日程: 2013年8月11日(日)~13日(火)
メンバー: 國井(単独)
報告: 國井

 

 夏休みを利用して北岳に登って来た。  コースは以前より気になっていた仙丈ヶ岳から塩見岳へ続く、仙塩尾根(通称:バカ尾根)を通っての計画を実行。 初日一番のバスへ乗る為、8/10(土)21:30頃、芦安の駐車場へ入り就寝。初日4:00に周囲のザワツキに起こされた。コンビニで買った冷やしうどんと、おにぎりを食べ、支度を整えているとザワツキの原因でもある、隣の男性2人組みの先輩らしき方がバス停間を行ったり来たりしている。後輩と思しき方に声を掛けてみた所、5:30のバスに乗る予定だったが5:10の乗合タクシーで行く事にしたと言っている。時刻は4:50。おっ!これは乗れるな、と思い発着所へ行ってみるが、既に3台のタクシーはいっぱいなのでバスに並べと誘導され、バス停に並んだ。が、これが正解だった。時刻は5:00、始発までは30分有る。しかし人が、どんどん上ってくる、バスも程なく到着し車掌のおばちゃんに促され乗車し席に着く、あっという間に席は埋まり、おっ、これは発車すんのか?と思いきや発車せず、結局発車は定刻どおりの5:30、車内は通路を埋め尽す満員御礼状態、この後、夜叉人峠でも更に4人押込められ、立乗りの方は、お気の毒状態。バスもタクシーも30前には並ばないと、乗っけから疲れることになるみたいだ。一時間程で広河原バスターミナルへ到着、空かさず北沢峠への連絡バスの列に並ぶ。この連絡バスは、余り乗る人がいないだろうと思っていたら、補助席までいっぱいで、ここでも3台のバスが出発した。北沢峠についても、今度は広河原へ向かうバス停に行列が出来ていて、これまたビックリだった。  北沢峠でトイレに行き、おにぎり一個を頬張り、仙丈ケ岳へ向けて出発。ま~、しんどいのは毎度の事だが、バスで一気に2000mへ上り、空かさず2泊3日の装備を持っての3000mへは、なかなかしんどい。それでも樹林帯を抜けると、後方には甲斐駒、そして右前方には今回の目的の北岳が目に飛び込んでくる、ん~気持ちが軽くなるね(相変わらず荷と足は重いが・・・)。森林限界を超えると視界も開けて夏山の人の多さにも気付かされる。そうこうしながら微速前進を続け小仙丈を抜け、先ずは仙丈ヶ岳山頂に到着。ここも結構な人の数、皆楽しそう、ゆっくりしたい気にもなったが、この先は初コース、写真を撮って、早々に大仙丈へ進む。大仙丈を見ると頂上に数人の人影が見える!これは同じコースを行くに違いない、心強さを感じ進んで行くと、ん?!戻って来た、ハハハ糠喜び(汗)。仙丈から大仙丈へは、ちょっとした岩稜帯&ギャップがあり戻ってきた方と離合した際は大仙丈のピークは見えなかったが、ピークが再度見える所に出ると2人の人影が、向こうも、こちらに気が付いたらしく手を振ってくれている、空かさず手を振り返す。よーし、居た!伊那荒倉岳方面へ下って行くのが見えたので、同行程を行く方たちと確信、ゆっくり追いつこうと思い(おいおい!単独じゃないの?とツッコミが有りそうですが)、先ずは大仙丈へ。大仙丈ピークは貸し切り、写真を撮って一息ついた後、先行者を追ってGO!(バカです)。
 
 大仙丈からは、これから行く北岳迄の稜線が一望、一歩足を進める度に北岳に近づくのがハッキリと体感でき、日差しはキツイが稜線を横切る風はカラッと清々しく最高のロケーション、久々に心が躍った。大仙丈を下りきり這松帯に差し掛かるところで先行者に追いついた。先行者の方は山暦30年超えのベテランご夫婦です。「お先にどうぞと」言われたが「お邪魔じゃなければ」と、両俣小屋迄ご一緒させて頂きました。両俣小屋迄は大小アップダウンを繰返し、横川岳から先は特に倒木が多くなり、疲労した体に更に追討ちとなり、野呂川越から両俣小屋への下りは実際の距離以上に長く感じた。両俣小屋に到着と同時にビールを買って一気飲み「五臓六腑に染渡る」とはこの事か(笑)。一息ついてテントを張り、中を整えた後、再度小屋へ行きビール購入、ご一緒した夫妻と、その隣にテントを張っていた夫妻と山話、こう言うのも山の楽しみですね~。(因みにご一緒した夫妻は明日も同じルート、もう一組の夫妻は左俣を詰めるとの事で、翌日北岳山荘で再開、左俣のルートは大分荒廃が進んでいて大変な目にあったと言っていた。)テントへ戻り夕飯を食べ、持参したワインを飲んでいると、すぐ横から話し声が聞こえて来たので、テントを出て話の輪へ入れてもらった。今度の話し相手は2人で、どちらもソロの30歳台とか、一人は俺とは逆ルートで来ており居住地が寄寓にも隣の市で「おー!」なんてことも、でも驚いたのは、もう一人の兄ちゃんで、今日一日で25kgの荷で黒戸尾根から甲斐駒を抜けてきたと言うから、思わず「本気で!?」と、行き先も、これまたビックリ!三峰にザックをデポし北岳をピストンし、その後は荒川三山、光岳迄やるのだと聞いて、もう「ほ~」としか出ませんでした。(この兄ちゃんとは北岳山荘で再度会うことが出来、踵がズル剥けと言うので、テーピングを少量分けてやり、「安全に、頑張って!」と見送りました。)
 
