■2008年度「冬山・雪山研修会」(5回シリーズ)報告

第2回報告記事(北八ケ岳)  第3回報告記事(富士山)   第4回報告記事(赤岳)  第5回報告記事(苗場)

  ※第1回(12月14〜15日、谷川岳)は悪天のため中止しました

◆2008年「冬山・雪山入門研修会」を終えて    幹事・藤野 孝人

 「冬山・雪山入門研修会」は、冬山がはじめての方でも赤岳クラスが登れるようになること、
及びセルフレスキュー関係の知識の取得、を目指して全5回シリーズで企画した。
ご参加いただいたのは、冬山が初めての方、昨年度から2度目の方、既にバリバリやっておられる方まで、
幅広い方々であった。
 厳冬期の北八ヶ岳の寒気と強風は、冬山が初めての方には「これが冬山!!」と実感されたことと思う。
この時は低気圧が接近したこともあって、かなりの風が吹いた。冬山では強風に吹かれるだけでピンチ
であるが、良い体験となったと思う。
 富士山でのアイゼン・ピッケルワーク、滑落停止などは、何度も繰り返して練習することが出来た。
後日、何人かの方から「数日間、身体のあちこちが痛かった」と聞いたが、基本となる大切な訓練を予定
通り実施できた。これらが次回の赤岳につながった。冬山としては好天気に恵まれたこともあったが、
全員登頂し、無事に下山できたことは、これまでの努力が報われたものと言えると思う。
 最終回の苗場における研修会は、冬山・雪山で身を守るセルフレスキューなどをテーマに実施した。
ともすればアイゼン・ピッケルワークがある程度できれば、冬山・雪山はOKと考えがちであるが、冬山・
雪山で身を守るためには、大切で必要な知識と思う。
 2008年度の研修会は、ご参加いただきました皆さんのご協力により、無事終了することができたことを
感謝します。また、インストラクターの皆さん、山小舎や別荘を提供していただきました中道さん、赤澤さん、
セルフレスキュー関係のカリキュラムを作成していただきました杉坂さん、ご協力ありがとうございました。  

◆第2回 報告

   ◎期日=2009年1月10〜11日
   ◎場所=北八ケ岳 天狗岳、蓼科山
   ◎参加者=秋田、太田、柿沼、後上、斎藤(幸)、斎藤(光)、服部、浜口、別所
   ◎インストラクター=藤野(幹事)、赤澤、中道、大塚
   ◎研修内容=つぼ足歩行、アイゼン歩行、ピッケルの使い方、ラッセルワーク、耐風姿勢 他

 
         (黒百合ヒュッテ前にて)                      (天狗の奥庭付近)

 「冬山・雪山入門研修会 北八ヶ岳・蓼科山に参加して」  柿沼裕子

 シリウス入会後、初めて参加する山行が冬山研修会となりました。冬山は昨シーズンから始めたばかり
です。研修会に参加して知識と経験をしっかり身につけたいと思っていましたので、まだ身体に馴染んでい
ない冬山装備への不安はありましたが、当日を楽しみにしていました。

 初日の研修は、アイゼン・ピッケルでの歩行と黒百合ヒュッテ前の傾斜でのラッセルワークでした。ラッセル
ワークの方法は、ピッケルを横にして両手に持って雪をかき出し、その上に膝を付いて雪を固めその上に足
を載せるという動作の繰り返しとご指導いただき、簡単そうに見えていざやってみると、雪を上手く固めること
ができず時々ズボッと片足が潜ってしまい、抜くのに一苦労、なかなか思うように前に進みません。僅か1m
進むだけも疲労度は高く、雪に溺れているようです。ラッセルワークも技術が必要、そしてやはり体力と思い
ました。雪が柔らかく滑落停止の訓練ができなかったことは残念でしたが、思いがけず身近なところでラッセ
ルワークができて自分としてはよかったです。
 そして翌日行なった耐風姿勢の訓練は、強風の稜線で、本番さながらの訓練となりました。風の強さに真
剣になって両足とピッケルを使って屈みましたが、とそこに「風に向って耐風姿勢は取るんだよ〜」とインストラ
クターの声。確かに・・と慌てて向きを修正する場面もありました。

