◇登山者の為のGPS簡単測位法  福寿 新一

【まえがき】
 2,006年都岳連共済事故処理概略に10件中2件が道迷い、ルートを失うと報告がありました。1件はホワイトアウト
によるルート遺失、他件は判断ミスによるルート遺失のあげく6日間の迷走でした。迷った時はその場を動かない、
判る所まで戻るのが原則だが、手をこまねいて待ってもおれずルート探索をしてしまうのだろう。判明する場合も多
いが運が悪いと壷に嵌ってしまう。現在地が判れば地図とコンパスで向かうべき方向は決まります。ここではGPS
測位法で現在地を把握してみましょう。現在はGPS機器も多種類販売されており、画面に地図が出てくる製品もあ
るようですが、操作煩雑、詳細判りずらく高価で、毎回持ち歩くほどでもなく、費用対効果の効率悪く普及率が低い
のが現状です。
 今回は緯度と経度の数字のみを用い、国土地理院の1:25000の地形図に自分自身でプロットする方法を説明し
ます。慣れれば難しくありません。GPS機器は25000円前後の物で緯度、経度の数字だけ正確に出ればOKです。

【地形図と測地系】
 旧来使用されていたのは日本測地系で、2002年4月(平成14年)より世界測地系を使用する様、法律が改正さ
れて施行されました。明治期日本で使用された測地基準が近年の正確な測位により作成された世界測地系との
間にずれや、歪みが明らかにされた為で、地域によって異なりますがその差は東京附近で北西に約450mずれて
いました。海図は全て作り変えられ、旧海図は使用不可となりましたが、国土地理院の地形図は便宜的に分区線
をずらして表示する方法を採用しています。

【緯度と経度】
 現在地球上の座標は緯度と経度で表示されています。詳細は専門書にお任せしてここでは測位に必要最低限
度の説明をします。例えば、139°13’16"Eと表示し、東経139度13分16秒と読み1度は地球の円周の360分の1、
1分は1度の60分の1、1秒は1分の60分の1であることはご存知の通りです。緯度1分は約1852mで、経度1分は
緯度によってまちまちです。余談ですが緯度1分を1シーマイル(海里)といい、この距離を1時間で移動する速さを
1ノットと言います。緯度1秒は約30.86mで、昔はこれで充分だったのでしょうが現在では機器の精度が上がり
一般製品でも1000分の一分位まで測定できるようです。GPSでは139度13.684分のように出てきて、秒の単位は
10進法になっています。実際には最後の1桁は常に変化して定まらず、無視して100分の1までの数字を使えば
充分です。

【地形図へのプロット】
 地形図は上下と左右のどちらかが分区線で仕切られています。四隅には小さな数字で緯度、経度が記入されて
います。さらに縁の線の外側にティックという短線が1分毎に記されています。日本測地系では0.7mm位で黒く世界
測地系では2.5mmで茶色です(図1)。ティック上下左右同士、線で結びますと(シャープペンシルで丁寧に)1分間
隔の升目が出来ます。GPSを使用する場合機器の測地系と地形図の測地系が同一であることが重要です。GPS
の数字を読めば分単位までは、どこの枡に現在地があるか解ります。後は秒単位の数字を読み、枡の中のどの位
置かを求めればいいのです。北緯は枡の下(南)から上(北)へ、東経は左(西)から右(東)へ数字の按分点から区
分線と平行に線を引きその交点が現在地となります(図2)。按分の方法は図3の要領で行います。慣れてくれば
平行線も部分的に引くだけで済みます。 
 ここに書いたゴタクよりやることの方が簡単です。トライしてみて下さい。逆に地図から事前に必要ポイントの緯度、
経度を調べておけば、GPSの数字を見ながら目的地に近ずくことも出来ます。

【あとがき】
 GPS機器には機種による特徴やくせなどもあるようで使いこなしが正確性向上の為に必要です。以前使っていた
ものは測位場所に止まってスイッチ ONし測位を試みても数値が定まらず不具合でしたが、スイッチONのままザッ
クの天蓋に入れて歩いていると正確に測位するようでした。また林や森の中でも同じような現象がありました。
 日帰りハイクや良く判っている山ではさほど必要性は感じませんが、積雪期、残雪期の縦走、長期登山、未知の
縦走路、単独登山等々での天候悪時などには心強い味方になってくれます。


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