 
 二日目の朝、乗っけからやってしまった。お湯をひっくり返し右足甲を軽く火傷。昨日の疲労もあって、心が折れそうになったが(本当は少し折れた)、何とかポジティブに気持ちを切替え、出発する事に。  先ずは野呂川越より下って来た所を登り返す。
 野呂川越から先、2時間強は樹林帯を行く、傾斜がキツクなると共に草木の背が低くなり、三峰岳が目に飛び込んで来た。「あれっ?!すっごく、そそり立ってない?」、そーなんですね、三峰岳周辺の予習不足!ガレてるし急登だし、ちょっとした鎖場も有る。なんてこと無いと言えば、何てこと無いのだけれど、疲弊した状態には応える。が、ここでも2人組の先行者の姿発見!勝手にペースメーカーになって貰い一定の距離を保ちながら後を追った。三峰岳ピーク下で小休止している所に追い付いた。一応ピークに行かなきゃな、と言う事で山頂へ「お~!これは絶景じゃん!」予備知識無しで有るが故の思い掛けない感動、先行者の一人の方に見える山々の説明を受け「ラッキー!」、無力の勝利ってやつですね(バカです)。(何しに行ってんだ的なツッコミはご遠慮願います)ピークから降り小休止でエネルギー補給、先行者の2人の方の話に聞き耳を立てる。この2人の方も、そうとうな手練、「決めた!この人達に着いて行こう!」行き先は同じと既に知っているので、この後も北岳山荘迄ペースメーカーになって頂いた。この方達には、間ノ岳で追いかけさせて頂いている事に御礼を言わせて頂いた(笑)。三峰から間ノ岳間は一箇所岩場が有り、ここが三峰側から行くとマークが不明瞭で一瞬ルートを見失いそうになるので注意が必要だった。
 間ノ岳はこんもりした岡みたいで雄大でした。ここまで来ると今までとは打って変わって人が多くなり、人気の山域と認識できた。中白根を通り北岳山荘迄も多くの人が行き来し、皆夏山を満喫している様子だった。早い時間に北岳山荘に着いた事もあり、テン場は未だガラ空きだった。一瞬、このまま頑張って北岳行って下山しちゃおうかとも考えたが、標準コースタイムからするとギリギリという事と、せっかく来たのだから、ゆったりしようと決め、泊まる事とした。ご一緒させて頂いた2人の方は肩の小屋迄行くとのことで、ここで一先ず?お別れした。そうそう、この時、先のエピソードに出てきた兄ちゃんも居て、また行程の話になり、手練の2人の他、周りのベテランの方々も、その話に目を丸くしていました。北岳山荘では、コーラ、バヤリースを立て続けに購入、飲み干し、次にビールを買い、飲みながらテントを設営、日が沈むまで、ゆ~っくりと行き交う人々をウォッチしながら雄大な山々を堪能し、夕刻と共に就寝(早!)。
 
 三日目の朝3:30に起床、この早起きの為の昨晩の早寝でした。早起きの理由は、ペルセウス座流星群を見る為で、その甲斐あって無数の流星を見ることができ、これまた最高でした。ゆっくり食事を摂って支度を整えて出発。直登コースと八本歯への分岐に差し掛かる所で日の出を迎え、雲海に浮かぶ富士山と日の出に感慨に耽る。北岳へは、ちょっと頑張ったら着いた。頂上は思いの他、人が多く写真を撮るのに一苦労。写真を撮り終え下山開始。今回は雪渓を避け、草すべりから降りたが流石に下りが長く、脚に来た。白根御池小屋まで降りホットしたが、ここから若干のアップダウンが有って更に参った。やっと第一ベンチまで来た時、見た事のある後姿を発見、後を追い「お世話になりました」と声を掛けた。昨日、お世話になった手練の2人でした。またしても広河原までご一緒させて頂き、バスの時間まで大分時間が有ったので楽しい山の話を、各々にアイスやジュースを飲みながら、させて頂きました。やはり話をして分かったのですが2人は手練でした。ちょっと年上の方は神奈川岳連の指導員、もう一方は小学三年で北岳に登って以来、山岳部出身とのこと。今回も実は沢登りが目的だったが、急遽予定を変更し仙塩尾根をやっていたとの事でした。
 今回、久々の単独での連泊でしたが、色々な人との出会いと触れ合いが有り、単独山行も、やっぱり良いな~と再認識した山行でした。
 
   
<コースタイム> 
8月11日(日)
 7:20北沢峠出発→10:35仙丈ケ岳山頂→12:55伊那荒倉岳→14:35横川岳→15:05野呂川越→15:45両俣小屋着(テント泊)
8月12日(月)
 5:20両俣小屋出発→6:00野呂川越→8:50三峰岳→10:00間ノ岳→11:05中白峰→11:30北岳山荘着(テント泊)
8月13日(火)
 5:00北岳山荘出発→6:00北岳山頂→6:20北岳肩の小屋→6:40小太郎尾根分岐→7:20白根御池小屋→8:35広河原山荘着
※各ピークにて5~10分の休憩を含む。

 


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