 室内で行なったロープワークでは、スリングで作る簡易ハーネス、悪場の通過、フリクション・ノットでの登下
降を行ないました。簡易ハーネスで、チェストハーネスは知っていましたが、腰にも1本巻いて、チェストハーネ
スと連結する方法というのは初めてだったと思います。悪場の通過では、中間支点を固定した箇所のカラビナ
の架け替えを行なったのですが、一瞬おたおたした場面があり、身近にロープを置いて普段でも時々は練習
する必要性を感じました。またフリクション・ノットは、プルージックでおこなったのですが、冬山は厚手のグロ
ーブをはめるので、握り易いようスリングの結び目はメインロープにくるようにと教えて頂き、教科書通りでは
ない実践に沿った知識をひとつ覚えることができました。

 今回の研修では、天狗岳と蓼科山の登頂も予定されていましたが、強風のため途中で引き返しました。
天狗岳を目指した朝の気温は氷点下18度。おりしもその日は寒冷前線が通過しその日同じ八ヶ岳の地蔵尾
根では、低体温症になり運ばれた方がいたと研修を終え帰宅した翌日に知りました。1月の救急法研修会で
低体温症の3大原因は、低温、風、濡れと学んだばかりですが、まさしくこの日の気象条件に当てはまります。
それにしても、チーフの藤野さんが登頂を諦め下山を決めたときの、その判断の速さには本当に驚きました。

 それから一番の反省点ですが、計画書の個人装備に目出帽と書いてあったにも関わらず、毛糸の帽子とネ
ックウォーマーで代用できると、勝手に判断し持参しなかったことです。結果として、藤野さんの大事な予備の
目出帽をお借りすることになり、大変申し訳ないことをしました。アドバイスいただき早速購入しましたので次
回には必ず持参したいと思います。

 今回ご指導してくださったインストラクターの皆様を始め、同行してくださった皆様には、たいへんお世話にな
りました。とても気さくな方ばかりで、充実した楽しい時間をご一緒させて頂きました。それに年齢を伺うと驚く
方もいらっしゃいましたが、皆さん体力があり、そしてそれ以上にお酒が強い方が多いですね。中道さんの
「山花開」では、持込したお酒が空けられていくのは元より、山荘の在庫まで手が付けられ1本、また1本と空
になっていく様は正直心配になってしまいました。でも翌日しっかり登られているのはさすがと思いました。
またお二人の女性には買出しから調理まですっかり甘えてしまいました。キムチ鍋、ギョウザとても美味しか
ったです。光子さん特製大根&柚子の酢漬けも大好評でした。次回はもう少し何かお手伝いできるようになり
たいと思います。
 新しく覚えたこと、そして確認できたことも多く、実り多い三日間でした。引き続き参加させていただきたいと
思いますので、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 「冬山雪山研修会に参加して」  太田英雄

 12月の谷川岳での研修会は雪が無くて中止。今回が初めての研修会となりました。
用具について、今回アイゼンをつけて歩いてみたのは初めての経験でした。大変便利なものであると思いま
す。私のは神保町で勧められた紐だけでつけるものです。ワンタッチではないのですが、なんとなく良く靴に
くっついていました。靴と同時に購入するのが良いのでしょう。もしくははいている靴を店に持参して、良く合
っているかどうか確かめることが必用と思います。しかし、これもスパッツの内側に引っ掛けたりすると、大変
危険で、バランスを崩したことが何度もありましたし、引っ掛けてスパッツがやぶけてしまっているのを見ると、
・・・・・・うーん、へぼいな、という感じです。

 さらにアイゼンですが、前の二本の爪はともかく、残りの十本が均等に着地していると、威力がすごく、便
利なものです。しかし、例えば片側だけが岩に乗っていて全体がアンバランスになっていると、危険だし大
変疲れます。今回は雪が浅い所が多く、ガチっていう感じで下の岩にアイゼンの一部の爪が接触してしまう
ので、ストレスがたまりました。ゴロゴロの岩の上に薄く雪が積もっている場合、引っかかったりしないように
要注意ですが、疲れてくると、いい加減になってしまいました。

