◆諏訪山(西上州/1,549m)紀行
        −味わいのある山らしい山− 藤野孝人

       

 何年も前から気になっていた山のひとつであったが、標高が低く、しかも遠いことから、「わざわざ宿泊で行くほど
でもない」と思い、未踏であった。実際に行ってみると変化に富んだ良い山であった。9月27日、二子山での埼玉県
警山岳救助隊の「安全登山講習会」に参加したのを機会に、中道さん、斎藤光子さんの参加を得て、足を伸ばして
行ってみた。
 登山口に近い民宿に宿泊。天然の舞茸を炊き込んだ御飯、ご主人が捕った鹿の肉や、中道さんご持参の幻の
お酒もあって、ついつい食べ過ぎ・飲みすぎてしまい風呂にも入らず夢見る人となってしまった。

 28日早朝、民宿のご主人が、浜平登山口の駐車場まで車で先導してくださった。なかなか親切である。身支度
を整え、神流川を渡ると登山口の表示があり、「諏訪山まで5,467m」とある。珍しい標示だ。湯ノ沢筋に付けられた
登山道は、案内表示が多数あるので迷うことはないが、大雨の影響か荒れ気味で、崩れた所が何箇所かあった。
トロッコの車輪が沢の岩に乗っかっていたのも、台風など大雨の結果だろう。
 右岸や左岸を何回か渡り返しながら、徐々に沢筋を詰めていく。右岸に数十メートルの滑滝があった。涸れてい
たが水があると見事な眺めだろう。この先で右岸の枝沢を渡る。ここが最後の水場であった。これよりジグザグの
登山道になり、約1時間で支尾根に出た。そこから少し登ると湯ノ沢の頭で、楢原からのコースと合流した。ようや
く主尾根で、「諏訪山まで2,828m」とあった。尾根をトラバースするように付けられた登山道は、ゆっくりと高度を上
げていく。やがてトタン張りの小さな小屋があった。床はなく屋根の一部が無くなっているので、非常時にツェルト
泊程度だろう。

 この小屋を過ぎると鋭いピークの三笠山が見えた。2段のハシゴを登り、岩混じりの急登を登りきると、三笠山
(下ヤツウチグラ)であった。なかなか眺望に優れたピークである。前方に樹林に覆われた諏訪山が見えるが、穏
やかで樹林に囲まれており、三笠山の方が山らしい。10mほどの岩を固定ロープに助けられて下り、更に下って
登り返すと諏訪山であった。平凡な山頂であった。諏訪山は300名山だが、三笠山の方がそれにふさわしいと思
われた。少し荒れ気味の沢筋と岩っぽい三笠山、ひとの少ない静けさ、などなどから、低山にしては、「味わいの
ある山らしい山」であった。

<コースとタイム> 浜平登山口駐車場(6:55)−最後の水場の枝沢(7:55)−湯ノ沢の頭(9:00-10)−
  トタン張りの小屋(9:55)−三笠山(10:40-45)−諏訪山(11:20-40)−三笠山(12:05)−
  トタン張りの小屋(12:40-45)−湯ノ沢の頭(13:25-35)−最後の水場の枝沢(14:10-20) −登山口(15:20)


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