■「沢登り初級」3回シリーズ研修会(09年7〜9月)報告

 第1回報告(7月)  第2回報告(8月)  第3回報告(9月)

 

◆第1回 報告:服部悦生

◎期日  : 2009年7月5日                 
◎場所  : 丹沢・葛葉川本谷
◎参加者  : 太田、服部
◎インストラクター    : 藤野(幹事)、福寿

  

当初の予定は同じ丹沢の「小草平の沢」でしたが、藤野さんが事前遡行をした時、やたらとヒルに愛されたらしく、葛葉川本谷に変更されました。
沢経験なしの私にとっては、ヒルにまで気を使わねばならないのはぜひとも遠慮したいものです。
遡行当日は暖かい曇り空。水しぶきを浴びて「おーっ、気持ちいい」と叫ぶには少し寒い気温でしょうか。晴れてくれればよいのに。
有名らしい「葛葉の泉」で遡行準備をして出発。泉から見える堰堤の上流部から入渓。流れの中を歩いたり、際を歩いたり。小滝の中を登ったり。とにかく足を置くところが一歩一歩状況が違うのですから、土の上を歩くようには行かず、結構気を使いました。
入渓時には木々が繁り、狭かった沢も上に行くにしたがい広くなり、頭上も明るく変化してきていく状態はいいものですね。
難しそうな滝ではロープに確保されてのクライミングを行い、途中の滝付近で懸垂下降の練習。支点の選び方、セットの方法の講義とエイト環での懸垂実習でした。濡れたロープは案外と「滑らないなぁ」との印象でした。
この他にも「ホールドは見えるところだけではなく、水の中にも」もなるほどでしたし、「水流の中のほうが滑らない」も実感できました。
遡行後半部では濡れすぎた?ためか体が冷えてきたので、一人だけ巻かせてもらった滝がありました。こんな時は雨具を着ればよいのですよね。濡れも少ないでしょうし、保温にもなるでしょうし。土の上を歩いていれば支障なくできることも環境が変わるとできないようではいけません。
講習はあと2回。無事終了するように努力したいと思います。

 

◆第2回 報告:柿沼裕子

◎期日  : 2009年8月8日                 
◎場所  : 南秋川流域 矢沢・軍刀利沢
◎参加者  : 服部、和田、柿沼
◎インストラクター    : 藤野(幹事)、福寿

入渓して間もなく出会う「3mナメ滝と二条4mの滝」です。
  細長い淵で「へつり」の実習です。
読図をしっかりやりながら遡行した結果、ねらった通り、 ドンピシャッ!! と三国峠に出ました。
矢沢林道の終点に下山したところです。 どこを歩いてきた? 最後まで地図とにらめっこの柿沼さんです。

今年は出足が遅れ、今シーズン3回目の沢がシリウスの初級研修会・軍刀利沢となりました。
軍刀利沢は5年前の秋に一度遡行していますが、記憶も薄れていること、シリウスの沢は初参加ということで、新鮮な気持ちで参加してきました。
矢沢林道に入り車両止めの看板の前に車をデポし、20分も歩くと小屋が見えてきます。さらに10分ほど歩くと林道沿いの立木に赤テープが巻いてあるのが見え、これが入渓点の目印です。ここで身支度を整え、持参した地形図の確認、水線や標高の記入など参考になるアドバイスを頂きました。そして出合に降り立ち、いよいよ遡行開始です。
最初の3m滝は左から、続く4mの滝は安全のためロープで確保してもらい右から登ります。
CS滝では、ショルダー(今回は恐れ多くも大先輩の膝を借用)を、また釜を持った滝場では「へつり」の練習をしながらワイワイと楽しく遡行していきます。
短いけれどエイト環を使用して懸垂下降をする場面もありました。適度に現れるナメ、小滝、倒木が変化をつけてくれて、軍刀利は小さいけれど沢のエッセンスが詰まった沢だと改めて思います。
枝沢が入ってくる度に地形図で現在地を確認し、本流を見極めながら進行していきます。
滝場が終わるとやがて伏流になり、辛い薮漕ぎもなく三国峠に詰めあげることができました。
実は今回の核心部は「下山」にありました。三国峠より生藤山方面に向い、P1019より北に派生する支尾根から続く仕事道を利用して、矢沢林道の終点を目指して下山しました。
地形図を見ながら歩いても、現在地の把握が困難で(勉強不足なだけかも・・)、ただひたすら藤野さんについていくだけでした。でもこの下山が地図読みの勉強にもなり、楽しむことができました。
今回の研修会では1本のロープに、複数の人が同時に確保されて登るということを経験しました。
ロープの途中にエイトノットを作り、自分のハーネスの安全環付きカラビナに掛けるのですが、このときに作るエイトノットの上の環を大きくしないと、万が一ロープにテンションがかかった時は振られてしまうから危険、ということを教えていただきました。
心配したお天気も最後まで雨に降られる事なく、ほんとうにラッキーでした。