 次にピッケルというものは初めて使用しましたが 杖になるのは自分でもわかります。滑落した時に、これ
で停めるのは、何度も訓練しないと難しいように感じます。これも一番上に着ていたゴアのズボンに引っ掛け
て破いてしまい、皆さんにガムテープを頂き、裏から貼って、なんとか済ませました。また、黒百合ヒュッテ
周辺の朝はマイナス十数度だったようですが、ピッケルをただ握っていると、指が冷たくなり危険です。手袋
をしていても、冷たさが凍みて来る感じでした。ピッケルもとんがっているところが多く、いかにも危険な代物
です。アイゼンとピッケルは使用方法をよく訓練しないと、かえってあぶないな、という感じでした。

 蓼科山の森林限界あたりでは、風が強く、殆ど吹雪で、顔が痛く、なんと物好きだろうと思いましたが、他
にも単独者やパーティもおりました。やはり山が好きなんでしょうね。風が無く晴れていたら、相当良いだろう
という予感はします。
 今回の研修も、自動車を出して運転なさってくれた方、別荘を提供してくださった方、信じられないような美
味な食事を作ってくださった方、技術的に教えてくれた方、その他皆さんに感謝いたします。ちなみに、作っ
ていただいた食事ですが、キムチ鍋、手作り餃子、お雑煮、大根柚子巻き、高級焼肉等々・・・・ありがとうご
ざいました。
 現在実力も何も無い私なのですが、いずれ何らかの方法にて少しは貢献させていただかないといけないな
と思っている次第です。

 ◆第3回 報告

   ◎期日=2009年2月7〜8日
   ◎場所=富士山5合目(佐藤小屋付近)
   ◎参加者(順不同)=秋田、太田、柿沼、斎藤(幸)、塚本、浜口、別所
   ◎インストラクター=藤野(幹事兼)、中道、大塚
   ◎研修内容=雪上歩行(直登、直下降、トラバース、斜登高、斜下降。アイゼンあり、なし)、
            滑落停止、耐風姿勢、ロープを使った悪場の通過法・確報法

   
    道路の法面を利用してトラバースの練習            滑落停止訓練    

 「冬山・雪山入門研修会 富士山」に参加して 塚本 稔

 2月7日8日、1泊2日の富士山5合目で行われた、シリウスの冬山・雪山入門研修会に初めて参加させて
いただきました。今までは個人で気ままに登れる山に、天気の良い時だけ、都合の付く前日などに決めて
行っていましたが、シリウスの会山行及び個人山行に参加させていただくようになりますと、自分のだけが
古い装備だったり、不備だったり、技術が未熟(知らない事が多すぎる)と痛感しました。これではリーダー
や会員の皆様に迷惑を掛けるのと、登山を安全に続けるには技術や知識を身に付けるために研修会に出
なくては駄目だと思い、藤野リーダーに研修会に参加したいと話しておきましたところ、「欠員が出たので
参加しないか」とのメールをいただき、不安でしたが参加させていただきました。

 初日は藤野車と中道車は谷村のパーキングで合流して、吉田口の馬返しまで車で入れましたので助かり
ましたが、林道はアイスバーンになっている所も有り、運転していた藤野リーダーと中道さんは歩く前から緊
張し大変だったと思いました。
 馬返しの駐車場に着きますと、後から来た軽トラから降りたのが佐藤小屋の女将で、藤野リーダーに「今夜
の食事の材料を運んで欲しい」と頼んで来ましたので、皆で分担して持って行くことにしました。
 駐車場や登山道は歩き始めから雪道でした。スバルラインが開通するまではこちらが吉田口のメイン登山
道だったそうです。二合目あたりでしょうか、リーダーよりアイゼンを装着するように指示が出ましたので、全
員装着します。アイゼンの装着は、落石等の心配もあること、及び姿勢も楽なことから、上方を向いて行うよう
にお教わりました。

 五合目の佐藤小屋直下の急斜面に到着。ここで訓練を行うことになり、アイゼンをはずしてピッケルを持って
訓練を行いました。ピッケルの持ち方は登りと下りでは違うことを学び、滑落停止、及び初期制動の訓練を行
いました。全員何度も繰り返しやってみました。
 滑落停止は失敗すると止まりませんでしたが、うまく決まると止まりました。また、下り斜面で前方に頭から
転倒した場合の滑落停止訓練も行いました。下が平らな所なので、失敗しても止まると分かっているのですが、
頭から落ちるのは恐怖感が有りました。ピッケルを突き刺す位置も顔の前では危険なので、斜め前方に刺す
と教わりました。失敗して頭が下で滑落したら、腹ばいになってのピッケル操作になることを考えると、時間が
かかり速度が出てしまうと大変だと思いました。

