◆北海道・自転車一周と3山登頂  赤澤東洋

〈前編〉 出発から利尻山登山まで −斜里岳に初登頂−

          
             稚内の日本最北端碑の前で愛車「エンデュアランス号」と

◎1日目〜2日目(7月6日〜7日) 上尾→小山→大洗→苫小牧  走行距離133km
 蒸し暑い1日、絞るほどの汗。小山から水戸へ。意外に調子が良いので一気に大洗まで走り、海水浴場に
テントを張る。フェリーで苫小牧へ。自転車での乗船は神奈川の若者1人。ほとんど揺れず快適。

◎ 3日目〜4日目(7月8日〜9日) 苫小牧→鵡川→浦河  走行距離35km+94km
 8日13:30苫小牧着岸。折からのサミットで物々しい警戒。曇り空の中、勇を鼓していざ出発するも、向かい
風に歓迎されて端から難渋。ようよう辿り着いた鵡川道の駅に幕営。付属の温泉に浸かり獲りたてのシシャモ
でまずは北海道の初日を乾杯。明けて9日も薄曇り、昨日ほどではないが今日も向かい風。蒸し暑い1日。
14:00過ぎに浦河に到着。駅前の原っぱにテントを張ろうとしたが駅員に阻止され、ビジネスホテル泊。4日分
の衣類洗濯。

◎ 5日目(7月10日) 浦河→襟裳岬→広尾  走行距離99km
 襟裳岬は冷たい霧雨の中。メガネは曇り、何も見えず。アップダウンの連続でキツイ1日だった。広尾への
日高黄金道路は3〜4kmのトンネルが多く怖ろしい。車の音がトンネルに反響してゴォーッと追いかけてくる。
生きた心地なし。

◎6日目(7月11日) 広尾→浦幌  走行距離96km
 またも雨。濡れた路面に自転車の回転も鈍い。鉄道のないこのルートには、コンビニはおろかガソリンスタン
ドも自動販売機もない。時折見かけるのは牧場だけとう、まさにこれぞ北海道。長い上り下りが続き、最後は
3カ所の狭いトンネル。雨の中くたびれた1日。ライダーハウスに泊る。おばさん1人で、食堂の副業として開
いている。ここ数年ライダーが激減し暇らしい。昔は良かったと言う。サイドカーのご夫婦と同宿となる。
ジンギスカン(鹿肉)1050円。

◎7日目〜8日目(7月12日〜13日) 浦幌→釧路→厚岸→尾岱沼  走行距離102km+93km
 釧路市は通過するのみ。日差しが強く暑い1日。厚岸湾を一望する道の駅にテント。夜は花火大会で、観客
が大勢押し寄せる。屋台も出て焼きイカ、焼き牡蠣などつまみながら花火見物と洒落こむ。翌日は濃霧の朝。
この辺はいつもの事らしい。根室、納沙布岬はパスし厚床より標津へ向かう。大きなアップダウンもない走りや
すいロード。車も少ない。野付岬を望む尾岱沼キャンプ場はなかなかいい感じ。近くの浜の湯温泉400円。

◎9日目〜10日目(7月14日〜15日) 尾岱沼→羅臼→斜里→清里  走行距離63km+74km
 またしても雨。気温15度。今日は羅臼までなので余裕あり、ゆっくり出かける。羅臼海岸から3.5km上がった
国設羅臼温泉キャンプ場(300円)に入る。道路を隔てて熊の湯という無料の露天風呂があり、人気のスポット
らしい。キャンピングカーで2カ月も滞在している夫婦がいる。翌日15日。今日はキセル。キャンプ場の管理人
と交渉して、最大の難関知床峠はトラックで越すことにする(1000円)。3時間はかかる14kmの登りを20分。
途中雲の切れ間から羅臼岳が顔を見せる。45年ぶりの懐かしの頂。峠からは霧雨の中10kmのダウンヒル。
斜里岳の入口、清里オートキャンプ場1500円。夏毛が汚いキタキツネがウロウロしている。