 

◆第3回 報告:柿沼裕子、服部悦生

◎期日  : 2009年9月5日、6日                 
◎場所  : 丹波川流域「泉水谷・大黒茂谷」
◎参加者  : 服部、柿沼
◎インストラクター    : 藤野(幹事)、福寿

報告(その1):柿沼裕子

沢初級研修会も最終回を迎え、一泊二日の行程で多摩川源流にあたる奥多摩湖の上流、大菩薩嶺に突き上げる泉水谷・大黒茂谷を遡行してきました。ガイドブックによると遡行時間は3時間30分と短いのですがアプローチが長いこと、沢泊り目的とした研修会であったことから二日間の行程で計画されました。

沢としてとくに難しいところはないのですが、巨岩を過ぎてから突き当たる堰堤の下降に、思いがけずかなりの時間を要しました。というのも以前あったという梯子は陰も形もなく、確保なしでの下降は困難なため、ハーケンでの支点つくりを余儀なくされたためです。また大滝上の連続する滝郡は初心者でも楽しめるような要素が多かったとはいえ、浮石多い脆い滝場もあり、確保されているとはいえ緊張を強いられる箇所もありました。

今回はテントを担ぎ上げてのビバークでしたから、おかげさまで寒い思いをすることもなく快適な睡眠を得ることができました。藤野さんが決定したビバーク地点は、結果最高の適地だったのではと思います。また福寿さんが食担を引き受けてくださり、夜はクリームシチュー、朝はお茶漬けという私にとっては山中では初めていただくメニューばかり。クリームシチューの隠し味には持参された白ワインをたっぷり入れていました。(残った白ワインはもちろん後で美味しく頂きました)とても美味しかったので何かの時に丸ごと真似したいと思いました。

研修会で覚え、また経験したことを今後の沢登りに生かし、これからも安全第一に沢登りを続けていきたいと思います。企画実施してくださった藤野さん、福寿さん、同行してくださった参加者の皆様、大変お世話になりました。 大黒茂谷は懐深く趣があり、焚き火を囲んでの歓談は楽しく、印象深い沢となりました。

報告(その2):服部悦生

 いよいよ最終回。今回はネット検索してかなり詳細と思われるサイトから記録を遡行図に落とし込んだのですが、それを忘れるという幕開けでした。加えて集合時間に30分も遅れるという不始末つき。先が思いやられます。
 駐車場でシュラフをどうするか悩んだ末車に残し、テントを加えて林道を歩くこと1時間ほどで大黒茂谷出会いに到着。久しぶりの重さでした。ここで装備を整えて入渓。
 今回は濡れ対策でひとり早々と雨具を着用。ゴーロや巨岩帯を抜けると堰堤。その先にゴルジュがあり3段の滝が控えていました。 「おお、流木が参考にしたサイトの写真と同じ位置にある」などとつまらないことに感心。遡行図に落とし込んだものの覚えているのはここまで。その後小滝を越え、ゴーロを歩き、苔むした大岩を過ぎ、今日のビバーク地点に。ここでさらに感動が。
 「沢屋さんは火をつけるのがうまい」とは聞いていましたが、実際に福寿さんが火を起こすのを目の当たりにして「おお!」でした。見事なものです。しっかりやり方を記憶した?ので今度は小川山でやってみようかと思ってるのですが。
 夕食は「ドラエモンのポケットを持ってるのか」と思うくらいいろんな食べ物が出てきて火を囲んで楽しく、おいしくいただきました。不安だったシュラフカバーだけの睡眠もテントのおかげかグッスリ。
 翌日も楽しむなどは程遠く相変わらず何とかついていく状態。途中ではリーダーを一瞬不安にさせてしまいましたが、何とか目指す登山道にあがり遡行終了。
 「何はともあれ無事に終わってよかったよ」が正直な感想です。
 「あの先にどんな滝が待っているのかと思うとワクワクしませんか」と言われてもこれははるか先かなぁ。しかしおかげで「沢登り」を経験できたこと、沢に対する自分の性格と好みもわかり有意義な講習会でした。
 藤野さん、福寿さんありがとうございました。

 
朝のコーヒータイム。
この側に、テントを二張り張りました。

手頃な滝は沢山あります。

 


     研修会報告目次へ       トップへ