 藤野リーダーが体験を元に話されましたが、停止しない場合は「エイヤッ!」と気合を入れて再度もやり直す、
それでも停止しない時は、あきらめないで停止するまでやり直す、とのことでした。トラバースや直登・斜登高
の歩き方も訓練して、約2時間の研修を終了しました。寒い中での研修ですが、一生懸命やりましたので寒さ
は感じませんでした。
 アイゼンを着けて少し歩きますと佐藤小屋に着きます。佐藤小屋には強風が吹き付けていました。小屋に
入り預かった食材を渡しますと、女将からは大変感謝され、缶ビールを各人一本貰いました。小屋に入るとテ
レビ局が来て撮影しています。撮影は夜の食事風景など全般に亘って撮っていました。NHKとフジテレビの
二社だそうですが、NHKは5月の2日と10日にBSハイビジョンで放映するそうです。フジテレビは分かりません。
他の同宿者は某登山訓練所の訓練生達三十数名の団体でした。

 部屋割りも終わり指定されたテーブルで雑談しながら一服していますと、ヘリが2度飛んで来ました。某登
山訓練所の関係者が脱臼したとの情報が入りました。訓練に来たのに怪我をしたのでは困りますので、気
を引き締めました。
 6時からの食事が豪勢でした。食料の荷揚げを手伝ったので、お礼に食べきれない程の料理を出してくれ
ました。楽しい食事後、シュリンゲの作り方やカラビナの扱い方、ロープの使用方法などを教わりましたが、
始めて聞く言葉が多く覚えられませんでした。家に帰ってからホームページを見て勉強しないと落ちこぼれて
しまいます。(家に帰って見ても分からないことが多く有り困っています)。

 翌朝は6時起床、7時食事、天気は良いのですが、昨夜から吹いていた強風が止まず、森林限界以上は
雪煙が上がっているのが見えます。8時ハーネスとアイゼンを着けて出発し、昨日訓練をした所まで降ります。
ここは風が余りありません。そして道路下の法面の急斜面を利用してトラバースの訓練をしました。最初にロ
ープを張るトップとビレーヤの実技を見せていただきました。そして我々は、ハーネスに繋いだシュリンゲをカ
ラビナで繋いで、これをロープに掛けて、体を確保しながら急斜面をトラバースする訓練をしました。手袋をは
めた手で中間支点をカラビナの架け替えで通過しますが、縦走しかしない私でも覚えておかないといけない
と思いました。また、ロープなしでのトラバースを何度も練習をしました。山側が右になる場合と左になる場合
とでは、ピッケルの持ち方が違いました。 その後は直登及び直下降、斜登高及び斜下降の練習をしました
が、アイゼンは雪面にフラット、体は鉛直にしないと滑るので気を付けなければならないのと、滑った場合直ぐ
にピッケルで制動出来るような握り方でいることを教わりました。
 耐風姿勢の訓練も行いました。耐風姿勢は風上に向かって取るのが原則ですが、斜面の下から風が吹き
上げてきた場合は、素早く身体を回転させるのですが、もっと練習が必要と思いました。

 今回の冬山・雪山入門研修会に参加して、ごく基本的な事も多く学びました。例えば高山では、登山の途
中で条件が悪くなってから、着替え等は困難なので完全装備で外に出ること。アイゼンは安全な場所で早め
に付けないと、アイゼンが必要になる危険な所での装着は難しくなる。アイゼン歩行は、両足を肩幅ぐらい開
けるとともに足を上げて歩き、靴底のアイゼンの爪は全部刺すことなどです。また、カラビナ等は余分に持って
行ったほうがイザと言う時により良いと思いました。ハーネス・シュリンゲ・ロープ・カラビナの結束方法や扱い
方などは、家でも練習することが必要だと思いました。

