◆登山者のための「読図と現在地確認 」 福寿新一

  (このテキストは2009年3月に行なったシリウス実地研修会の為に作成したテキストである)

 【目次】

 1地形図を読む  (1)地形図をよく見てみよう  (2)等高線の追跡 
       (3)任意の場所の経、緯度の読み取り  (4)高さによる色の塗り分け
 2.現在地の確認  (1)標定  (2)クロスベアリング  (3)単測方位法  (4)高度計の活用
      (5)目測  (6)時測、歩測  (7)GPSによる簡易測位法

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1.地形図を読む

 ◎地形図を買ったら、まず分区線を入れてみましょう。
 ◎次に分度器を使って磁北線を、その地形図を利用して行動する場所の近くに入れましょう。
 ◎地形図製作は、測量結果を平面図に表したもので各地点の位置と高さが基になっています。
   したがって地形図を読む基礎も位置と高さを読むところにあります。

 (1)地形図をよく見てみよう。
    ◎三角点を探してみよう  三角点は頂上の印ではなく、昔三角測量という方法で全国を測量調査した
      際の基準点で、見通しの良い山の上に作られた為山頂に設置されていることも多い。近年は空中写
      真測量を使っていましたが、ごく最近ではGPS等の電子機器による測量調査がされるようになり、
      全国に電子基準点が設けられるようになりました。実習時の菩提峠にもあります。
    ◎標高点、等高線数値を探してみよう 地形図の内容の項参照
    ◎頂上を探してみよう  はっきりしたピークや尾根の途中のこぶ位の小ピークまでいろいろですが、
      等高線が閉じて円や楕円になっている所が95l位の確率で頂上といえると思います。池やカルデ
      ラのように凹んでいる場合も同じようになります。
    ◎頂上から派生する尾根  小さな円や楕円だった等高線は高度が下がるにしたがって長く伸びてき
      たり、星型に手足が派生してきます。これが尾根の始まりです。地形図の場合の等高線はもっと複雑
      に褶曲していますが、それにとらわれず単純化して考えましょう。
    ◎川と上流の谷(沢)  川は水色に彩色されていますのですぐに分かります。等高線は川をはさんで
      上流に向かって矢じりのようにとがっています。さらに上流にすすむと先ほどの尾根と尾根の間に谷
      となってはいってきます。
  


 (2)等高線の追跡  ここで説明するより実際にやってみましょう。

 (3)任意の場所の径、緯度の読みとり   その場所を囲んでいる分区線を見れば分単位までは分かります。
    あとは、分以下の単位を読み取ればいいのです。方法は5(7)のGPS簡易測位法の項で説明します。
  
 (4)高さによる色の塗りわけ
    地図帳などに使われている段彩という方法で高度ごとに彩色します。各地の高低の比較も出来ますし                 
    見ただけでそのバランスが理解できます。地形図ではあまり本格的にやらなくとも、色鉛筆などで少し
    色をつけてもよくわかります。

  

2.現在地の確認

  登山中に現在いる場所が判っていることは必要不可欠ですが、実際にはちくいち把握している訳ではあり
  ません。あそこを何時に出発したのだから、むこうへ何時ごろ着くはずであると思い込んでいるだけで、本当
  は何処にいるのか判らない。自分がリーダーでなければ、ただただ人に付いて歩いているだけです。
 思い込みで道を外したり、道標を見損じたり、霧やその他視界不良で枝道に入ったり、トレイルの無い雪山
  で枝尾根にでも入ればもうリッパな道迷いです。現在地を確実に知るにはGPS以外に無いとも言われてい
  ますが、費用対効果の問題もあり又使用条件によっては役立ちません。まずは、地図や地形図、コンパス
  その他の登山に適した小道具を使って現在地確認の努力をしてみましょう。

  (1)標定  地形図の北と実際の北の向きを合わせること。オリエンテーションとも、正置ともいいます。
     地形図に書き入れた磁北線とコンパスの磁針の向きを合わせれば完了です。地図上のすべての地
     点の向きを延長すると、地上の対応地点に結びつきます。現在地が判らなくなった場合は、これを逆
     に使 うのです。

