◆「雪山入門研修会」実地編最終回 報告

  ◎期日 2008年3月15日〜16日
  ◎場所 南八ガ岳・硫黄岳
  ◎参加者 藤野(幹事兼リーダー)、西山、大塚(以上インストラクター)、猪瀬、秋田、萩原、迫畑、
         斎藤(幸)、岡田、名倉

  
         赤岩ノ頭直下の急登            硫黄岳頂上からの展望(左:赤岳、右:阿弥陀岳)

■参加者の報告  猪瀬精孝

  冬山・雪山入門研修会の最終ラウンドを飾る早春の硫黄岳登山が、3月15・16日の一泊二日で行われた。
リーダー三名受講者七名の総勢十名が二台の車に分乗して出発した。前線通過後で天候も益々良くなり二日
間の山行に期待が持て胸が膨らむ。談合坂SAで全員集合したうえ一路美濃戸口に向ったが、駐車場に着くと
週末のせいか団体も大勢来ており大変な賑いであった。我々もここに車を置き身支度を整えて、10時半柳川
沿いの林道を美濃戸へ向け歩き出した。林道には結構雪が残っており、スタッグしている車も多く見られた。美
濃戸を少々過ぎたころ正面の真っ青な青空の中、阿弥陀岳のかっこいい頭が姿を現わした。柳川北沢沿いの
登山道に入り、雪解け水を集めた北沢を何度か渡り返して、15時頃今宵の宿赤岳鉱泉に着いた。奇しくも計画
書通りの時間、流石リーダー達は全員の足を良く知っていると感心した次第。

 部屋は大きな炬燵が二ヶ所ある十名で丁度いい個室。ここらでそろそろ一杯と思いきや、CLの掛声で部屋に
ロープを張り、シュリンゲ・カラビナを使ってのロープワーク講習会が実施された。この後夕食前の第一次懇親会
が各自持ち寄り品で行われ楽しいひと時を過ごす。宿の夕食は生きのいいサンマを丸ごと丁寧に焼いてくれ中々
美味であった。食後も再び第二次懇親会が炬燵を囲んで部屋にて行われ、明日は本番が控えているので21時
には寝床に就いた。

 明けて3月16日5時起床・6時朝食・アイゼン・スパッツを装着の上、7時に赤岳鉱泉を出発した。気温はかなり
高めだが天気は上々、赤岩ノ頭の尾根に取り付くべく進んで行く。途中大同心や赤岳・阿弥陀岳の展望が素晴ら
しい。ジグザグの急登を登りダケカンバの林を抜けると展望が開け赤岩ノ頭稜線の分岐に出た。この附近は何時
も風の強い所だが今日はほとんど無い。分岐を右に残雪の稜線を登り、火山の荒々しいミックスルートを抜けると
比較的なだらかな硫黄岳の山頂に出た。体調不良の人もおられたが、リーダーの良き誘導の下、とにかく頑張っ
て全員揃って登頂出来た事を皆で喜び合った。

  しばし展望を楽しんだ後下山に取り掛かる。赤岩ノ頭直下の急降下で、安全を期してリーダー達がロープを張っ
てくれた。昨日の練習で習いたてのシュリンゲ・カラビナを使って、皆さん楽しそうに降りていた。正午過ぎ赤岳鉱
泉に帰還、昼食と身支度を行い、愛車の待つ美濃戸口へと昨日来た道を引き返す。急激な気温の上昇で林道の
雪は殆んど融けて無くなっていたが、登山道では場所場所によって雪質が変化し印象的であった。この時期雪崩
には一層注意が必要ですが、雪崩は不可知で不可抗力なものではなく、雪崩を引き起こす引き金を引くのは、そ
の大半が人為的な人間自身が原因だそうなので皆さん気を付けましょう。美濃戸口に15時無事帰着となり、直帰
組と温泉組に別れ解散となった。

 ここで今回の研修シリーズで感じたことを一言述べさせて頂きます。登山には技術・装備・体力の三要素が必要
と言われていますが、この内技術(プロガイド頼みも含め)と装備はある程度お金で買うことが出来ますが、体力だ
けはお金で買えません。グループ登山では全体の協調が求められます。雪山ではラッセルもあり、時として絶対的
な体力が要求される事もあります。全員が安全で楽しい登山を行うためにも、日々体力作りには気を使って頂きた
いと思います。この度の冬山・雪山入門研修会ではトータルで色々な事を教えて頂きました。
  この研修会を最初から最後まで企画・幹事・リーダーを務めて下さった藤野さん並びにインストラクター、リーダー
として協力下さった多くの方々、本当に有難くここに改めて厚く御礼申し上げます。今回の研修会がきっかけで、
初めて冬山の装備を調達された方や、初めて雪山に登られた方も多くおられたのではないでしょうか。この素晴ら
しきバックカントリーの世界を一度知ったら、誰だって忘れることは出来ません。なかなか行けなかったこの時期の
素晴らしい山に魅せられ、益々我々山仲間の輪が広がって行くことを心から期待しながら、感謝の言葉に代えさ
せて頂きます。

<コースとタイム>
15日: 美濃戸口(10:30)〜美濃戸(11:30−11:50)〜堰堤〜北沢〜赤岳鉱泉(15時)
16日: 赤岳鉱泉 (7:00)〜赤岩の頭(9:10)〜硫黄岳(9:50-10:00)〜赤岩の頭〜赤岳鉱泉(12:00-12: 30)〜北沢〜
    堰堤(13:20)〜美濃戸〜美濃戸口(15時)


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