 藤野リーダーより冬山を安全に登る心構えも聞きました。「冬山は、天候・積雪状態・体力・技術などに大き
く影響されるので、頂上に登ることにはこだわらず、パーティが無事に下山することが一番大切で、登りより下
りの方が難しいので、行ける所まで行くではなく、その時の状況に応じて、パーティとして安全に戻れる所で
早めに引き返す事」とのことです。訓練は一生懸命夢中でやりましたので、2日目には早くも腕や胸に筋肉痛
が出て、痛みが4日間位続きました。
 指導してくださった藤野リーダー、大塚代表、中道さん、有難う御座いました。
そして同行しましたシリウスの皆様、お世話になり有難う御座いました。
今回の研修会で得た技術・知識を生かし、安全登山を行っていきますので、今後とも宜しくお願い致します。

 ◆第4回 報告

  ◎期日=2009年2月28日〜3月1日
  ◎場所=八ケ岳連峰・赤岳
  ◎参加者 =秋田、猪瀬、後上、斎藤(幸)、塚本、浜口、別所
  ◎インストラクター=藤野(幹事兼CL)、中道、福寿、西山
  ◎研修内容=厳冬期の赤岳 登頂

  

    ◆参加者の感想

  「冬山・雪山入門研修会 赤岳山行」   後上 善一

 2月28日低気圧の間のPカンで有る。日頃の行いが良いのだろう。
5時22分発、久喜経由で新宿経由小田原行の特快が来たのでラッキーと思った。だが新宿から西八王子は遠
く、約30分も遅れてしまい申し訳ない思いで、車上した。美濃戸は順調に到着。柳川北沢を行き赤岳鉱泉着
(14時40分)。部屋にてロープワークを藤野リーダーに習う。その後飲みながらミーティング。まだ外は明るい。
後日知ったが、赤岳付近で男性が滑落死亡、また、唐松岳でも二名滑落のニュースがあった。

 小屋の夕食は豚腹の煮込みなどで素晴らしい食事だった。朝食は6時30分、約100名がずらりと並んだ。
3月1日、アイゼンを装着して7時30分出発。曇り空では有るが時々晴れ間もある。行者小屋へ11人が45分後
に着き、いらないものはデポして山頂へ。当初の予定では地蔵尾根だが、文三郎尾根を進む。上部は急坂に
なり、前方のパーティはザイルを出し、危険箇所をクリアして行った。シリウス11名は下山時に、一度だけザイ
ルを使用、無事通過した。前夜のザイルワークの練習が役に立った。

 赤岳山頂は10時40分頃到着。雲がちょうど切れ、富士山、北岳、甲斐駒、仙丈、中央アルプスが雲上に現
れ、素晴らしい景色に登頂の感激を味わい又疲れも忘れ、いざ下山。山頂での感激を途中足を止め振り返る。
行者小屋でデポ品を回収し、柳川南沢を快調に美濃戸山荘まで下山し、アイゼンを外す。美濃戸口まで坦々
と林道歩きで変化もなく一番長く感じる。
 美濃戸口の駐車場で解散。藤野車は小淵沢に有る延命の湯で汗を流し、無事に八王子駅7時34分着。
東武動物公園駅は9時8分着であり、帰りに武蔵野線を使ったら早かった。
 藤野さんはじめインストラクターの皆さん本当にありがとうございました。次回の苗場が楽しみです。
これからもよろしくお願いします。

  「冬山・雪山入門研修会「赤岳」に参加して」   浜口 武夫

 第1回は中止となりましたが、第2回「北八ヶ岳」と第3回「富士山」の研修は予定通り開催され、自分では確
実にステップアップすることができたと感じていたところですが、第4回「赤岳」では、皆さんも過去2回の研修の
成果をしっかり実地で実感されたのではないでしょうか。前夜の赤岳鉱泉でもシュリンゲやカラビナの使い方を
各自再確認して臨んだ赤岳。
 全員無事に登頂を達成できたこと、スリリングな山頂直下で戸惑うことなくセルフビレーの準備ができたこと、
そして手際良くスムーズに下降できたこと、足が竦むトラバースでも安定した姿勢で危な気なく通過できたこと、
等々、研修会のトレーニングで得た自信があったからこそだったと思います。
 インストラクターの皆様の充実したサポートとご指導、ほんとうにありがとうございます。

