◆登山者のための読図と現在地確認研修会 報告

   ◎インストラクター=福寿会員
  ◎参加者=古林、斎藤(光)、迫畑、北村、萩原、堀内、河内、秋田、猪瀬、中道、浜口、
         上岡、有元、佐々木、岡田、斎藤(幸)、柿沼、服部、藤野、大塚
  ◎期日=【机上】2009年2月26日(オリセン)、【実地】3月8日(秦野市岳ノ台付近)
  ◎研修内容=【机上】 地図の成り立ち、日本の地図・地形図、地形図の内容、地形図の読み方、
                現在地の確認方法、GPSによる簡易測位法
           【実地】 岳ノ台付近において、オリエンテーション(標定、正置)、単測方位法、
                 クロスベアリング法、 GPSによる現在地の確認、実際の地形と地形図の照合

   ※実地研修会で使用したテキストはこちら
    
                
  
       (クロスベアリング法)                  (GPSによる現在地確認)

  ●受講者の声  河内 達人
     地形図の見方、読み方を学ぶ〜救助ヘリには緯度・経度で通報〜   

  昨年2度道を間違えた。何でもないコースだったのだが何故か間違えてしまった。いずれも後から「違って
るぞ」と言われて引き返したので大事には至らなかったのだが、道迷いは老化現象とか皆に言われてがっく
りきている。2回の道間違いに共通しているのは、地図を見ていなかったことである。勿論地図は持っていた
のだが、その瞬間は全く見ていなかった。地図を見ていれば、否見る気持ちがあれば、それだけで見なくて
も恐らく間違わなかったと思う。山行中地図を見る或いは読む習慣が身についていないのだ。今回地図読み
研修会に参加する気になった動機はこれである。

 机上での研修は2月26日(木)、実地研修は丹沢山麓岳の台で3月8日(日)に行われた。机上研修では
近代日本の地図作成の先達、伊能忠敬の伊能図の説明から始まり、陸軍参謀部が地図作りを始めた経緯
など日本の地図作成の歴史を学ぶ。普段我々が目にしている地図は登山用に作られたのではなかったの
だ。地図とは「人間の思い浮かべる地理的空間のイメージを具体化し図にしたもの」との解説、そのとおり。
地図の番号のつけ方も学んだが、こんな規則であったのかと感心する。

 次いで、磁北線の引き方を学ぶ。地図の片隅に記されている西偏の数値を読み取り、分度器片手に山男
山女が暫し格闘し何とかモノにする。緯度・経度線の引き方だが、こちらは地図の欄外に思い切り小さな字
で、1分刻みで記入されている「印」を基に縦横の線を引く。経緯度線は、GPSを使った場合現在地が緯度・
経度で表示されるので有効である。また遭難した時ヘリに遭難場所を知らせるのに「大きな岩の直ぐ側の・・
・」と言っても相手に通じないが「北緯○度○分○秒、東経○○○」と言った方が早く助けてもらえる利点が
ある。ただこの場合、分単位では大雑把過ぎるので更に細かく18秒、或いは0.3分などと正確に場所を特定
する作業が必要であるが、この作業は三角形の相似の原理を使っているらしく何十年ぶりかで目にして、
目を白黒させている向きもあるようであった。

 等高線から尾根・谷を読み取る説明では、見事な山の模型を見せて頂いた。感激モノである。これを見るだ
けでも価値がある。なお  研修内容の詳細は、HPお役立ち情報に詳しいのでそちらをご参照ください。
岳の台で行われた実地研修、ヤビツ峠をスタートし50mほど登る。そこで言われたことは今登ったのが
50m、これを実感すること」。なるほど言われてみれば50mがよく分かる。等高線の混み具合と傾斜の関係
も実感する。ちょっとした小山を登りそれが地図ではどのように表現されているか、山の大きさと地図表現との
関係についても把握する。ちょっとした山が25000分の1では意外と大きい。逆にいえばこの地図はよく読め
ば細かいところまで書いてあるということである。

 尾根と谷、地図を読む上での基礎の基礎であるが地図上では意外と区別がつきにくい。地図読みのベテラン
になると地図を見て山の様子が目に浮かぶという。素人にはそこまでは無理であるが、地図と現地を一緒に見
れば成るほどあの尾根がこれかと納得できる。これ以外にも、地図上の送電線や電波塔の記号、山の同定、
遠くの山までの距離、クロスベアリング法やGPSを使っての現在地の確定等々多くのことを教えて貰った。
こんな経験もした。見晴台で山を同定すべくあれこれやってみるがなかなか上手くいかない。見晴台が金属製
で磁石が上手く効かなかったのである。金属の近くではコンパスが狂うとは知識で知っていたが、実際そんな
場に遭遇したことがなかったので、初めは自分のやり方が悪いのだろうと、コンパス持って右を向いたり左を見
たり。机上では学べないことも多く学べ、実に有意義な講習会であった。
 山頂では心尽くしの味噌汁まで頂き、楽しい一日であった。この経験は必ず役に立つと思う。


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