◆「残雪期に歩く 白山南部の山々」 矢澤 昭文

           
                           白山南部の山々

 岐阜県の最西端のこの地域は福井県、石川県に接していて豪雪地帯です。白山中居神社から白山までは
一般登山道があり、夏は割と多数の登山者が入るようですが、その他には登山道はありません。深い雪が灌
木を埋め、雪が固まる春になると登山者が入るようになってきます。特に野伏ケ岳は日帰りのできる行程で、
また山スキー愛好者が多数入ります。

 私は2003年3月上旬に野伏ケ岳を歩きで目指しましたが、時間切れでどこにも登らずに下山しました。
しかし下旬に今度はテントを担いで入りました。野伏ケ岳を目の前にした所に広い雪原(元々牧場だったようで
す)があり、その端っこにテントを張り小白山に向かいました。雪原の目の前に小白山、野伏ケ岳、薙刀山と連
なっていますが、小白山が一番難しいようです。小白山に連なる稜線まで出たのですが、雪壁があり、そこを
登っている時にビシッという音がしたため、そこで登行を中止しテントに帰りました。

 翌日は薙刀山に向かいました。なだらかな斜面が続いていましたが、とても長い行程でした。また一面雪の
世界でどこを通っても歩けるのですが、それだけにルート選びが難しく悪天の際は迷ってしまうなと思いました。
薙刀山からは稜線を辿って野伏ケ岳まで登りました。稜線は東側にずっと雪庇が大きく張り出していました。
野伏ケ岳には多数の登山者、スキーヤーがいますが、小白山や薙刀山にはほとんど人は入っていません。
天候さえ良ければ展望は遮るものがなく迷うことはありません。ガスなどがかかると、雪庇のことも含めてやや
ヤバイことになりそうです。

 小白山に登りたくて翌04年も3月に入りましたが登れませんでした。翌05年は4月に入り小白山の北峰に
達しました。南峰の方が高く、あと一踏ん張りだったのですが、疲労と時間切れで諦めました。 昨年は方向を
変えて銚子ケ峰に登りました。この時、テントを担いで行ったものの神鳩ノ宮避難小屋を利用しました。数パー
ティが泊まっていました。あるパーティはスキーで登って来ていました。他のパーティは銚子ケ峰を越え願教寺
山を越え、ずっと稜線を辿り白山中居神社へ帰ると言っていました。別のパーティは丸山を越えそこから林道を
目指して下山すると言っていました。この山域は一度入ると分かりますが、天候さえ良ければどこでも歩いて行
けるような山が連なっています。

 今年の初河山(「シリウス・ジャーナル」12号15ページ参照)は、前日に登ったという2人に会っただけで、当
日は山中では誰にも会いませんでした。また初河山から先は私たちのトレースだけでした。それがまた良いの
です。
 是非皆さんも、残雪期にこの山域に入ってみてください。ただ東京方面からだとやや不便かも知れませんね。
ちなみに最寄のI.C.は東海北陸自動車道の白鳥I.C.です。そこから白山中居神社まではゆっくり走っても1時
間弱です。


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