  「ヤッター!! 赤岳!」  斎藤幸子

 昨年から二回目の冬山・雪山入門研修会を受けた。去年は無我夢中で終わってしまったことが、今年同じ
ようなことをやってみると、「ああっ! これは去年もやったなあ〜」と思い出す。
 今年は天狗岳、蓼科山とアタックしたものの、強風のために登頂出来なかったが、冬山の厳しさを体感し、
アイゼン、ピッケルの使い方が、少し慣れてきたように思う。
 去年は硫黄岳登頂の際、前日の夜より久し振りに喘息の発作が出てしまい、登ることにスゴ〜ク時間が
かかり、皆さんに大迷惑をかけたので、今年は万全を期して臨んだ。まずは是非とも天気に恵まれるよう神頼
みをし、膝にはテーピングをし、赤岳鉱泉ではお酒を断ち、早々に布団に潜り込んで明日に備えた。

 翌朝いざ出発し歩きはじめると、身体がコチンコチンに緊張し、休憩時に足や腰をトントンとたたいてほぐした。
そして今までの訓練してきたことを思い出し、藤野リーダーの後から必死にリーダーの登り方の所作を見て、
一歩づつ登った。ようやく頂上にたどり着いた時は、「ヤッター!!」と叫んでしまった。
 頂上からは雲海の中に富士山、南アルプスや中央アルプスの山々が見え、私を出迎えてくれたようで嬉しく
なった。下山は一層気を引き締めて歩く、危険な箇所にはロープを張って安全に下れるようにしていただいた。
皆さんのおかげで無事登頂し、下山することができた。
 赤岳を登頂するには不安な気持ちもありましたが、今までの研修やリーダーの登山における安全第一を考
える姿勢に、安心感もありました。冬山の体験をもう少し若い時に経験しておけば良かったかなあ〜と思うの
ですが、あせらず、気負わず、少しづつ登頂できる山を増やしていきたいと思っています。これからもよろしく
お願いいたします。

 ◆第5回 報告

  ◎期日=2009年3月20日〜22日
  ◎場所=苗場周辺&平標山麓
  ◎参加者=太田、川崎、後上、斎藤(幸)
  ◎インストラクター=藤野(幹事兼)、赤澤、中道、福寿、大塚
   【研修内容】〔雪山のセルフレスキュー〕 雪崩のメカニズムと回避、雪質・積雪層断面観察、弱層テスト
           (コンプレッション、ハンド)、アバランチ・トランシーバー、プローブによる埋没者捜索、
           緊急シェルターの構築(スノーマウント、ツエルト)、雪上シート搬送法、埋没体験
          〔雪山での生活技術〕 雪中でのテント設営、テント生活術

 
       (スノーマウントの構築)                   (同 完成!!)

 
      (シート搬送・引き降ろし)                    (同 引き上げ)

  「 5回目 「雪上訓練」の報告 〜“百聞は一見に如かず”というが如し〜  太田英雄

 「冬山・雪山研修会」の最終回〈雪上訓練〉は、赤澤さんの山荘のある苗場周辺で行われました。苗場の
雪は例年より少ないとのことです。まずビーコンですが、冬山登山におきましては、これを持って行かないこ
とは周囲の人たちに失礼である、とする見解が既に一般的であるようですから、出費は痛いですが皆さん
購入いたしましょう。ビーコンですが、どのメーカーの物でも汎用性があり、同じメーカー同士でないと使えな
いということはありません。つまり、とにかくどれでもいいから買って持っていけば、最低限の冬山登山の義
務は果たせます。別のパーティーでも何でも、持っていれば捜索に参加できます。全員が登山口で発信モ
ードにしておく。事故が起きて、捜す人になった場合は受信モードに切り替えて捜索する、という手順です。
 ビーコンには大きく分けて2種類あるようです。「解析タイプ」(自動的)と「非解析タイプ」(手動的)です。
解析タイプというのは受信モードにすると、埋没者までの距離と方向が液晶に表示されるという方式で、
大変便利なものでした。非解析タイプというのは、LEDの発光個数とピープ音の強弱を自分で判断して埋
没者にたどり着くというものでした。大塚さんによりますと、慣れればどちらでも同じである、ということでし
たが、私はピープス社製の解析タイプが良かったです。

