憧れのマッターホルンへの指標   

赤沢 東洋

なんと恰好の良い山だろう。写真を見る度に惚れ惚れしてしまう。それがマッタ−ホルンだ。初登攀のウインパ−に遅れること129年、私も遂に憧れの山頂にその足跡を印すことができた。現地ガイドと一対一で登ったのだが、面食らったのは彼らのスピ−ドだった。全然休ませてくれないのである。日本の山では経験できない4千メ−トルの高さ、それでなくてもへばる所で休み休み登りたいのだが、それを許してくれないのだ。とにかくゆっくりでいいから歩き続けろと言う。途中のソルベイ小屋まで2〜3時間で登るペ−スが標準で、そこまで4時間以上かかっているようだと、もう貴方には無理だから引き返そうと宣言されるらしい。日本で事前に訓練する場合はその点に留意し、富士山に行くなら五合目から3時間前後で登れる位の体力をつけておく事が望ましい。勿論、アイゼン歩行やある程度の岩登りの技術も必要だ。一の倉沢の南稜や中央稜位は登っておくべきで、その折も大人数で待ち時間が多くなるようなのは駄目だ。2〜3人で休みのない連続登攀ができる事が肝心である。

日本の山では登り優先という意識があるが、向こうでは通じない。登りだろうが下りだろうがお構いなしだ。先に来た方が勝ち。人のザイルを踏んづけてでもドンドン行けと背中を押されてしまう。

マッタ−ホルンはガイド無しでも登れるが、ル−トファインディングが難しい。日本の山のように赤ペンキでの指標は全く無いので、相当に山慣れた人でもル−トを見失いウロウロしてしまうと聞く。大事なのは水だ。1リッタ−以上は欲しい。喉が渇くし高山病予防のためにも水は欠かせないし、休む口実にもなる。

シリウスの皆さんならその気になって1年位訓練すれば大丈夫。登れます。 さあ今度は貴方の番です。頑張りましょう。

 


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