北欧 ノルウェー山小屋縦走
ノルウェー・ヨートゥンハイメン国立公園の山々

斎藤光子

7月6日〜17日、北欧の尾根と呼ばれるノルウェー・ヨートゥンハイメン国立公園の山々をトレッキングして来ました。 KLMオランダ航空でアムステルダム、乗り継ぎ時間4時間を含め17時間半でオスロに到着。日本との時差はー7時間。ホテルに着いたのが夜の12時。

2日目  朝食を早めに済ませ、集合時間までの1時間ほど宿泊ホテルのすぐとなり、 オスロの街中にひときは緑がめだつ王宮へ散歩に行くと、丁度憲兵の交代の時間に遭遇。 銃を肩に掲げ7〜8人ほどの行進。若い女性の方も混じっていました。
今日から7日間、トレッキングのガイドをして下さる現地のガイドさんフィンご夫妻 (69歳)が同行。 フィンさんはノルウェー山岳協会「DNT」に勤められて、退職後 はガイドをされているそうです。
ノルウェーのガイドは総てボランティアでそれを誇りとしているそうです。
 参考までにノルウェーの面積はほぼ日本と同じで7割が山岳地帯。
 人口は470万人。その内オスロに55万人。
 DNTノルウェー山岳協会(1869年設立)に21万人が加入しているそうです。
 年会費が5000円だそうです。
今日は専用車で6時間、登山口となるイエンデハイム小屋までの移動のみ。
氷河に削られた川のように長い湖沿いをひた走る。
イエンデ湖に面して建つ小屋に下り立つとそこはもう花の宝庫。
ノルウェーの山小屋はすべて山岳ホテルなみです。
部屋は4人部屋だったり、2人部屋だっだり。 シャワーは有料、20クローネで5分間使える仕組みです。
小屋によって無料の所もありました。
 1クローネは18円程。
 ビールは350mlで65〜70クローネ。ちょっと高いかも。

3日目  いよいよ登山第一日目。
今日はヨートゥンハイメン国立公園で最も人気コース、2つの湖ベス湖とイエンデ湖を左右に眺めながらベッセゲン尾根を行くハイライト。
なのに上下の雨具にスッパツ。小雨と霧の中を出発。約750の標高差を行かねばならない。
本来なら氷河の水をたたえたイエンデ湖のコバルトブルーを目の当たりにしてるはずがまったくの霧の中。
足元の岩陰に咲く花がせめてもの慰め。皆無口でもくもくと歩いています。
相変わらず降ったり止んだりの空模様の中でガタガタ震えながらランチタイム。
用意してきた毛糸の帽子とネックウォーマー、雨具の下にフリースを着込みやっと落ち着く。
ベッセゲン尾根へと続く急下降の岩稜を緊張して下ってふと気がつくと霧が晴れ 左にコバルトブルーの長大なイエンデ湖、右に濃い藍色の湖面のベス湖、それを隔てる岩尾根が目の前に姿を現しました。そのタイミングの良さと美しさに歓声があがります。
ハイライトのベッセゲン尾根(1.750m)を通過し、小さな湖の点在する中アップダウンを繰り返し今日の宿に向け長い長いガレ場の下りが続きました。
 今日の歩行  14K  8時間15分

4日目  今日も又雨具着用で出発。標高差400mの行程。 橋を渡る色とりどりの雨具の列がなんだか美しく感動する。
雄大な山々、雄大な高原台地、イエンデ湖を右に見たり左に見たりと400mのジグザグの急下降。岩場の斜面にはクサリ場3箇所。太いクサリに加え濡れている。 足を滑らしたら大変な事になりかねない。クサリが握りきれず、滑ると思い手袋をはずし 懸垂下降の要領でおりる。
2度目のクサリ場で指さきの爪の付け根を切ってしまい日が経つにつれ化膿して痛い思いをしてしまいました。
急斜面の草地はまるで花園状態が続き緊張の中でもしっかりカメラに納めました。
イエンデブー小屋(995m)
 今日の歩行  12k  7時間15分

5日目  連泊しての休養日。
とは云え、小屋からすぐのイエンデストゥンガ峰(1.516m)へ約500mの標高差へ出掛ける。久しぶりに雨具なし。
気持ちの良い林を抜け湿原にはフウロ、ワタスゲの群落。
ゆるい登りのガレ場にはムシトリシミレが目立ちます。雪渓を越えたピークでは残雪との コントラストが美しい山々に囲まれて幸せなひと時です。
日の長い(23時頃まで明るい)一日、小屋の飼い猫?達の追っかけをしたりのんびり 体を休めました。
 今日の歩行  4k  4時間