◎11日目(7月16日) 斜里岳登山→斜里  走行距離29km
 斜里岳登山の日。霧雨の朝だが本降りではないので出かける。登山口までは自転車30分。ここから約8km
の林道があるが、自転車では砂利道の上りがキツイのでヒッチハイクを試みる。2kmほど歩いた所で6台目の
静岡ナンバーのバンが止まってくれた。ヤレヤレ大助かりだ。ご夫婦で100名山を目指しているらしい。
 6:35清岳荘前出発。バスで乗り付けているグループもいる。一の沢沿いの旧道を、飛び石伝いに右岸、左岸
と行く。靴が濡れる。白糸、羽衣、七重などの滝が連続してトラバースに緊張する箇所あり。20数名の団体を
追い越す。8:45上二段。雨が上がり青空が出始める。ラッキー!!ガレ場をあえいで上りついた尾根が馬の背。
可憐なミヤマオダマキ咲くガレ場を越え9:45遂に斜里岳の頂上に立つ。45年前網走の原生花園から裾を引く
秀麗な姿を見て以来、いつかは登りたいと思っていた山だ。あいにく低い雲でオホーツクや知床の山は見えない
が、お山は晴天、お天気に感謝。下山は新道を下り12:30清岳荘着。下界は冷たい霧雨。自転車を置いた登山
口まで約8kmは駆け下る。車が3,4台通ったが誰も声をかけてくれない。斜里へ戻り温泉付きライダーハウス
に投宿。1週間分の洗濯。

◎12日目(7月17日) 斜里→網走→サロマ湖  走行距離97km
 昨日の温泉で湯あたりしたか、何となくだるい。そろそろ疲れも溜まるころだ。途中また雨がパラつき雨具を出
す。網走から先が厳しかった。能取湖に沿ったくねくねと曲がる上り道。途中に「稚内まで322km」の看板あり、
まだまだ先は長いなあと溜息。14:00サロマ道の駅着。時間的にはまだ先へ行けたが、草臥れたのでもうここで
泊る事としてテントを張らせてもらう。

◎ 13日目(7月18日) サロマ湖→紋別→雄武  走行距離105km
 夜半から本格的な雨。濡れ鼠になってテント撤収。とにかく前進あるのみ。8時ごろからは降ったり止んだり。
天気良ければ良いサイクリングロードだ。途中興部道の駅に汽車の車両の無料宿泊所があったが、時間的に早
いので先へ。雄武道の駅で屋根の下に幕営。夜中車の出入りが煩わしかった。

◎14日目(7月19日) 雄武→猿払  走行距離112km
 また雨。気温14度。気合を入れる。風が冷たく手袋していても、指先がかじかんでくる。途中道の駅もないので
頑張って猿払まで。新しくいライダーハウスに泊る。風呂付き素泊まり1200円。同宿のオバさんライダーにタラバ
の脚2本ご馳走になる。静岡の人で、毎年1人で北海道を回っている。

◎15日目(7月20日) 猿払→稚内→利尻島    走行距離66km
 北の宿のすぐ裏は暗いオホーツクの海。打ちつける波の音が重っ苦しい。冷たい霧雨の朝気温11度。完全装
備で出発。真冬並みに毛糸の耳当てまで着ける。概ね追い風だったので助かる。日本最北端宗谷岬を経て稚内
港着。11:10発のフェリーで利尻島へ。海上にでると雲が切れ利尻山が姿を見せ感激する。

◎16日目(7月21日) 利尻山登山→礼文島   走行距離(記録なし)
 今日は利尻山登山。沓形コースを往復する。3:40起床、何日ぶりかの晴天。まずは5kmの舗装林道歩き。5:30
見返台登山口。沢筋へ下り樹林帯の登山道はドロドロにぬかるんでいる。次第に雲が流れてくる。8:45三眺山
(1461m)からの眺めも、湧き立つカスで何も見えず。ザレ場のトラバースもあるが、要所要所にはロープや鎖が
付けられており、難所というほどのことはない。10:10、46年ぶりに利尻山頂上に立つ。大学1年生、あの時も単独
行だった。それにしても山頂付近の崩壊は凄まじすぎる。下山後15:30のフェリーで礼文島へ。 (後編へ続く)


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