【ゴーキョピーク・トレッキング】

秋田 勲男

■還暦のエベレスト

今年5月に私も還暦を迎える、人生60年どんな道程だったのだろうか、考えてもしょうがないか。兎に角自分なりの還暦記念にと世界一の山、エベレストを自分の目で観てみたいと思い、小室さんのゴーキョ・トレッキングに参加。途中高山病のためゴーキョ・ピークまで行けなかったが、ナムチェの丘からエベレストに対面、感激・・・・・・・。

出発予定日のロイヤルネパール航空が乗客不足(?)からかフライトキャンセル(よくある事らしい)、小室さんの努力により何とかバンコク経由でカトマンズへ。当日は当初予定通り関空に朝10時に集合、出発まで時間はタップリ、RNA手配のホテルで第一次懇親会、お蔭で出発前の良いチームワーク作りとなりました。
2004年4月22日深夜1時過ぎに関空から日本を後にプーケット/バンコクを経由しネパールの首都カトマンズに昼過ぎに到着(時差マイナス3時間15分)、空港からホテルまでバスで約1時間その間ネパール風の匂いと人・車・バイク・牛が乱れた騒音、数日前の反王政デモの傷跡が残る街を通過。当分風呂には入れないので、今晩はゆっくり堪能、明日からのトレッキングに備え早めに就寝。

23日朝6時30分ホテルを出発、相変わらず朝から騒がしい昨日の道をカトマンズ空港へ。ルクラまで定員16人前後の双発のセスナで40分の飛行、一応客室乗務員が乗っているが仕事は脱脂綿とキャンデイ−配りのみ。ルクラで料理人・ポーターそしてカトマンズから同行のガイドを含め計25名のスタッフと我々16名の大キャラバン隊、いよいよゴ−キョまでのトレッキング開始。仏塔門のマニ車を回し、これからのトレッキングの安全を祈る。ルクラからパクディンまでは緩い下り坂、途中、マニ石やタルチョを見ながらの足慣らしを兼ねた4時間の行程、今日の宿泊地パクディンのTASHI TAKIロッジに15時前に到着。
今夜は現地スタッフとの交流と今日古稀を迎えた猪瀬さんの誕生パーティー 、先ずはチャンとカトマンズで調達したシャンペンで乾杯、ロッジのお袋さんも手製のバースデーケーキでお祝いしてくれる。猪瀬さんの古希とは思えない旺盛な活力、還暦なんてマダマダ若い方かな。ネパールの音楽に合わせ若い現地スタッフの踊りに、我方も年を忘れて?参加。

24日、ナムチェに向けて7時頃出発、今日は標高差約800mの急登の続く行程である。チュモアの村で、桜に似た花を発見、まさかネパールに桜の花なんてと思いきや、ガイドの話では以前此処で日本人がロッジを経営、その人が日本から持ってきて植えたとか。丁度満開でした。モンジョとジョサレの間にサガルマータ国立公園事務所があり、此処で1,000Rsの入園料を払い、ゲートを抜けて、緩い坂を下ると、乳白色のドゥ-ドゥ・コシの河原へ出る。前方に高さ30〜40mの吊り橋が見えてきて、橋を渡ると此処からナムチェまで急登が続く。ゾッキョやヤクに抜かれながら標高3,440mのナムチェのナマステロッジに14時20分頃到着。夕食まで時間があるので街中を散策、人口3,000人だけあって土産物店やインターネットカフェ等があり凄い賑わいである。今日はロッジも満室、部屋は立派な絨毯が敷かれ、仏具や仏像のある仏間と思われる神秘的な部屋、仏様に守られ安眠。

25日、6時前に起床、窓からはタムセルクが朝日を浴びて輝いて見える。昨日の雪で街が雪化粧、朝の散歩に急な坂道を登り峠まで行く。あいにく雲がかかってエベレストには会えず。ロッジを8時頃出発、今日は高度順応のため、朝に散歩した急坂をシャンボチェ空港まで登り、約1時間位でエベレストビュ−・ホテルに到着。天気が良ければテラスからエベレストの眺めが抜群であるが、残念ながら今は雲の中、ホテルから小高い丘を越え本日の宿泊地クムジュン3,780mに着く。昼食後近くのゴンバで、言い伝えのイェティ〔雪男〕の頭の皮を見せて貰う、本物かナ?

