◆黒戸尾根より残雪の甲斐駒ヶ岳

日程: 2011年4月20日(水)夜発〜22日(金)
メンバー: 単独
報告: 藤野
 
 
山頂から仙丈岳   山頂から北岳
 

 GW.に予定している「双子尾根〜杓子岳〜白馬岳」のトレーニングを兼ねて、黒戸尾根から甲斐駒をやってみることにした。荷はその時に使う「ロープやガチャ」+その他、などを入れた結果、小屋泊としては重い19Kgとなった。
 竹宇駒ヶ岳神社で安全登山の祈願をして、吊橋を渡った。長い登りをもくもくと歩み、刀利天狗に着いた。先行の青年がアイゼンを着けようとしていた。テント泊の装備で荷が重そうであった。既にアイゼンは着けていたので「お先に」と、一足早く出発。黒戸山の長い巻き道は、南アルプスらしい静かな雪道で、なかなか良い雰囲気だ。到着した五合目小屋跡で、腰を降ろし休憩とした。眼前には樹林に覆われた屏風岩が、行く手を阻むように立ち塞がっている。
 甲斐駒は諏訪のひと、弘幡行者により文化13年 (1816)開山された。槍ケ岳が播隆上人により開山される12年前だ。「屏風岩が越えられず、百日潔斎して頂上をきわめた」と書物にあったのを思い出した。「ヨシッ!!」と腰をあげた。ハシゴや鎖場などが次々と出てくるが、これらの人工物がなければまさに難所だ。弘幡行者はいったいどのようにして、ルートを開いたのだろうか?
 トラバースを通過すると七丈小屋に到着。先客はいなかったが、ストーブが暖かい。宿泊手続きをするや否やビールを頂く。やはり一汗かいた後のビールはうまい。お湯や水が無料で、自由に使わせてくれるのがありがたい。
 翌朝、簡単なストレッチをして出発。森林限界を越えると雪山らしくなってくる。8合目で一気に展望が開けた。振り返ると青年が少し後ろを追ってきていた。眺めを楽しんでから出発。これぞアイゼン、ピッケルの雪山となって良い気分だ。短い鎖場は右の急斜面を登った。他の鎖場は完全に雪に埋まっていたためか、気づかないうちに通過した。何箇所かピックを打ち込んで登ったが、一箇所でこれが抜けず、両手で力を入れて引き抜こうとしたところ、スポッと抜けてヨロッとした。危なかった。転倒すれば滑落したかも知れない。順調に歩を進めて、山頂に到着した。二年振りの展望をゆっくり楽しんだ。やがて眼下に青年の姿が見えた。「おお、やはり登ってきたか」と嬉しくなった。彼が登頂するまで待つことにした。ようやく青年が到着。「やった!」とまことに嬉しそうであった。この日の登頂者は、我々2名であった。
 急斜面は一歩いっぽ、アイゼンをしっかり効かせて下った。小屋に戻って大休憩、長い下山に備えて改めて食事をした。青年が出発するのを見送って、少し待ってから出発した。難所で後ろからせかせることになるのは避けたい。刃渡りから小雨に降られたが、下山後、尾白の湯でゆっくり癒した。ロープやガチャは一度も使わなかったが、良いトレーニングになった。

【コースタイム】
21日=竹宇駒ヶ岳神社6:50 ―笹ノ平9:00―刀利天狗12:15-20―五合目小屋跡13:05-20―七丈小屋14:50 (泊/自炊)
22日=七丈小屋6:05―甲斐駒ヶ岳(8:15頃-8:40頃)―七丈小屋9:55-11:15―笹ノ平14:50-15:00―竹宇駒ヶ竹神社16:20

 


個人山行報告目次へ     HOMEへ