  (2)クロスベアリング(交差方位方)
     2箇所以上の物標の方位をコンパス(方位磁石)で測定し地形図上で、物標から反方位に直線を引き、
    その交点をもって現在地とする。3方位の場合は正確に出来れば交点は一点に交わるはずですが、
    通常は小さな三角形を生じます、その場合は三角形の内心を現在地とする。2本の線の場合は90°に
    近いものが望ましい。少なくとも30°〜150°以内になるように測定したい。
     船が現在地を知る為に用いられた方法ですが現在はGPS等の電子機器が主流になりました。

   (3)単測方位法  クロスベアリングと同方法で一方向のみで測位します。自分がいる場所が登山道と
     分かっていれば直線との交点が現在地。

  (4)高度計の活用
     高度計は気圧計の目盛りを高度表示にしたものです。 したがって気圧変化がおきると表示高度が
     変わります。まず出発地点を地形図で確認し、高度を等高線で確認しましょう。次に高度計の目盛り
     をその高度にあわせます。行動中も標識や高度が分かるピークや物標があればそのつど高度と
     高度計の指針を合わせておきます。
     自分のいる場所が縦走路や沢筋であれば、高度計の表示高度の等高線と交差する場所が現在地
     です。まったく現在地が不明の場合でも表示高度の等高線上のどこかにいるはずです。前頁の方法
     を活用し現在地確認をしましょう。
      ホワイトアウトの縦走路や見通しのきかない沢中では頼りになります。外気圧が低く変化していく
     場合、高度指針は実際の高度より高くなります。 1hPaにつき10mの割合です。一時的に黒雲がで
     てきた時なども変化し通過すると元にもどります。

  (5)目測
     普段無意識の内になされていることですが、意識的に目測を活用しましょう。常に地形図と定規は
     持ち歩き(定規をつかわず目分量も可)、目標物又は周りの地形までの距離、地形図と比較した大き
     さ等を判断できるように訓練しておくと前頁の方法で現在地確認に役立ちます。

  (6)時測、歩測  省略

  (7)GPS簡単測位
     GPS受信機の有無にかかわらず地形図上の自由位置を径緯度の数値で表す場合、又、数値で示さ
     れた経緯度、あるいはGPS受信機の数値を地形図上にプロットするには地形図に経度、緯度1分ごと
     に分区線(ふんくせん)という緯度線、経度線を書き込んでおくと便利です。2(3)、3(4)参照。さらに
     見やすく邪魔にならない位置に、度、分の数値を入れておきます。
      分区線は1分ごとの線ですから、分単位までは地形図を見るだけで分かります。あとは秒単位の数
     字が1分枡のどの位置にあるかを同定すれば良いのです。      
      緯度は南から北へ(下から上に)、経度は西から東へ(左から右に)数値が上がります。      
     たとえば、下図の×印の位置の経緯度を調べるとしますと、目測で、下から3/4位、左から1/2位
     と読むと、北緯は60秒×3/4=45秒、東経は60×1/2=30秒となり、北緯 35度○○分45秒
     東経139度○○分30秒と、目測でもおおよその場所は分かります。

     
     このくらいのラフな数値でも救助要請には十分と思いますが、もっと正確に数値化する為には、定規
      等を用いて、縦、横とも按分数値を求めます。
       按分法は、100oの定規を用いれば100分の1分が計れ、60oの定規を用いれば 1秒が計れます。
     又、市販されている「マップポインター」という特殊な定規を用いますと、経度・緯度が同時に計れます。
     使い方は簡単です。緯度によって、1分枡の大きさが違うので何枚かあるようです。
     関東近辺は bR6(緯度35〜37度用)です。方法は図の通りです。

    


      現在地不明時はGPS 受信機による測位が有効です。救助要請の場合は、数値をそのまま電話や
      無線又は伝言依頼によって連絡場所に伝えます。道迷い、視界不良等では地形図上に現在地をプロ
      ットする必要があります。その場合は前述の按分法を逆作業すれば現在地を同定することが出来ます。
       GPS受信機は万能ではありません。人工衛星からの微弱電波を受信していますので高い建物や深
      い森の中、岩壁の近くでは能力は著しく低下します。現在地確認には機器を使いこなして性格をよく理
      解しておくことが必要です。


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