26日、今日は朝から食欲なし、胃をやられたらしい。他のメンバーも数人不調。体調とは裏腹にクンビラ/タムセルク/コンデリ等の山々が素晴らしい眺めである。ドーレ4,200mまで石楠花の白・ピンク・赤・黄色の樹林帯の急坂を登る、滝を幾つか渡りドーレのイェティ・インに到着、前の川にて洗濯する。水が非常に冷たい、小室さん推奨の洗濯用手袋が役に立つ。体調不良のため夕食まで寝る。

27日、昨夜の雪も明け方には止み良い天気、体調も良好。しかし、ネパール料理は体が受け付けず、お粥とジャガイモが美味い。今日は8時にロッジを出発、マッチェルモ4,470mに向け裏の急な坂を登る、高度順応を兼ね時間を掛けてビスターリ・ビスターリ(ゆっくり)で歩く、途中国鳥のダンフェやカモシカと対面しながら、ドウードウ・コシの流れを右下に見、後方にはアマ・ダブラムの尖峰、行く手にチョ−・オュ−8,201mが雲の中から顔を出している。始めて見る8,000m級の山、さすが雄大。12時半頃マッチェルモに到着。4,000mを越えるとやはり脈拍が速くなり、頭が少しフラフラする、高度障害か?

28日、頭スッキリ、気力充分、ゴーキョ目指して出発準備完了。その前にトイレに行くがどうした事か出ない。尿意はあるが出て来ない。高山病が変な所に影響か、動けば出るという信念でロッジの裏の急登に取り付く。登りきると昨日見えたチョ−・オュ−が行く手に見える。もう一度試みるがダメ。草原のようなダラダラ道をバンガまで下る。此処は9年前に雪崩で日本人とネパール人がロッジもろとも飲み込まれ遭難したところ。冥福を祈る。
再度小用に挑戦するが、変化なし。これ以上は改善不可能、高度を下げるしかなし。11名のゴーキョ−へ向かうパーティーと別れ、体調不良の2名、ガイドのマイカルとマッチェルモ迄戻る事にした。ロッジに戻りトレッカーのドイツ人医師より利尿剤を貰い、一日中トイレ通い。
翌日、ほぼ60%まで回復、カトマンズの病院まで搬送するヘリを見送り、我々もドーレで1泊しナムチェバザールまで下る。高度が下がる程に私も完全に回復、トイレが楽しい?2日目と同じナマステロッジに着く。7時頃ゴーキョ組が到着、6名がピーク登頂に成功、他人事ながら嬉しい気分、おめでとう。今日の夕食は久し振りに賑やか、飯も美味い。

5月1日、今朝は未だ暗い中、大塚・川崎・赤沢氏と未だ見ぬエベレストを見る為、懐電頼りにナムチェの丘まで行くが雲の中。30分程待つがダメ、小雪が舞ってきたので引揚げる。朝食後ガイドのポーデルと2名の女性と再度挑戦するが未だ雲の中、このままエベレストを見ず終わるのか? 今日は土曜日のため、バザールが開催されている。衣類・雑貨・野菜・ヤクの肉等が売られており凄い人の数、何処から集ってくるのか。 気が付くと真っ青な空、これならエベレストも見えるはずと再度丘まで急坂を登る、今度こそ会えるぞ。アマダブラムが青空に映えている。見えた!! エベレスト!! ローツェを従えた世界一のエベレスト。素晴らしい眺めである。還暦の年、世界一のエベレストにようやく会えた。ただただ感激するのみ・・・。

企画して下さった小室リーダー、サブの古林さん、参加者の皆さん、有り難うございました。現地ガイドのデリップ・タパ、ナバラジ・ポーデル、マイカルにもお礼を申し上げます。
 Dhanyabad & Namaste !!

 


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