日程: 2013年7月20日(土)~23日(火)
メンバー: 佐々木(単独)
報告: 佐々木

 

 
右から鷲羽・ワリモ・水晶岳   雲ノ平キャンプ場にてテント内から黒部五郎岳を望む

 

 北アルプス 裏銀座。前から行きたいと思っていた山域についに行く事ができた。
 きっかけは、今年のGW。槍沢から槍ヶ岳に登った時に、西鎌尾根から続く山々がとても雄大に見えた。地図を広げて、山の姿と名前の対応を見たがわからない。自分はその山域に行った事が無いのである。その時は残雪をたっぷりとまとっていた。
 7月の3連休。三股から常念岳を経由して表銀座縦走をした。裏銀座方面の山頂付近は、あいにくガスがかかっていたが、残雪が少なくなっており、そろそろ行きたいと思った。翌週に会社の4連休があり、このタイミングで行こう!と計画した。
 当初の計画は、新穂高から入山し、双六・三俣蓮華・鷲羽・水晶をピストンするもの。来た道を帰るのも面白くないと思い、4日間あるため、飛騨市から入山する飛越新道より、黒部五郎・三俣蓮華・鷲羽・水晶・雲ノ平・薬師を周回するルートを考えた。飛越新道は人が少なく静かな山歩きができるが、泥濘が多く、道が悪く稜線までのアプローチが長い。泥濘対策は、防水性の高い登山靴+雪山用のロングスパッツを着用して臨んだ。
 初日のスタート。朝から天気が良く、飛越新道登山口からは白山が見えた。樹林帯を登りどんどん高度を上げていく。噂通り泥濘が多い。しかし、天気が良く思ったよりは道は悪くない。登り始めて6時間かけて稜線上の北ノ俣岳の肩に出た。
 稜線に出た瞬間、裏銀座の山々が一望でき、とても雄大な景色が広がった。一番奥には槍ヶ岳の穂先がくっきりと見え、右手から黒部五郎岳、鷲羽岳、祖父岳、水晶岳、左手には薬師岳、そして剣岳まで見える。天気に恵まれ、とても素晴らしい景色だ。
 私の地元の近くにある大雪山連峰は、カムイミンタラと呼ばれ、アイヌ語で神々の遊ぶ庭として昔から崇められている。大雪山連峰は、山頂付近にお鉢状のカルデラが広がっており、雄大な景色とどこか神秘的な雰囲気がある。この裏銀座の山々も、標高、山の規模は違えど同じような雰囲気を感じた。
 ここから北ノ俣岳、赤木岳と稜線を辿り、黒部五郎岳への急登に入る。岩がゴロゴロとしており、標高差もあり、4日分の荷物が肩に食い込んで痛かったが、何とか黒部五郎岳の山頂に到達した。黒部五郎岳から初日の宿泊予定地の黒部五郎キャンプ場へは北側のカールルートを選択した。カールに下ってすぐ、小さな沢がいくつも点在し、その中の一番大きな沢水を汲んで飲んだ。とても冷たく美味しかった。黒部五郎岳の山頂はすぐ上で、そこに見える雪渓の、まさに解けたての水だった。また、このいくつもの沢が黒部源流に合流し黒部川となり、黒部湖へ流れ込むと思うと何か感慨深いものがあった。カールを下って約2時間、黒部五郎キャンプ場に到着し、初日の行動を終えた。
 2日目も快晴の中、三俣蓮華岳へ登り始める。黒部五郎岳の朝焼けがとても綺麗だ。三俣蓮華岳からは今日も槍ヶ岳の穂先が綺麗に見える。そこから三俣山荘を経て鷲羽岳、ワリモ岳を通過し、ワリモ北分岐でメインザックをデポし、サブザックで水晶岳へと向かう。サブザックで身軽になり、スイスイと登り、気がつけば水晶岳山頂に着いた。山頂は少しガスがかかっていたが、野口五郎岳への裏銀縦走路、鹿島槍や白馬岳も見えた。山頂で少し休憩し、ザックをデポしているワリモ北分岐まで戻る。ザックを回収し、2日目の宿泊予定地の雲ノ平へ向かう。祖父岳へ登り、祖父岳山頂のケルン群を通過後、雲ノ平キャンプ場が見えてきた。ここから下りながら少し迂回し、雲ノ平キャンプ場へ着いた。2日目は行動時間が長く、雲ノ平キャンプ場への下りではヘトヘトだった。
