


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