 後上さんが埋没体験をなさり、下半身埋まってみた訳ですが、まったく動けない、とのことです。また全身
埋没の場合、呼吸のために肺を膨らませることすらできなくなるほどである、とのことですから、ビーコンの
世界には行きたくなく、埋まらないことを神頼みするしかないかな、と思いました。雪崩の末端はコンクリート
並みの固さとのことで、つるはしが必要なくらいらしい。雪山でのビーコンは大変便利なもので、あるのと無
いのでは雲泥の差が生じると思います。

 次に、雪崩について勉強プラス実地がありました。スノーシャベル、これも是非必要な品物です。弱層テス
トはスノーソー+スノーシャベルが無ければ、なかなかできないと思います。不思議なものでコチコチの層の
部分と指が簡単に入ってしまう層があります。掌で握ってもパラパラと崩れて固まらない積雪のひとつを
〈しもざらめ雪〉といい、雪崩の原因となる弱層ということです。木の無い斜面というのは何度も起きた雪崩に
より木が生えない斜面の恐れがありますから、一人では近づかないのが安全、ということです。

 また、雪の中でテントに泊まってみる、という研修もやりました。これは私やってみました。雪の中のテント
で泊まるのは私初めてでしたが、特に寒くも無く快適でした。実際には風がものすごかったり、荷物が多か
ったり、疲れきっていたり、テントの中に多くの人が詰め込まれた場合、快適ではないようです。冬用のテン
トですが、3人用でポールを入れても3キロ無いとのことで、やはり高いものが良いようです。登山道具だけ
は高ければ高いほど良い、と思うのですが・・・。

 続いてスノーマウント作成。リュックを積んだ上にシートをかけ、雪で埋め固めた後、入り口を作り、中の
リュックを取り出すと、かまくらが出来上がるというものです。ポイントは雪を積み上げた後小一時間立たな
いと雪が固まらず、崩れてしまうということです。作成に数人がかりで小一時間、合計2時間程度かかりま
す。これを作る時には明るいうちに早めの判断が必要でしょう。例えば、本日はどうしても下山し、明日は
重要な仕事がある・・という状況ではあせってしまいそうで、判断誤りも起きやすいような気がします。
      
 雪上搬送。ツェルトも必需品です。負傷者を何らかの方法で包むのが運びやすいということで、ツェルトと
ロープ・カラビナ等が必要になります。〈顔は出してあげる〉〈たまに呼びかける〉〈靴の紐は緩める〉〈負傷の
箇所にはテープでバツをつける〉。テープも必需品です。百円ショップ等で見かけます。ガムテープも必需品
です。梱包はロープワークに習熟しないとできない部分もありました。また実際に搬送してみると、重いです。
急斜面等では相当困難と思います。

 ツェルトの設営。ロープ・立ち木等を使って工夫して設営する。今のものはすごく軽く、小さく収納できます
が、ポール付きの一人用テントも大変よいものがあり、快適さの度合いはテントのほうが良いでしょうから、
ツェルトはあくまで非常用または夏向きと思います。ちょっとした穴を利用したビバークの心得は時間が無く
てできませんでした。

 GPSについて。これはやはり時間が足りなく実際の研修には至りませんでした。今後の研修になるので
はないかと思います。ただ、地理院の地図に関しましては、現在位置の割り出し方を机上にて研修いたし
ました。丸い穴のあいている透明な下敷きのようなもの(マップ・ポインター)を使い、ほぼ完璧に現在位置
を割り出せるとのことでしたが、私はいまいち理解できませんでした。すみません。

 以上の諸研修は、良く聞いたり読んだりするものなのですが、実際に体験してみると“百聞は一見に如
かず”というが如しでした。また、実際にやってみることは、どれも結構時間がかかり、2泊の研修でも時間
的にはあまり余裕はありませんでした。
 また例によりまして晩御飯はすばらしいもので、煮込みうどん・烏賊の沖付け・ふきのとう大根・焼肉と蒸し
野菜・ツナとミズナのサラダ・いわしの焼いたの・雑煮・カマンベールチーズ・セロリとキュウリ佃煮のせ・
あらゆる酒というものでした。講師の皆様、お料理担当の斉藤様、別荘の赤沢様、そのほかの皆様ありが
とうございました。
  また、研修内容につきましては、私が誤って理解している部分も多いと思います。ご容赦ください。
  


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