 この雲ノ平は、今回の山行の目的の一つで、日本最後の秘境と呼ばれていると聞いてから、行きたかった所の一つである。ここにテントを張って泊まりたいと思っていた念願が叶った。天気も良く、食事を済ませテントの中で寝転んでいると、とても雄大な黒部五郎岳が見えた。
 3日目は雲ノ平から薬師沢へ下り、太郎平を経て薬師岳ピストンの予定である。朝は霧の中、雲ノ平を出発した。雲ノ平は庭園のような風景が広がり、木道が敷かれているため歩きやすい。1時間程歩くと、木道が無くなり、薬師沢への急な下りに入る。そこから1時間半程で薬師沢小屋に着き、休憩を取った。
 薬師沢小屋で休憩後、太郎平への登りに入る。カベッケヶ原では、NHK「日本百名山」の撮影隊とすれ違った。鷲羽・水晶編の撮影のため、山に入っているとのことであった(一番若手の方がとても大きい三脚を担いでいて、大変そうでした)。
 この日は調子が良く、予定よりも2時間くらい早く太郎平小屋に到着した。ここで、メインザックをデポし、サブザックで薬師岳へと向かった。所々にある残雪を越えながら山頂を目指す。薬師岳山頂付近はガスがかかっており、薬師岳山荘からは強い風が吹き、眺望は望めなかったが、何とか山頂に到着。写真を撮り、すぐに下山した。
 下山を開始して1時間、太郎平小屋の手前で雨が降ってきた。徐々に激しくなり、小屋に着く頃には、バケツの水をひっくり返したような雨になった。3日目午後から天気が崩れる事は、事前の天気予報でも、山小屋の情報でも確認済みであった。予定していた薬師峠キャンプ場のテント泊を止めて、雨が弱くなったところを見計らって、下山路途中にある北ノ俣避難小屋で宿泊する事に決めた。太郎平小屋から北ノ俣岳への稜線を歩いている途中、断続的に雨に見舞われたが、1時間半程で神岡新道との分岐へ到着。神岡新道を下り、無事に避難小屋へ到着し、その晩は貸切状態の避難小屋で宿泊した。
 4日目は早朝の雨の中、避難小屋を出発し、足元の悪い中、朝8時半頃無事に飛越新道登山口へ下山した。
 今回の山行では、1・2日目に素晴らしい山の景色を堪能できた。後半2日間は悪天候に見舞われ、自然の厳しさを経験したが、初めて4日間山に入り自分にとって良い経験となった。山行計画、荷物作り、天候を見極める知識などまだまだ不足している事が多いので、いろいろな山行を経験してレベルアップしていきたいと思います。
   
<コースタイム> 
7/20:6:00飛越新道登山口-12:30北ノ俣岳-15:30黒部五郎岳-17:20黒部五郎キャンプ場
7/21:5:20黒部五郎キャンプ場-7:00三俣蓮華岳-10:00鷲羽岳-10:50ワリモ北分岐(ザックデポ)
  -12:30水晶岳-14:00ワリモ北分岐(ザック回収)-14:50祖父岳-15:40雲ノ平キャンプ場
7/22:4:30雲ノ平キャンプ場-6:50薬師沢小屋-9:20太郎平小屋(ザックデポ)-11:30薬師岳
  -13:10太郎平小屋(ザック回収)-16:00北ノ俣避難小屋
7/23: 5:10北ノ俣避難小屋-8:30飛越新道登山口

 

 
三俣蓮華岳山頂から黒部五郎岳を背景に   薬師岳山頂(ガスの中)

 


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