6日目  今日までの4日間、ずっとイエンデ湖を眺めながらのトレッキングも今日からこの湖ともお別れです
雨は降っていないものの雲がどんよりたれ雨具の出番です。
巨大なU字谷についた踏み跡はぬかるんだ泥道。ストラー谷です。
山に囲まれた谷は広く所々牛が放牧され静かな谷にカウベルの音色が響いています。
よほど慣れているのか我々を見ると次々に寄ってきます。
ジーと目が合うとその内に列に入り込み当たり前のように一緒に歩く牛までいて おかしいやら怖いやら。
 「水量によっては靴を脱いで渡ります」と説明を受けていた広い川も、飛び石づたいに渡る事が出来まずは一安心。
登るにつれ現れる湖、そして湖面が凍結して神秘的な模様を作りだしている湖。
写真を何枚撮ってもきりが無いほどの美しさです。
宿はライルバスブーハット(1400m)趣のあるステキな小屋です。
 今日の歩行  19k  8時間40分

7日目  連日の雨具もザックに収まり、ゴロゴロ石が続く歩きずらいビス谷もやはり広い谷で、両岸の山々を投影する大小のの湖。 ひつじの親子も寄ってきてジーとみつめられます。トナカイの群れが雪渓を渡っていきます。
大きな滝の右岸をよじ登り滝の上に出ます。すると滝とつなげったはるかに長い湖、その湖の水がそのまま滝へと落ちているのです。
いくつもの川を渡り、素晴らしいロケーションの中に建つ最後の宿スビターストゥーレンハット(1.104m)
ロビーでビールタイム。外のテラスで山と向き合うひと時、最高です。
 今日に歩行  15k  6時間45分

8日目  いよいよノルウェー最高峰ガルホピッゲン(2.469m)登山です。
今日は最高の登山日和に恵まれ、小屋からの標高差1.300mを目指します。
最初からザレた急登がつづき。ツアーのリーダーさんは何度もフィンさんにスロー、スローと呼びかけていました。久し振りのの青空と陽ざしが心地よく疲れも忘れます。
400m地点より雪渓があらわれ、これより頂上まではガレ場、雪渓の繰り返しです。
人気の山とあって次から次とハイカーが登ってきます。
2.100m地点で左が切れおちた稜線にでます。360度の展望。いくつもの氷河。
はるか先の雪渓を列をなして登る影が絵のようです。
二つのピークを越え最後の登りは傾斜が強く雪が深く思うように足が進みません。
格闘している横を登頂を済ませた若い方たち、子供たちが歓声をあげながらシリセード でおりていきます。
8時30分出発、1時50分頂上到着。  ヤッタ〜!!
大小の氷河、幾重にも連なる残雪の山々。心ゆくまで楽しみ往路を下ります。
雪は適度のやわらかさでかかとからザクザクと快調に下り、しかし雪渓が終わってからの長い下りにひざががくがくでした。
登ってきた山を振り返りトレッキング全行程が終わりました。
 今日の歩行  14k  9時間

9日目  小屋からバスでオスロへ帰ります。 途中ロム村の木造(松材)で作られたスターブ教会、リレハンメルのジャンプ台などを見学します。ガイドのフィンさんご夫妻ともお別れです。

10日目  オスロ市内観光 バイキング博物館、フロム号博物館、多数の彫刻で有名なグロムネル公園、ノーベル賞の受賞会場の市庁舎等々。

トレッキング中ノルウェーの一般家庭の様子を知りたいと言う話が急にまとまり、夕刻ガイドのフィンさん宅にご招待を受け全員(16名)で訪問。
庭に丸テーブルを3つ出し、ビール、ワイン、オードブル、ケーキなどのおもてなしを受けフィンさんご夫妻のご好意に感激してしまいました。本当に貴重な体験をさせていただきました。ちなみにフィンさんのお宅は一般家庭ではなくて高級住宅街にありました。
 そしてノルウェーの旅は終わりました。

べッセゲン尾根
  イエンデブー小屋
ビス谷の風景
ビス谷の風景
ガルホピッゲン頂上めざして 木造のスターブ教会

 


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