◆阿弥陀岳南稜  浜口武夫

  ◎2008年9月23日〜24日  
  ◎参加者:藤野孝人(L)、川崎義文、斎藤光子、浜口武夫
  ◎コース・時間: 舟山十字路5:50−南稜への分岐6:20−立場山8:10−青ナギ8:40−無名峰9:20−
             11:40阿弥陀岳頂上12:05−舟山十字路15:40
         

 微妙な天気予報で散々迷った挙句お月見山行は結局中止にしましたが、日中はなんとか天気が持ちそうな
感じだったので斎藤さん提案のコースを日帰り山行でと考えていたところ、藤野さんから「諏訪方面は降水確
率0%みたいだから阿弥陀南稜へ行きませんか」のお誘い。
 お月見予定日の前日夜からの出発なので、お月見予定者のご参加は難しいかなぁと思ったのですが、川崎
さん、斎藤さんもご参加となり、思いがけず賑やかなパーティで出発することになりました。

 18時に西八王子北口に集合し、八王子市内のスーパーで夕食、朝食等を調達して藤野さんの車で八ヶ岳
山麓へ。夕食後のお酒もほどほどにして翌朝は4時起床。登山口となる舟山十字路まで車で移動し、不要な
装備は車に残して登山開始。駐車スペースには登山者の車2台(我々が出発するころ、もう1台)とテント一張、
キノコ採りと思われる軽トラック3台が先着してました。
 駐車スペースからすぐの車止めゲートから少し歩くと左に入る阿弥陀岳登山口の道標があって、藤野さんか
らここに下山してくるとのご説明。更に先へ進むと今度は右(沢のある方)に入る道が2本あって、2本目が阿
弥陀南稜への入り口となってました(阿弥陀岳の道標あり)。ほとんど流れが無い沢を渡るとすぐに樹林の中
の急登となり、これが結構キツイ。

 しばらく登ると稜線に出ますが、どこにでもある特徴の無い樹林帯の山道で、リピーターの斎藤さんも「こん
なところだったっけ?」と。「許可無く入山すれば罰金10万円以上」の看板とか、最近の日付で「境界確認」と
書いてある棒なんかが立ててあり、山仕事で人が結構入ってるようで踏み跡はしっかりしてます。ひたすら特
徴の無い山道を登り続け、最初のチェックポイントは立場山。「この先の青ナギというところまで行くと、目の前
にどど〜んと阿弥陀岳が見える。」という藤野さんのお言葉に期待が膨らみます。出発した頃は曇り気味だっ
た空模様も徐々に美しい秋晴れへ。

 立場山を出発してしばらく歩くと、だいぶ低くなってきた木々の間から時折ガスが晴れて阿弥陀岳の雄姿が
見えてきました。そして青ナギの手前まで来ると、ほんとうに「どど〜ん」という感じの阿弥陀岳が! しばし鑑
賞&撮影タイム。しかし、どこをどうやって登るの?と不安も・・・。ところで、特徴的な青ナギですが、右側は流
れ落ちたようになってる急なザレ場の急斜面で、転げ落ちたらアウトという感じなのですが、踏み跡は平らで広
く、歩きやすい道でした。青ナギから40分くらい登ると無名峰に到着。ここで後発の元気な若いご夫婦が追い
ついてこられ、我々より先に出発、あっと言う間に見えなくなってしまいました。

 いよいよ阿弥陀南稜の核心部へ。無名峰から少し下った狭いコルが最後の幕営地と藤野さんから説明があ
りましたが、テントは2張くらいしか張れそうにありません。積雪期はここで前進か撤退かを決断する必要があ
るとのこと。P3は顕著なピークで、手前から左の方へ草付テラスを少し下り気味でトラバースし、最後の3mく
らいはスッパリ切れた壁のトラバースになります。「樋」と呼ばれてるルンゼは、壁のトラバースから右に入りこ
むので草付テラスからは全く様子が見えません。ハーネスを装着し、我々はルンゼの取り付きまで張ってある
ワイアーにセルフビレーをして待機。藤野さんが偵察に行かれ、ルンゼにフィックスロープが残ってないことを
確認、用心のためザイルを使うことになりました。

 岩が乾いていたこともあり、ルンゼの傾斜もそんなに急ではなかったので、藤野さんからOK合図後、待機し
てた我々は数珠繋ぎで登りはじめました。途中で単独行の男性が追いついてきましたが、藤野さんビレー点
の手前で先に行ってもらいました。で、ここで反省。ルンゼの中間地点で確保してくださってた藤野さんが、
この先はザイルなしでも大丈夫と判断され、フリーで稜線まで登って待ってるようにと指示されたので順番に
ビレーを外して登って行ったのですが、ラストの小生はザイルを稜線まで引きずって登るべきでした。足場の
不安定なルンゼの途中でザイルを巻き、肩にかけて登ってこられた藤野さんを見てやっと気付いた次第です。

 ルンゼを抜け稜線に出ると頂上はもう目前で、山頂から南稜を見下ろす人、赤岳からのルートで登る人がハ
ッキリと見え、声も聞こえます。P3から先でも少し怖い場所がありましたが、しっかりした岩稜が続き、ひと頑
張りで山頂に無事到着。お疲れさまでしたと全員で握手。上空は青空で山麓の茅野方面もくっきり。振り返る
と大きな赤岳。中央アルプスや北アルプス方面は低い雲で覆われていましたが、それはそれで高山の頂に
いるという実感を味わえるというもので、天気が少々不安だったこともあり、ずいぶん得した気分です。全員大
満足。

 山頂からの眺望をたっぷり楽しんだあと、御小屋尾根で下山へ。最初のハイマツ帯の急な下りは地面が掘
り起こされて全然踏ん張れず、フィックスロープにしがみついての急下降。樹林帯に入っても暫くは急な下りが
続き、ほんとうに長い下山ルートで左足小指の皮がキレイに剥けてしまいました。が、明るいうちに舟山十字
路に戻り、全員無事下山。『それにしても揃ってどこかしら「痛み」を抱えた四人、あのいやらしい急下降、10
時間のコースタイム、よく頑張ったものです』との斎藤さんの感想通りの状態で、みなさん、ほんとうにお疲れ
様でした。
  阿弥陀南稜は、積雪期は技術的にも体力的にも数段レベルが上がると思います。そして、無名峰から先
はルートも分かり難いので、ガイドしてくれる人がいない場合は、必ず雪の無い時期に偵察しておくべきだと
思いました。


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