日程: 2013年2月9日(土)~11日(月)
メンバー: 藤野(L)、加藤、石川
報告: 石川

 

 
阿弥陀岳山頂にて    

 

 冬季登攀の入門ルートとして知られる阿弥陀岳北陵は、去年に続けて二回目のアタックとなる。去年は強風のため、下部の尾根にも取り付かず断念した。
 今年はリベンジマッチである。今回は2泊3日の予定で、初日は赤岳鉱泉までで、ここにベースのテントを張り、二日目に阿弥陀岳北稜、3日目に赤岳主稜を登攀して下山、という計画である。
 2月9日:快晴。美濃戸口から北沢経由にて赤岳鉱泉に到着すると、目の前に巨大なアイスキャンディー。ヘルメットにハーネス、アイゼン、両手にアックスを持った人が取りついていたり、周囲をうろついている。これが目的で赤岳鉱泉に来る人もいるんだろう。自分もやってみたい気持ちはあるが、道具をそろえるつもりがないので今はパス。(正直アックスを2本も買う余裕が無いのが一番の理由だけど)
 周囲を探すと先行した加藤さんが、テントの整地をやってくれていた。おかげでテントの設営も簡単。加藤さんありがとう。

 2月10日:快晴、赤岳鉱泉付近は無風。
 朝6:00出発。行者小屋までの道は意外に長く、中山峠まで登りが続く。陽は出ていないが、うっすら明るくなった空をぼんやりと眺めながら先へ進む。行者小屋に到着すると、付近には多くのテント。たくさんのクライマー?が来ていることがわかる。
 去年はしばらく中岳沢を行ってからJPを目指したが、今回は早めに最初の尾根を登っていく。尾根にははっきりとした踏み跡があった。既に先に登っているパーティがいることがわかる。膝くらいの雪をかき分けて樹林帯を抜けると、展望が一気に広がる。ここで我々は小休憩をとった。前方の雪稜を10名くらいのグループが登っているのが見えた。休憩後雪稜を詰めていく。雪稜は徐々に急になり、これを登りきると、目の前に阿弥陀北陵の第一岩峰が現れた。9:30の到着。大きい岩だが登るのは問題なさそうに見えた。
 しかし、予想を超える多くの人々が順番待ちで、渋滞になっている!!いくら天気が良くても木もない尾根で、風が吹き超寒い。当初はダブルロープの予定であったが、我々の後ろにも順番待ちがおられるので、ロープは一本で行くことになった。8.6mm×50mのロープを出し、登攀の準備を始めるが一向に先が進まない。ロープの準備もすべて終わり、やることがなくなったので寒さをしのぐため手足を動かしながら順番を待つ。10名くらいの団体は、最初から岩に取り付かず、雪の斜面を登る予定だ。リーダーがいろいろと説明したり指示したりしていた。この10名ほどは減ったが、まだいくつものパーティが岩峰を登攀するため、順番待ちをしている。
 岩峰に到着してから1:50後ようやく我々の番となった。トップは藤野さん、セカンド石川、ラスト加藤さんの順番で登る。それまで皆さん右足を大きくあげて登っていたが、藤野さんが膝くらいのところにスタンスを見つけ、「ここに立つと楽」と教えてくれた。ルートは難易度が低いが、全身冬装備なので手足を上げる時、少し邪魔な感じがある。適度な高度感を味わいながら登っていくと、藤野さんがピナクルで確保している。ここが終了点なのかと思っていると、本当の終了点は5メートルほど先にあるのだが、終了点に先行パーティが2組、6名もいるので、その手前のピナクルで確保していることが分かる。加藤さんが登ってきたところで、終了点の人数も少し減ったので、我々も本来の終了点へ移動した。先行パーティのラストが登り出すまで、しばらく待つ。やがて我々も2ピッチ目のスタートとなった。藤野さんがトップ。やがてOK!! となり、登りはじめる。岩にはガバや足場もあるので特に問題はなし。岩が終わると次は雪稜のナイフリッジがあり、リッジの左側を慎重に抜ける。ここはちょっとスリルがあった。これを抜けると傾斜の緩い広い雪面となり、2ピッチ目が終了した。藤野さんは、ここでスタンディングアックスビレイをしていた。ここでロープをザックへ押し込み、山頂へ向かう。12:30、阿弥陀岳山頂に到着した。3人で握手を交わす。
 山頂は広く、しっかりとした看板も雪に埋まらず確認できた。山頂から見える景色は非常に気持ちがよく、周囲の山がすべて見ることができる。お隣の赤岳主稜にも、多くのパーティが取りついているのが確認できるくらい天気が良かった。軽く行動食を食べ、記念撮影後、阿弥陀岳を下る。この下りは急で、雪の状態もあまり良くなく、特に急な箇所は後ろ向きで慎重に下った。先行パーティはずっと後ろ向きであった。中岳のコルから行者小屋を目指したが、この下りは雪崩が発生しやすいとのことで、3人が間隔をあけて下った。
 14:00、赤岳鉱泉に到着。早めの乾杯をし、明日の赤岳主稜へ向けて早めの就寝となった。

 2月11日:なんだか天気が悪い。朝食後予定通り仕度をして、また中山峠を越える。行者小屋に着くと、行者のすぐ上から全てガスのなか。昨日登った阿弥陀岳も北稜も、赤岳も何も見えない。上は強風の感じである。残念だが赤岳主稜は諦め下山することになった。
 今回、初めてアルパインルートを登ることができた。これまでの練習の積み重ねに加え、やさしめのルートのため不安や緊張することもなく登れた。これからも冬の山に登りたいと改めて思う登山となった。
 
 
第一岩峰取り付きの大渋滞。   第2ピッチの終了点直下。登ってくるのは加藤さん

 


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