日程: 2014年1月3日(金)夜発~5日(日)
メンバー: 藤野(単独)
報告: 藤野

 

 3日の夜遅く、登山口近くの道の駅に到着、車内泊とした。寝酒はいつもより控えめにした。これが悪かったのかなかなか眠れず、うとうとしていたが、ハッと気付くと外が明るい。寝過ごした!! 初詣は竹宇駒ヶ岳神社となり、今年もたくさん山に登れる気がしたが、出発が8時と、とんでもなく遅い時間となってしまった。
 七丈小屋まで8時間の予定なので、何とか明るいうちに着けるだろうと、橋を渡った。しかし何だか身体が重い。新年が明けたばかりというのに、早くも二度目の車内泊が堪えたのだろう。ひたすらガマンして歩を進める。きついので、笹ノ平で戻ろうかと思ったが、「もう少し」、「せめて刃渡りまで」と言い聞かせて、八丁登りに入った。ダラダラとした登りが延々と続く。まるで牛の歩みで、これでは明るい内に到着するのは困難か?と思っていたところ、下山してきた二人連れに会った。「今からですか?今日はどちらまで?」と聞かれてしまった。これは不審な登山者に出会ったとき、言うセリフだ。「できれば七丈小屋まで」と答えると、「今頃この辺りでは、ちょっと厳しいですね。」と冷たく言われてしまった。積雪期の黒戸尾根は何度も登っているが、よほどヨレヨレに見えたのだろう。またガマンしてゆっくり登って行くと、新たな二人組みが降りてきた。今度はこちらから上部の様子を尋ねた。すると「鎖場の鎖は出ています、梯子の雪も凍結していません、ロープは使わなくても下れます」とのこと。
 ラッキー!と思った。そうとなれば不要な荷は置いて行こうと、懸垂下降用に持参したロープ、若干のガチャ、ハーネスをザックから取り出して、目立つ樹の根本にデボした。3Kgほどだが、ザックを担ぐと随分と軽くなった。歩きだすと身が軽くなった気分だ。「ヨシッ!行ける!」と思った。このところ若手と一緒のときは、いつもロープなど重いものは担いで貰っているが、改めて若手に感謝。
 13時「刃渡り」に到着した。よいペースとなってきた。これなら明るい内に小屋に到着できるだろうと思った。刃渡りは少し雪を被っているが凍結しておらず、全く問題なく通過。次の難所は「刀利天狗」。梯子の雪が凍結していればやっかいだが、やはり凍結しておらず、梯子を登って、13時半「刀利天狗」に到着。これで16時頃には七丈小屋に到着できることを確信、一本立てた。この先、黒戸山の巻き道は、黒戸尾根で最も気軽に歩けるところ、前後にひとの姿もない深深とした雪の樹林帯をリラックスして歩を進め、五合目小屋跡に到着した。腰をおろして眼前の屏風岩を見上げながら、ゆっくり休んだ。やがて小雪が舞いはじめたのに合わせて腰を上げた。
 小屋までの核心部、屏風岩を越えて行くルートは、梯子が連続し、鎖場も出てくるが、情報通りここも凍結しておらず、問題なく通過した。そして予定通り16時、七丈小屋に到着した。自炊の小さな小屋だが暖房がよく効いて暖かい。小屋には先着組みが6名。皆さんお酒を召し上がっておられるところであった。出発直後に追い抜かれた若い二人組に到着時間を尋ねると、1時間も早かった。はやり若い人は元気だ。後は福岡からこられた三人組みと、名古屋からこられた単独の青年であった。サービスのお汁粉を頂いてひと息ついた。疲れた身体にはなかなか美味しい。その後、飲みはじめ、翌朝の出発時間の話し合いとなった。その結果、6時となった。

 翌朝5時、皆さん一斉に起床。電気を点けてすぐ朝食となった。お湯はストーブにかけられている、大きなヤカンから無料でいただけるのが嬉しい。
 出発は名古屋の青年が一番、次いで福岡の三人組み、次いで私となった。アイゼンを装着してヘッドライトを点けて6:05出発。テン場を過ぎてしばらく登って行くと、上の方に先行の三人組みのヘッドライトが見えた。トレースはしっかりついており、黙々と高度を上げていく。徐々に三人組みとの距離が詰まり、八合目で追いついた。ここで追い抜くつもりであったが、丁度、ご来光となり、写真を撮っている間に、三人組に先行されてしまった。三人組みはこれよりロープを結んでコンテである。少し距離が開くのを待って出発する。次の難所は岩の鎖場だが、聞いていたとおり鎖は出ていた。三人組みが登るのを待って、これに取り付く。
 鎖を掴めるのは助かる。このすぐ上の急登を終えたところで、三人組みが休憩したので、これを追い抜いた。やがて山頂にひとの姿が見えた。ドンドン登って、名古屋の青年に迎えられ、8:15,山頂に到着した。北沢峠方面から登って来ていた若人のパーティから「黒戸尾根からですね、下りはどちらへ?」と聞かれた。「北沢峠へ」の答えを期待されているのを感じたが、「七丈小屋に荷を置いてきているので、黒戸尾根を下ります」と応える。その昔、お正月に北沢峠にテントを張って、仙丈と甲斐駒をやったのを思い出した。きっと彼らもそうなのだろう。彼らが北沢峠方面に、次いで名古屋の青年が黒戸尾根を下るのを見送って、眺望を独占して楽しんだ。
 山頂は文字通り360°の大パノラマ!! 眼下に追い抜いてきた三人組みが登ってくるのが見えた。しばらく山頂を独占して待っていることにした。それにしても冬山には珍しい無風快晴だ。やがて三人組みも嬉しそうに到着した。写真を撮りあって、最後に若手が登頂したのを機に、下山開始とした。下りは楽だ。アイゼンが良く効き、ノンストップで快調に下って七丈小屋に戻った。
 小屋で二度目の朝食を摂っていると、三人組み、次いで若い二人組みが戻ってきた。皆さん登頂できて嬉しそうであった。再度、パッキングをして、身支度を整え下山開始とした。標高差約2,200mの黒戸尾根であるが、下りは楽だ。梯子も凍結していないので楽に下れる。三人組みと休憩の度に前後になりながら、延々と下った。

 

<コースタイム> 
4日:竹宇駒ヶ岳神社(8:00)―笹ノ平―(13:00)刃渡り―(13:30)刀利天狗―
   五合目小屋跡―(16:00)七丈小屋(宿泊)
5日:七丈小屋(6:05)―八合目御来迎場―(8:15)甲斐駒ヶ岳(8:40)―(9:40)七丈小屋(10:45)―
   往路を戻る―(15:00)竹宇駒ヶ岳神社

 

 
刃渡り
少し雪が着いていましたが、問題なく通過できました


  8合目御来迎場に到着したとき、丁度ご来光となりました

朝日に染まる甲斐駒ヶ岳
8合目御来迎場より
 
    甲斐駒ヶ岳山頂にて

 


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