◆マテバシイの森  

太田英雄   

 子供の頃千葉方面に泳ぎに行くと、故郷の山々とは違う森があるなと感じておりました。マテバシイの森ですね。長じてからはその森を日本のあちこちで見かけるようになりました。よくあるのは神社です。神社の森はシイ関係の樹木も多いと思います。そういえば照葉樹林文化とは、このことでしょうか? 調べますと本州以南の木らしいです。神社といえば古いものは宇佐や伊勢・住吉等みな西とか南です。
古代日本では支配・宗教・椎は一まとめで考えられるのかも知れません。というわけで、故郷の埼玉中部以北では神社以外では椎の大きな森はあまりないように思いますが、千葉では別に神社でなくとも海岸線から見える低山にあるので(そういえば鎌倉の山にもありますね)、いつかは行って見たいものだと思っておりました。                  
 実は、8月1日にぎっくり腰、8月10日に十二指腸潰瘍による下血等ありまして、いずれも大事には至りませんでしたが、9月25日現在まだ右足に軽い痺れが残っております。潰瘍の犯人はピロリ菌・坦々麺・豆腐チゲ・南インドのカレー(全て激辛)と思われます。そのリハビリハイキングを兼ねて、9月21日千葉和田浦の後背の烏場山に出かけて行きました。電車往復5時間、歩
き5時間でした。海抜266m。左の尾根から上り右の尾根を降りるコースで、途中にマテバシイの純林があります。マテバシイは樹冠の広がりで太陽を独り占めしてしまうため、林床には他の植物は生えにくいようです。やや暗い感じ。たまにぱらぱらっとどんぐりが落ちる音がして、樹冠の間からとんびが見えます。風はほとんど通らず、かといって太陽はさえぎられ、涼しくも無く暑くも無いと思います。他の植物がないせいか意外と空間もあります。遠くから見ると暖かそうで豊かな感じですが、真っ只中にいるととにかく風通しが悪くさわやかな気分は無かったです。腰は大丈夫でした。
 もうひとつ大切な用事がありまして、去年夏子供と千倉へ行ったときに食べた鯨の刺身が忘れられず、出所を調べたところ和田浦の調査捕鯨と分かりました。いかにも漁港の食堂兼飲み屋というのを見つけて注文してみたところ、凍っているものを解凍して出てきました。味も去年のものとは同じものとは思えません。ガッカリして駅で駅員さんに聞いてみたところ、8月20日までに来なけりゃ・・・と言われてしまいました。


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